分析化学
Print ISSN : 0525-1931
48 巻, 6 号
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  • 中田 典秀, 磯部 友彦, 西山 肇, 奥田 啓司, 堤 史薫, 山田 淳也, 熊田 英峰, 高田 秀重
    1999 年48 巻6 号 p. 535-547
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    環境試料中に含まれる多種多様な環境ホルモンを包括的に分析する方法を開発した.検討試料としては堆積物を用い,アルキルフェノール類,フタル酸エステル類,ビスフェノールA,多環芳香族炭化水素類,コプラナーPCB類,DDT類を測定対象とした.試料中の各成分は有機溶媒により抽出し,2種のシリカゲルカラム及び活性炭カラムにより精製・分離し,各画分をGC/MSもしくはGC-ECDで測定した.測定結果よりきょう雑物の影響もなく,ほぼすべての成分について回収率及び再現性も良好であった.本法の有用性を明らかにするために,東京湾で採取された堆積物2g(乾燥重量)を本法を用いて分析した.その結果上記の成分が乾燥重量当たり数百pg/gから百数十ng/gの範囲で検出され,本法が量的制限のある試料の分析に有用であることが確認された.
  • 山田 眞吉, 浅野 稔浩, 會澤 宣一, 中村 基
    1999 年48 巻6 号 p. 549-553
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    モノフェニルスズ(MPT),ジメチルスズ(DMT),ジブチルスズ(DBT),ジフェニルスズ(DPT),トリメチルスズ(TMT),トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT)と3-ヒドロキシフラボンとの蛍光性錯体生成反応の平衡と速度を検討し,その結果を有機スズの蛍光定量に応用した.錯体の生成速度は有機置換基の数と種類にはほとんど依存しなかったが,錯体の安定性には,フェニルスズについてはMPT>DPT≫TPT,二置換有機スズについてはDPT>DBT>DMTの差が見られたので,この差を有機スズの蛍光定量に利用した.各々の有機スズの定量においては,検出限界10nMで5μMまでのMPT,検出限界20nMで3μMまでのDMT,検出限界20nMで4μMまでのDBT,検出限界30nMで3μMまでのDPTの定量が可能であった.いずれの一置換及び二置換有機スズの定量においても三置換有機スズの共存許容量は相対的に大きく,TMTについては100倍モル以上の共存が許容された.
  • 岩村 幸美, 門上 希和夫, 陣矢 大助, 花田 喜文, 鈴木 學
    1999 年48 巻6 号 p. 555-561
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    水質,底質中のブチルスズ及びフェニルスズのモノ,ジ及びトリ体をテトラエチルホウ酸ナトリウム(NaBEt4)で誘導体化し,同位体希釈/GC/MS法により定量する方法を開発した.水質は,対象物質の重水素ラベル化体を添加後,NaBEt4でエチル化した。次に,ヘキサンで抽出し,脱水・濃縮後,GC/MS-SIM(選択イオン検出法)で測定した.2.0~25ng/lでの添加回収実験結果は,回収率が104%,RSDは3.7%であった.底質は,ラベル化体を添加後,1M塩酸-メタノール/酢酸エチル(1:1)で抽出した。抽出液を濃縮して緩衝液を加え,以下水試料と同様に操作後,フロリジルカラムクリーンアップしてGC/MS-SIMで測定した.5.0~100μg/kgでの添加回収結果は,回収率が98.1%,RSDは9.8%であった.水質の検出限界は,従来法より1けた向上し0.16~3.5ng/lであった.また,底質の検出限界は0.48~11μg/kgであった.
  • 滝埜 昌彦, 代島 茂樹, 山口 憲治
    1999 年48 巻6 号 p. 563-570
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    河川水中,ビスフェノールA及びアルキルフェノール類の微量分析法として液体クロマトグラフィー/大気圧イオン化質量分析法を検討し,高選択的高感度検出のための最適条件を見いだした.ODSカラムを用いた逆相分配系のLC条件で1)イオン化法の選択,2)移動相へのポストカラム添加剤の効果,3)フラグメンター電圧,4)カラムスイッチング法等の検討を行った.その結果,エレクトロスプレー(ESI)法では0.2%トリエチルアミン溶液を分析カラムの後に添加することで最も良好な結果が得られ,大気圧化学イオン化(APCI)法ではイオン源を密閉せずに測定することでESIより高感度で測定することが可能であった.試料はカラムスイッチング法を使用することにより直接濃縮カラムに注入し,試料中の妨害物質を除去後,目的のファノール類を分析用カラムに導入してAPCI法で分析を行った.試料100mlに各フェノール類を2及び20ng添加し,本法で得られた回収率は,河川水で93~112%,また繰り返しの再現性(n=5)は相対標準偏差で2.1~5.3%であった.検出限界はS/N=3としたとき,5~20pptであった.以上のことから本法が微量のビスフェノールA及びアルキルフェノール類の分析に煩雑な試料前処理を必要としない極めて簡便で有用性の高い方法であることを実証することができた.
  • 米久保 淳, 佐々木 俊哉, 一木 満貴子, 金井 みち子, 佐々木 秀輝
    1999 年48 巻6 号 p. 571-577
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    環境ホルモン(外因性内分泌攪乱物質)の一種であるビスフェノールA(BSA)及びノニルフェノール(NP)について,1)固相抽出による濃縮法,2)LC/MS法による直接(非濃縮)分析について検討した結果,1)逆相系カートリッジを用いた固相抽出による濃縮法において,0.24~20ng ml-1(BSA)及び4.0~100ng ml-1(NP)の範囲で,各5回の回収率及び相対標準偏差(%RSD)の平均は,それぞれ80%以上,17%以下であった.2)LC/MS法による直接分析において,イオン化法としてEI,APCI及びESIの3法を比較したところ,検出感度を考慮するとESI法が最適であった.このイオン化を用いたLC/MS法による検出限界,再現性及び定量範囲について検討した結果,本方法による検出限界は空試験からの定量値を考慮してBSA及びNPそれぞれ0.1及び7.0ng ml-1であった.再現性は,0.5ng ml-1(BSA)及び5ng ml-1(NP)における5回繰返しの面積値の%RSDで2.64及び3.16,定量範囲は0.1ng ml-1(BSA)及び1ng ml-1(NP)から1000ng ml-1までの検量線においてr2>0.99といずれも良好な値を示した.
  • 堀江 正一, 吉田 栄充, 石井 里枝, 小林 進, 中澤 裕之
    1999 年48 巻6 号 p. 579-587
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    高速液体クロマトグラフ/質量分析計(LC/MS)を用いた缶飲料中のビスフェノールA(BPA)の簡易かつ迅速な定量法を検討した.BPAは構造中にフェノール性の水酸基を有する弱酸性の化合物であることから,イオン化モードにはネガティブモードを採用した.LC条件は,カラムにZorbax XDB-C18(150×2.1mm,i.d.),移動相には0.01%酢酸-アセトニトリル(60:40)を用い,流量は毎分0.2mlとした.検出にはBPAの擬分子イオン[M-H]-m/z 227を用いた.試料の前処理法は固相抽出法を採用し,カートリッジには無極性相,陽イオン交換相及び陰イオン交換相が混合充填されたIsolute Multimodeカートリッジ(500mg)を用いた.本法におけるコーヒー,紅茶,果実飲料などに対する添加回収率は5及び50ppbの添加で85%以上,検出限界はコーヒー飲料を除き0.5ppbであった.
  • 高尾 雄二, 李 虎哲, 有薗 幸司
    1999 年48 巻6 号 p. 589-593
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    水中の内分泌攪乱化学物質(環境ホルモン)を簡便かつ高感度に分析することを目的とし,固相マイクロ抽出(SPME)法とオンカラムシリル化法を組み合わせた手法を試みた.水中のビスフェノールA(BPA)をSPMEファイバーに吸着させた後,GCの気化室内でBPAを脱離させカラム先端部に濃縮した.続いて,ビス(トリメチルシリル)トリフルオロアセトアミド(BSTFA)をマイクロシリンジで注入し,BPAをシリル化し,MS検出器で検出した.オンカラムシリル化した場合には通常のSPME法と比較して,目的物質のシリル化体のピーク面積は20倍程度に増大し,高感度に検出できることが分かった.但し,測定の度にSPMEファイバー固定用のエポキシ樹脂からBPAが極微量脱離するため,定量限界は1ppbと以前報告した通常のSPME法と同レベルであった.
  • 小田 淳子
    1999 年48 巻6 号 p. 595-607
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ベンゾ[a]ピレン(BaP)等の多環芳香族炭化水素類(PAHs)の多くは変異原性と発がん性を有することが良く知られており,最近,内分泌攪乱化学物質として疑われている.大気粉じんからのPAHsの抽出・分離を迅速に行うため,超臨界流体抽出(SFE)を用いてその適用について検討した.30種類のPAHsを添加した大気粉じんについてSFEによる抽出を行い,PAHsの定量性に及ぼすSFEの装置パラメーターを明らかにした.SFEの抽出効率を従来の超音波抽出法と比較し,実試料分析への適用を検討した.PAHsの抽出効率は抽出温度,流体密度,流体量,抽出時間,溶出溶媒及び試料濃度により影響された.一方,SFE条件の3段階組み合わせや超臨界CO2への5%メタノール添加による修飾剤の使用は回収率の向上に効果を示した.フェナントレン(M.W.178)より大きい分子量を持つPAHsの添加回収率は超音波抽出法の67.8~99.5%に対してSFE法で70.3~103%であり,SFEの抽出効率は超音波抽出法と同等以上であることが分かった.両抽出法を用いた大気粉じん31試料中のBaP測定において,SFEは超音波抽出法の平均濃度の1.2倍,相関係数は1.0で両者に良い一致が認められた.以上の結果からSFEの最適抽出条件を得ることができ,SFE法は大気粉じん中のPAHs多成分同時分析に迅速な抽出法として有用であることを明らかにした.
  • 茨木 剛, 川田 邦明, 雅楽川 憲子, 坂井 正昭, 貴船 育英, 森田 昌敏
    1999 年48 巻6 号 p. 609-615
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    水及び底質試料中の内分泌攪乱作用が疑われている芳香族化合物を,精油定量器を用いて蒸留,抽出後,シリカゲルカラムクロマトグラフィーでクリーンアップし,GC/MSで定量する方法を確立した.対象とした化合物はベンゾフェノン,4-ニトロトルエン,スチレン二量体(2,4-ジフェニル-1-ブテン,cis-1,2-ジフェニルシクロブタン,trans-1,2-ジフェニルシクロブタン及び1,3-ジフェニルプロパン),スチレン三量体{1-フェニル-4-(1'-フェニルエチル)テトラリン類の4種の異性体及び2,4,6-トリフェニル-1-ヘキセン},並びに2-ニトロトルエン及び3-ニトロトルエンである.本法による各化合物の回収率は,水試料では回収率88~111%,底質試料では80~113%,相対標準偏差は水試料では1.8~9.3%,底質試料では2.5~13%といずれも良好に精度良く定量可能であった.本法による検出下限値は,水試料では0.005~0.01μg l-1,また底質試料(湿重量当たり)では0.3~0.5μg g-1であった.
  • 木津 良一, 加藤 詳子, 薄井 修, 早川 和一
    1999 年48 巻6 号 p. 617-622
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    エストロゲン作用の新しいin vitroアッセイ法として,ヒト乳がん由来MCF-7細胞におけるプロゲステロン受容体(PgR)の発現量を指標とする方法を提案し,現在最もはん用されているE-Screenアッセイ法と比較するとともに,C重油のエストロゲン作用を検討した.試料としては,重油のエタノール抽出物を用いた.PgRの発現量をウエスタンブロット法で測定したところ,17β-エストラジオール(E2)処理によりPgRの発現量が高まり,更にE2アンタゴニストであるタモキシフェンの処理を加えるとPgRの発現量は減少した.E-Screenアッセイにおいても,E2及びタモキシフェン処理に対して類似の応答を示し,PgR発現量がエストロゲン作用の良い指標であることが明らかになった.次に,重油抽出物のエストロゲン作用について検討した.E2非存在下では重油抽出物の処理でわずかながらPgRの発現量が高まったが,E2存在下ではPgRの発現量は減少した.以上の結果から,重油中には弱いエストロゲン作用を示し,E2アンタゴニストとして作用する化合物が含まれることが明らかとなった.また,重油抽出物の処理では死細胞数の増加が観察された.重油や環境試料のように細胞死を引き起こす成分を含む可能性がある試料については,本研究のPgRの発現量を指標とする方法が適していると考えられた.
  • 森口 宏一, 鎌田 健, 播本 孝史, 松本 米蔵, 中島 久子
    1999 年48 巻6 号 p. 623-629
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    ウイングスプレッド宣言において,内分泌攪乱化学物質として記載されているスチレン三量体のうち,1-フェニル4-(1'-フェニルエチル)テトラリン(1,4-PPET)及び1,3,5-トリフェニルシクロヘキサン(1,3,5-TPCH)各立体異性体の配座解析を1H及び13C-NMRスペクトルより行った.1,4-PPETについては熱重合時に生成するスチレンオリゴマーからHPLC分取法により4種の異性体を単離し,1-フェニル基及び4-(1'フェニルエチル)基のテトラリン環に対するアキシアル(ax)及びエクアトリアル(eq)配座を検討した結果,GC溶出順に,(1-eq,4-eq),(1-ax,4-eq),(1-ax,4-ax)及び(1-eq,4-ax)であることを確認した.また,1,3,5-TPCHについては立体選択性の異なる二通りの合成法によりGC溶出順に(trans,cis)及び(cis,cis)2異性体を得ることができ,シクロヘキサン環に対するフェニル基の配座はそれぞれ(1-ax,3-eq,5-eq)及び(1-eq,3-eq,5-eq)であると結論付けることができた.以上のように立体構造を明らかにできたことは,今後内分泌攪乱化学物質としての作用機構を研究する上で意義深いものと考えられる.なお,今回得られた1,3,5-TPCHのGC/MSスペクトルは既報のMSスペクトルとはかなり異なることも分かった.
  • 伊永 隆史, 梶原 俊之, 築山 容子
    1999 年48 巻6 号 p. 631-636
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    多環芳香族炭化水素(PAHs)の多くは,発がん性や発がん促進性,突然変異誘発性を持つとされ,長く研究対象とされてきた.PAHsは,最近ではダイオキシン類の類縁物質としても注目され,かつベンゾ[a]ピレンは内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質として指摘されている.また,他のPAHsの分子構造の類似性から内分泌攪乱作用が疑われる.このような背景から更なる研究,調査の需要は高まる一方である.著者らは土壌中のPAHsをソックスレー抽出法により抽出し,シリカゲルカラムを用いて分離を行った.これをHPLC(UV検出器)及びGC/MS(SIM法)により定性,定量分析を行った.PAHsの主な発生源として,自動車排ガスと稲わらの野焼きに着目して解析を行い,興味深い結果を得た.更に,PAHsの土壌から植物体への生物濃縮の影響を調べるために,稲わら,白米等に含まれるPAHs濃度も併せて分析し,これらの検討結果からPAHsの動態解析を試みた.
  • 茨木 剛, 小熊 千佳子, 田辺 顕子, 川田 邦明, 坂井 正昭, 貴船 育英
    1999 年48 巻6 号 p. 637-641
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A solid-phase extraction-gas chromatography/mass spectrometric method was applied to determine endocrine disrupting pesticides in river-water samples. The target compounds were seven pesticides (cypermethrin, ethylparathion, fenvalerate, metribuzin, nitrofen, permethrin and vinclozolin). A water sample of 500 ml was passed through a Sep-Pak PS-2 cartridge. The pesticides were eluted with 4 ml of acetone and 4 ml of hexane, and then 4ml of ethyl acetate. The eluate was concentrated to 1ml and determined by GC/MS. The overall recoveries from ground water were 80% to 107%, except for pyrethroids (cypermethrin, fenvalerate and permethrin). A membrane-extraction disk (SDB-XC) was also applied to determine these pesticides and another six pesticides (alachlor, atrazine, carbaryl, malathion, simazine and trifluralin). Pesticides in a water sample of 500 ml were extracted using a membrane disk, and then eluted by 20 ml of ethyl acetate. After dehydration, the eluate was concentrated and determined by GC/MS. Pyrethroids can be extracted relatively well by this method. The overall recoveries of all the target compounds from ground water and river water were 49% to 99% and 56% to 112%, respectively. The limits of quantification in water were 0.1μg l-1to 0.2 μg l-1.
  • 佐々木 俊哉, 米久保 淳, Michael S. YOUNG, Dorothy J. PHILLIPS, Uwe D. NEUE
    1999 年48 巻6 号 p. 643-647
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    A simple and rugged solid-phase extraction (SPE) method for the determination of acidic herbicides, including phenoxyacetic acids, which are considered to be endocrine disruptors (EDs), was developed. Spiked tap-water and well-water samples were alkaline hydrolyzed with NaOH, followed by a simple SPE procedure using a hydrophilic-lipophilic balanced (HLB) copolymer. The hydrophilic character of a HLB copolymer allows packing a sufficient amount of hydrophilic property to prevent the wettability problems encountered with ODS and polystyrene packings. High and reproducible recoveries were obtained for both tap-water and well-water samples at a 0.4 μg/l spike level. For five replicate analyses using 75 ml of spiked water, the method detection limit (MDL) of UV-HPLC analysis was 0.040.18 μg/l.
  • 片瀬 隆雄, 金 倫碩
    1999 年48 巻6 号 p. 649-655
    発行日: 1999/06/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    Bis(2-ethylhexyl)adipate (DEHA) has been found to reduce the binding of tritiated 17β-estradiol to its receptor by screening an inhibitory effect on that to the rainbow-trout estrogen receptor (Jobling et al. 1995). Adipic acid esters (AAEs) are utilizable to a plasticized polyvinyl chloride and are also migratory from plastics. We studied the identification of AAEs potentially migrated from plastic films for food wrapping, and estimated their migration. Approximately fifty pieces of used wrapping films for foods were collected for about one month. DEHA was not found in those samples but di-n-hexyl, -n-heptyl, di-n-octyladipate, -n-nonyl and -n-decyladipates were identified by gas-liquid chromatography and mass spectrometry. Additionally, an unidentified adipate (AAEX) was found in 12 films. Approximately fourteen mg of total amounts of AAEs was migrated into n-heptane solvent from one side of the surface of 9 cm × 9 cm films, equivalent to ca. 0.2 g. The daily intake of AAE from food-wrapping film was estimated as 0.04 mg kg-1 day-1. A portion of thirteen percent of the film weight was migratory to natural and human environments. Approximately one tenth of a million tons of the films is annualy produced by factories in Japan. Further studies on endocrine disruption by plastic materials in our daily lives will be needed.
  • 1999 年48 巻6 号 p. e1
    発行日: 1999年
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
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