検知管を用いる微量塩素イオンの迅速定量について研究を行なった.すなわち,シリカゲル粒を担体とし,これにクロム酸銀を吸着させて真空乾燥して,水中の塩素イオンに触れ鋭敏に変色する塩素イオン検知剤(紫茶色)を得,これを細いガラス管に一定量充てんして検知剤を作製した.注射器を用いて検水2m
lを5分間で検知管に注入し,生じる白色の変色層の長さから塩素イオン濃度を数分間で簡易に定量できた.定量範囲はCl
-:5~40ppm,検知限度は約1ppm,相対誤差は約±10%以内であった.測定値に及ぼす各種の影響,すなわち,検知管内径,検水の体積,注入時間,検水のpH,温度および他のイオンなどの影響について検討した.また,河川水,井戸水などについて硝酸銀比濁法,チオシアン酸第二水銀法と比較し,ほぼ一致した結果を得,野外において簡易に実施できる分析法であることを確認した.
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