分析化学
Print ISSN : 0525-1931
9 巻, 9 号
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  • 川畑 正夫, 望月 平一, 三崎 剛
    1960 年 9 巻 9 号 p. 727-730
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ニオブ(またはタンタル)が添加された鋼中のリンを従来の方法で定量すると一般に低い結果がえられ,この原因はリン酸の一部がニオブ酸,タンタル酸と共沈するためであった.このような試料中のリンを正確に定量するため,(1)試料溶液にタングステン酸ナトリウムを加えてニオブ,タンタルを共沈させ,そのロ液から溶媒抽出モリブデン青吸光光度法で求める方法と,(2)ニオブ,タンタルの沈殿を水酸化ナトリウム溶液と過酸化水素で溶解し,溶媒抽出モリブデン青吸光光度法で沈殿中のリンを溶液中のリンとは別に求める方法を検討した.これらの方法によってニオブを含有させる前後の試料のリンを分析し理論的に満足すべき結果がえられた.
  • フェロアロイ中のリン迅速定量法の研究(第1報)
    前川 静弥, 海老原 三代重
    1960 年 9 巻 9 号 p. 731-735
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    フニロマンガンは硝酸と過塩素酸で,またフェロモリブデン,フェロバナジウムは硝酸と硫酸を加えてそれぞれ白煙処理したのち,一定量に希釈する.その一部を分取して,モリブデンはアンモニア水で,またバナジウムは過酸化水素水とアンモニア水でその大部分を分離し,以下亜硫酸水素ナトリウムで鉄などを還元したのち,硫酸ヒドラジン還元モリブデン青法を応用した.とくに発色時の酸濃度と妨害元素の影響を除くことに検討を加えて,再現性のよい迅速定量法を確立することができた.
  • 渡辺 四郎
    1960 年 9 巻 9 号 p. 736-741
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中の全希土類元素およびセリウムの定量法が必要となり,一般に用いられているフッ化物分離法について検討するためセリウムの放射性同位元素を用い,重量法および光度法により分離法を種々実験した結果,次のような分離法が適当であった.試料を硫酸に溶解後ポリエチレンビーカーに移し硫酸酸性約1Nでフッ化水素酸20mlを加え80℃で10分間加温し,少量のロ紙パルプを加えて沈降し,これをロ過しフッ化水素酸を含む硫酸溶液で十分洗浄し灼熱灰化後秤量して全希土類元素を定量する.この分離法は操作が簡易であり,また希土類元素の酸化物中には酸化鉄などが付着することがなく妨害元素の影響もほとんど認められない.
  • 舟阪 渡, 小島 次雄
    1960 年 9 巻 9 号 p. 741-747
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ピリジン塩基はアルコール性OH基を有する静止液相で分離すると,同沸点の成分でも置換基の位置によって水素結合力に差があるため非常に異なった保持時間を示し,また紫外部吸収スペクトルにおける極大吸収波長も250~275mμの範囲に変化する.そこでこれらの値を測定すれば,含有成分の構造を推定することが可能である.この方法によって工業用コリジン中の178~200℃留分中に含まれる成分を検索した.まずシリコン油DC-550を液相とするカラムを用い沸点順に分離をおこない,さらにジグリセロール,ポリエチレングリコールを液相とするカラムを用いて,沸点順に分けられた各留分の分離をおこなった.その結果五つのジメチルエチルピリジン,二つのメチルエチルピリジン,二つのトリメチルピリジン,3,4-ルチジン,2,3-シクロペンテノピリジンが存在することを明らかにした.
    ガスクロマトグラフィーを用いて高沸点コリジン留分中の三級アミンの検索をおこなった.
    まずシリコン油のカラムを用いて沸点順に分離し,さらにボリエチレングリコール,ジグリセロールのカラムを用いて,沸点順に分けられた各留分の分離をおこなった.その結果178~200CCの沸点範囲から17個のピークを確認することができた.なお個々の成分を静止液相を変えた場合のtRの変化,紫外部吸収スペクトルにおけるλmaxなどによって推定をおこない,つぎのような成分が含有されていることが明らかとなった.
    (1)178~179℃の留分:3,4-ルチジン,2-メチルー4-エチルピリジン,2-メチル-5-エチルピリジン
    (2)184~186℃の留分:2,4-ジメチル-6-エチルピリジン,2,3,5-コリジン,2,5-ジメチル-6-エチルピリジン
    (3)188~190℃の留分:2,6-ジメチル-4-エチルピリジン,2,3-ジメチル-6-エチルピリジン,2,6-ジメチル-3-エチルピリジン,2,4,5-コリジン
    (4)195~200℃の留分:2,3-シクロペンテノピリジン
  • 高純度物質中の微量不純分の分析方法に関する研究(第1報)
    宮本 益夫
    1960 年 9 巻 9 号 p. 748-753
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    高純度金中の微量不純分のCuについて,Auから定量的に分離する方法,ならびにその吸光光度定量法を研究し,操作が簡易で,感度のよいすぐれた分析法が確立できた.
    試料を王水で分解して塩酸溶液とし,酢酸エチルを用いて大部分のAuを抽出除去する.次に塩酸ヒドロキシルアミンを加えて煮沸し,残存したAuを完全に析出させると同時にCuをCu+に還元する.Auを除いたロ液は酢酸アンモニウムでpH4~5に緩衝し,ネオクプロインを加えてクロロホルムでCu錯塩を抽出する.抽出液について460mμで吸光度を測定してCu含有量を求める.
    この方法で0.5μgのCuの定量は容易で,金中の10-5%程度までのCuが定量できる.所要時間は約3時間であるが,この後ただちにFeをバソフェナントロリン法で定量することができる.
  • 高純度物質中の微量不純分の分析方法に関する研究(第2報)
    宮本 益夫
    1960 年 9 巻 9 号 p. 753-759
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    高純度金中の微量の不純分としてのFeについて,Auから定量的に分離する方法,およびその定量法について研究した.その結果FeもCuの場合と同一の操作でCuと同時にAuから分離できること,このFeはバソフェナントロリンを用いて吸光光度法で定量するのがもっともよいこと,などがわかり,感度が非常に高く,操作も簡単なすぐれた分析法が確立できた.
    Auは試料を希塩酸溶液にして酢酸エチルで抽出して大部分除去できる.この後ヒドロキシルアミンでFeを還元してF2+とし,同時に残留したAuも完全に除く.これにバソフェナントロリンを加えて高級アルコールで抽出すれば,赤色のFe錯塩が抽出され,吸光光度定量できる.
    所要時間は約3時間で,外部からの汚染を防げば10-5%まで容易に定量できる.なお,Feの抽出に先立ってネオクプロインを加えてクロロホルムで抽出すれば,Cuも同時に定量できる.
  • 吉田 仁志
    1960 年 9 巻 9 号 p. 759-763
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    アセトン-水単-相中でジエチルジチオカルバミン酸ナトリウムは,ビスマスと可溶性の黄色錯塩を生成する.この呈色を利用するビスマスの直接比色定量法を試みた.EDTAの共存下でこの錯塩はpH8.5~11,アセトン含量50~65%とするとき少なくとも3時間は一定の吸光度を示す.その吸収曲線は360mμに極大吸収を示し,この波長での分子吸光係数は約9100である.360~420mμの各波長を用いた検量線はベールの法則にしたがう.抽出法に比し,鉄(III),銅(II),水銀(II)などの妨害の大きいのが欠点であるが,簡単な操作により,しかも迅速に20~600γのビスマスを定量できる.
  • 山根 靖弘, 吉田 智子
    1960 年 9 巻 9 号 p. 763-769
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ウランの新しい比色定量試薬として水溶性のp-カルボキシジベンゾイルメタンのカリウム塩を合成し,これを用いてウランの定量の基礎的な検討をおこなった.その吸収の極大波長は398~402mμにあり,最適pHは7.3から7.8である.400mμにおける分子吸光係数は23,000でかなり鋭敏であり,0~11γ/mlのUにおいてベールの法則に一致し,比色定量が可能である.
    多くの金属イオンによって障害を受けるが,シアン化カリウムおよびEDTAを隠蔽剤として添加すると,金属イオンが1γ/ml程度であれば,ほとんど完全にその障害をのぞくことができる.
    連続変化法で組成を検討した結果,ウラニル:試薬は1:2である.
  • 有機試薬による比色分析の研究(第8報)
    大井 信一
    1960 年 9 巻 9 号 p. 770-773
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    グリオキザルビス(2-ヒドロキシーアニル)はカドミウムイオンと強アルカリ性溶液にて赤色錯化合物をつくり,クロロホルムーピリジン(5:1)混合溶剤に抽出され青色溶液をあたえる.この錯化合物をもちいてカドミウムを定量するための条件をしらべた結果,抽出液の吸収の極大は610mμ付近にあり,抽出時の溶液のpH10.6~13.6の間で吸光度は一定値を示した.抽出液は安定であり,溶剤10ml中Cd1~40μgの範囲でベールの法則にしたがい鋭敏度も高い.コバルト,ニッケルは妨害するがシアン化カリウム溶液でいんペいし,カドミウムのみをホルマリン溶液で破へいすれば1mg程度の存在はさしつかえない.本法を亜鉛地金中のカドミウムの定量に応用して好結果をえた.
  • フクシン法
    向江脇 公雄
    1960 年 9 巻 9 号 p. 774-779
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    吸光光度法によるイオウの定量法としてはメチレンブルー法,重クロム酸カリウム-ジフェニルカルバジッド法があるが,いずれも操作が繁雑で迅速性に乏しかったので鉄鋼中のイオウの定量法としてはあまり使用されていないフクシン法について検討をおこなった.燃焼装置として鋼および銑鉄のイオウ分析方法(JIS燃焼容量法)の装置を用い,ただ吸収瓶と硝子キヤップとの間に脱脂綿をつめてダストを除去した.燃焼条件はJIS燃焼容量法に準じ,亜硫酸ガスは炭酸ガス飽和炭酸水素ナトリウム溶液にフクシンを加えた吸収液に吸収させてフクシンを還元し,着色度の変化を光度計を用いて測定しイオウ量を定める.この方法によれば還元後の色調も安定で吸収も完全で燃焼容量法と違い,炭酸ガスを追出す必要もなく迅速に定量できた.所要時間は炭素鋼で約5分,銑鉄,ステンレス鋼などの高合金鋼では7~8分であった.
  • 金属ウラン中の微量不純物の定量(第12報)
    武内 次夫, 吉森 孝良
    1960 年 9 巻 9 号 p. 780-782
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 降水および落下塵中の人工放射性物質の分析法
    坪田 博行
    1960 年 9 巻 9 号 p. 783-790
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 垣花 秀武, 坪田 博行
    1960 年 9 巻 9 号 p. 791-793
    発行日: 1960/09/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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