銀電極を用いる塩化物イオンの析出,溶出の2段階電気分解にもとづくクーロメトリーを実施した.銀網電極を用いるバッチ法と,銀線を挿入したPTFE製チューブを用いるフロー法の2通りを試験した.バッチ法では,水溶液において,電解時間を500 sに限った場合,塩化物イオンの定量範囲が2×10
-4~2×10
-3 mol dm
-3(M)であったのに対して,メタノール・水混合溶媒を用いると,定量範囲は3×10
-5~3×10
-3 Mに拡張した.電解時間を延長して全電解が達成される濃度範囲は,水溶液では3×10
-4~2×10
-3 M(電解効率102±6%)で,検出限界は9.2×10
-5 Mであった.混合溶媒では1×10
-4~3×10
-3 M(電解効率105±2%)で,検出限界は2.6×10
-5 Mであった.一方,フロー法では,試料液の注入量20 μL,流量0.01 mL min
-1(電極通過時間約100 s)の条件において,8×10
-5~1×10
-3 M(電解効率97±3%)の範囲で定量可能であり,検出限界は7.8×10
-5 Mであった.
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