ピリジン塩基はアルコール性OH基を有する静止液相で分離すると,同沸点の成分でも置換基の位置によって水素結合力に差があるため非常に異なった保持時間を示し,また紫外部吸収スペクトルにおける極大吸収波長も250~275mμの範囲に変化する.そこでこれらの値を測定すれば,含有成分の構造を推定することが可能である.この方法によって工業用コリジン中の178~200℃留分中に含まれる成分を検索した.まずシリコン油DC-550を液相とするカラムを用い沸点順に分離をおこない,さらにジグリセロール,ポリエチレングリコールを液相とするカラムを用いて,沸点順に分けられた各留分の分離をおこなった.その結果五つのジメチルエチルピリジン,二つのメチルエチルピリジン,二つのトリメチルピリジン,3,4-ルチジン,2,3-シクロペンテノピリジンが存在することを明らかにした.
ガスクロマトグラフィーを用いて高沸点コリジン留分中の三級アミンの検索をおこなった.
まずシリコン油のカラムを用いて沸点順に分離し,さらにボリエチレングリコール,ジグリセロールのカラムを用いて,沸点順に分けられた各留分の分離をおこなった.その結果178~200CCの沸点範囲から17個のピークを確認することができた.なお個々の成分を静止液相を変えた場合の
tRの変化,紫外部吸収スペクトルにおけるλ
maxなどによって推定をおこない,つぎのような成分が含有されていることが明らかとなった.
(1)178~179℃の留分:3,4-ルチジン,2-メチルー4-エチルピリジン,2-メチル-5-エチルピリジン
(2)184~186℃の留分:2,4-ジメチル-6-エチルピリジン,2,3,5-コリジン,2,5-ジメチル-6-エチルピリジン
(3)188~190℃の留分:2,6-ジメチル-4-エチルピリジン,2,3-ジメチル-6-エチルピリジン,2,6-ジメチル-3-エチルピリジン,2,4,5-コリジン
(4)195~200℃の留分:2,3-シクロペンテノピリジン
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