分析化学
Print ISSN : 0525-1931
10 巻, 8 号
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  • 微量金属のジチゾンクロマトグラフ分析法(第9報)
    芦沢 峻
    1961 年 10 巻 8 号 p. 817-822
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    岩石中の微量のカドミウムを定量するために,アルミナクロマトグラフ法を検討したが,溶離が不完全で分析法としては不適当であったので,ジチゾンによる直接比色法を試みた.水素イオン,アンモニア,水酸化ナトリウム,シアンイオン,ジチゾンなどの濃度および抽出溶媒の種類,溶液および溶媒の体積などを検討した.これらの結果から定量条件はきわめて正確に調整されるべきことを認めた.伊豆大島三原山溶岩から0.06ppmのカドミウムが見出された.
  • 有機試薬としてのチアゾール誘導体に関する研究(第8報)
    宇野 豊三, 秋浜 澄行
    1961 年 10 巻 8 号 p. 822-827
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    2-ベンゾチアゾリールアルデヒド-2-ベンゾチアゾリールヒドラゾン(B.B.T.H.)および2-α-ナフトチアゾリールアルデヒド-2-ベンゾチアゾリールヒドラゾン(N.B.T.H.)はCu2+,Co2+Ni2+と反応し橙~赤橙色を呈する.検液[Cu2+=pH4.00(B.B.T.H.),pH5.42(N.B.T.H.),Co2+=pH8.00,Ni2+=pH5.42]2ccに0.075%B.B.T.H.にあるいは0.05%N.B.T.H.ジオキサン溶液2cc,ジオキサン1ccを加えて全量を5ccとなしCu2+は発色後10分以内に,Co2+,Ni2+は10分間放置後吸収極大波長(B.B.T.H.=Cu2+:464mμ,Co2+:462mμ,Ni2+:468mμ,N.B.T.H.=Cu2+:476mμ,Co2+:475mμ,Ni2+:474mμ)の吸光度を測定する量法を考案した.この方法により0.25~5.05γ/cc間のCu2+,0.1~5.2γ/cc間のCo2+,0.1~2.9γ/cc間のNi2+を比色定量できる.Zn2+,Pd2+はこの定量に障害を起す.
  • 有機試薬としてのチアゾール誘導体に関する研究(第9報)
    宇野 豊三, 秋浜 澄行
    1961 年 10 巻 8 号 p. 828-832
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    2-ベンゾチアゾリールフェニルケトオキシムはCo2+と反応し黄橙色,Cu2+,Ni2+とは黄色を呈する.検液2ccにpH9.00アンモニアー塩化アンモニウム緩衝液0.5cc,0.2%試薬エタノール溶液1cc,ジオキサン1.5ccを加えて全量を5ccとし,30分間放置後Cu2+は362mμ,Co2+は358mμ,Ni2+は356mμの吸光度を測定する定量法を考案した.この方法により0.25~10.40γ/cc間のCu2+,0.1~10.65γ/cc間のCo2+,0.25~10.40γ/cc間のNi2+を比色定量でき,pHおよび測定波長を400あるいは445mμに変化させることによりCu2+,Co2+,Ni2+3成分の分別定量ができる.Cu2+の定量にはPd2+,Cd2+,Co2+にはPd2+,Ag+が,またNi2+にはFe3+,Pd2+,Cd2+などが障害を起す.
  • 蟇目 清一郎, 吉田 仁志
    1961 年 10 巻 8 号 p. 832-837
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    クエン酸ナトリウム共存下でシアンイオンにより,ビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸-水銀錯塩からデマスクされたビス(2-ヒドロキシエチル)ジチオカルバミン酸(BHDTCと略す)は銅イオンと反応し,黄色の可溶性銅錯体を生成する.この事実をシアンイオンの間接光度定量に利用するための諸条件を検討した.生成する銅錯体は383mμ付近に吸収極大を有し,その組成は連続変化法によるとBHDTCと銅との比が1:1であった.383mμでの吸光度はpH5.4~5.7で少なくとも3時間は安定である.検量線はベールの法則からいくぶんはずれるが,0.2~4ppmの濃度範囲のシアンイオンが簡便に定量できる.これから求めた感度は約0.00545γ/cm2であった.本法では鉄(III),水銀(II),ヨウ素イオン,チオ硫酸イオンの共存は妨害となるが,2ppmのシアンイオンに対して,20,000ppmの塩素イオン,120ppmのチオシアン酸イオン,200ppmの臭素イオン,400~800ppmのカドミウム,マンガン(II),鉛,亜鉛の共存は影響がない.
  • 鈴木 繁喬
    1961 年 10 巻 8 号 p. 837-842
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    微量カリウムの迅速定量を目的として,まずカリウムの選択的沈殿試薬であるテトラフェニルホウ素を銀イオンを用いるクーロン滴定法で定量する方法について検討した.アセトン60%,0.5M硝酸ナトリウム,0.02M酢酸を電解液として,銀を陽極とし定電流電解によって銀イオンを発生させ,この銀イオンでテトラフェニルホウ素を滴定した.終点の検出には電流測定法または電位差測定法を用い,9~36mgまでのテトラフェニルホウ素を平均0.5%以下の誤差で定量することができた.
    ついでカリウムをテトラフェニルホウ素塩として沈殿させ,この沈殿をアセトンに溶解し,テトラフェニルホウ素をクーロン滴定する方法またはカリウムに既知量のテトラフェニルホウ素を加え,カリウムを沈殿させたのち過剰のテトラフェニルホウ素を滴定する方法のいずれかでカリウムを定量した.いずれの方法でも良好な結果が得られた.この滴定法の応用として工業塩中のカリウムを定量した.
  • 水蒸気気流中の反応1
    柴崎 利雄
    1961 年 10 巻 8 号 p. 842-846
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    著者はさきに蒸気クロマトグラフ装置を発表したが,さらに本装置を改良,操作を簡単にし,これを用いて水蒸気気流中の反応の試みとして,ジエチルアミンによる無機酸および有機酸の定量反応について検討した.その結果ジエチルアミンは解離定数5×10-5より大きい酸とは定量的に反応するものが多いことがわかった.
    TableIIの定量値に示すごとく,保温温度100℃において解離定数5×10-5より大きい酸は,本装置を用いてジエチルアミンによる定量が可能であったが,3×10-5より解離定数が小さくなるにつれて低い結果を示し,表やには示さないが,蒸気導通時間がながくなるにしたがい,また,導通蒸気が大になるにつれ次第に低い定量値となり,結果は一定しにくい.
    多塩基性酸にては酒石酸のごとく,二つの解離定数が5×10-5より大きいものは2当量として定量され,ヒ酸,リン酸のように強酸側が10-4より大きく,弱酸側が約1×10-7より小さいものは1当量として定量される.10-5を中心とした3価の酸であるクエン酸は解離定数の差が少ないので一定した定量値が得られない.
    リン酸が1当量として定量されると同様に,強酸>10-4,弱酸<10-7の2種の解離定数の酸が混合しているときは,TableIIIに示すように,強酸が選択的に定量される.
    また,マロン酸は保温温度100.5~101℃に調節するとき,解離定数2.1×10-6の酸からジエチルアミンは定量的にはなれて流出され,強酸側のみを定量することができる.しかし強酸側が安息香酸(6.6×10-5)のとき,そのジエチルアミン塩は不安定となり,徐々にジエチルアミンは流出される.
  • 室井 要
    1961 年 10 巻 8 号 p. 847-850
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    酸素,窒素,炭化水素中の微量水分を定量するのに,ガスを常温で無水メタノールに通し,水分を完全に吸収させ,これをカールフィッシャー試薬で滴定する装置を考案した.この装置を用いて測定した結果は,従来おこなわれているガスを約-70℃に冷却して水分を凝縮させたものを滴定する方法や,カールフィッシャー試薬に直接ガスを通す方法に比較すると,測定所要時間が非常に短縮され,操作も簡便となり,かつ種々の力価(0.3~3.0mgH2O/ml)の試薬を用いることにより数ppmの微量から数%までの広範囲にわたるガス中の水分を正確に定量することができた.
  • 神尾 英雄, 西川 正夫, 神沢 得之助
    1961 年 10 巻 8 号 p. 851-854
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    ビニルピリジン類の合成過程における行程の管理,反応条件の検討などの研究のため反応成績体中のビニルピリジンを迅速かつ正確に定量する方法として,近赤外線領域におけるビニル基の3本の特性吸収を利用する方法を示した.この方法は特異性に富み,試料の着色や高沸点留分の妨害をうけず,水分含量の同時定量が行なえるうえに精度も高く操作が簡単で短時間に完了するので工業分析の手段として優れている.
  • 佐藤 寅男, 池上 明路, 藤野 善蔵
    1961 年 10 巻 8 号 p. 854-858
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    モノクロル酢酸粗製液中のモノクロル酢酸,ジクロル酢酸および酢酸の分析に,ガスクロマトグラフ法を応用するため,14種のカラムについて試験し,このうちジオクチルフタレート(33%)-リン酸(1%)カラムが日常迅速分析に適していることを見出した.
    リン酸はtailing reducerとして用いたが,1%の添加で十分に効果があった.各成分の分離は良好で,分析所要時間は約50分であった.
    定量はモノクロル酢酸ピーク面積を基準として,他の成分のピーク面積を補正する方法を用い,日常迅速分析法として十分使用できる測定精度,正確さを得た.
  • 定性分析法の研究(第2報)
    中村 舜吉
    1961 年 10 巻 8 号 p. 858-861
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    亜鉛の検出法の一つであるジエチルアニリンとフェリシアン化カリウムを用いる方法があるが,この方法は酸化剤によって大きな影響を受ける.著者はこの点の改良に留意して新検出法を案出した.すなわち,フェロシアン化亜鉛を生成せしめるのにフェリシアン化カリウムとチオ尿素を用い,沈殿を着色せしめるのにローダミンBを用いて所期の結果を得た.亜鉛溶液にチオ尿素の共存のもとで,フェリシアン化カリウムを添加すると,フェリシアン化亜鉛は生じないでフェロシアン化亜鉛が生成する.その際にローダミンBが存在するとこれを吸着して紫色に着色したフェロシアン化亜鉛が沈殿する.前記のごとくローダミンBを含む赤色溶液から紫色沈殿の生成するのは亜鉛イオンのみに対する特異的反応である.本法を斑点法によって亜鉛の検出を行なったところ,その検出限量は2γであった.
  • 田中 正雄, 白川 彰一
    1961 年 10 巻 8 号 p. 862-868
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    試料に硫酸を加えて加熱分解し,発生した二硫化炭素を水酸化カリウムのエタノール溶液に吸収させてふたたびカリウムエチルザンセートとし,pHを調節後これに硫酸ニッケルを加え,生じたニッケルザンセートを四塩化炭素に抽出し吸光度測定を行なう方法により,パインオイル,パイフロートその他の浮選剤および銅の錯イオンなどと共存する,浮選液中の微量のナトリウムエチルザンセートの定量を行なった.
    この方法によればパインオイル0.01ml,パイフロート1mg,水酸化カルシウム50mg,シアン化ナトリウム10mg,銅イオン1mgと共存する0.0001~0.01g/lのザンセートを60分間以内に定量できる.試料中に銅イオンなどを含まない場合には直接抽出を行なって多数の試料を30分間以内に処理することができる.本法は簡便迅速で結果の再現性もよい.
  • 金属ウラン中の微量不純物の定量(第16報)
    武内 次夫, 深沢 力, 関谷 恒人
    1961 年 10 巻 8 号 p. 868-875
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    さきに報告した溶液法螢光X線分析の場合と同様,試料を塩酸および過酸化水素で分解し,ウランをTBP-ベンゼン溶液で抽出除去した.トリウムを含む水溶液を1~2mlに濃縮し,内部標準としてストロンチウムを加えたのち今回はこれにロ紙片6枚を浸し,溶液を全部吸収させ,乾燥させたものについて螢光X線分析する方法について検討した.強度測定は螢光X線スペクトルを記録紙に記録させて行なう方法によった.
    この方法によると溶液のまま測定する場合に比べ,より微量のトリウムが測定可能であった.絶対強度の再現性は悪いが,本法ではThLα1およびSrKαの強度比ITh/ISrを採用するので精度よく定量でき,35kV以上であるならば管球電圧,電流などの値がかなり異なってもよい.ITh/ISr対トリウム量で示された検量線は完全な直線にはならなかった.ロ紙片中のストロンチウム,トリウムなどが多少不均一であってもITh/ISrの測定値に影響しない.本法によってトリウム0.047%を含む金属ウラン0.6~1gをはかりとり,トリウムを定量した結果σ=0.002%Thであった.
  • 内川 浩, 猪股 吉三
    1961 年 10 巻 8 号 p. 875-882
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    セメントおよびセメント原料中の無水ケイ酸および酸化アルミニウムを迅速に分析するため,螢光X線分析法により定量し,良好な結果を得た.
    検量線作成には純薬で調製した調合原料,合成クリンカーおよび工場製セメントを用いた.測定試料は300kg/cm2で加圧成形し,そのSiKα線およびAlKα線の強度と標準試料玄武岩の研摩切片のSiKα線およびAlKα線の強度とを測定して,無水ケイ酸および酸化アルミニウムを定量した.
    分光結晶はADPであり,X線通路は空気による螢光X線の吸収を防ぐためヘリウムガスを充テンし,強度測定にはガスフロー型比例計数管,ピークとバックグラウンドの識別には波高分析器を用いた.
    本法により,セメントおよびセメント原料中の無水ケイ酸および酸化アルミニウムを,試料板を作り替えて測定した際の定量値の標準偏差は,それぞれσSiO2=0.38%およびσAl2O3=0.28%であり,螢光X線分析値と化学分析値の差の絶対値は無水ケイ酸0.13%,酸化アルミニウム0.20%であった.測定所要時間は試料板作成に要する時間を含めて10分以下であり,本分析法はセメントおよびセメント原料中の無水ケイ酸および酸化アルミニウムの迅速定量法としてきわめて有用な方法であると考える.
  • ボーラログラフによるかん詰の研究(第8報)
    小田 久三
    1961 年 10 巻 8 号 p. 882-886
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    市販オレンジジュースかん詰,80点のスズの溶出量の測定をポーラログラフ法で行なった結果,食品衛生法規の限度"150ppm"を超えたかん詰もあったので,特に注意して試作した履歴の明らかな試料のスズの溶出量を測定し,その溶出の条件を統計的に考察した結果,(1)溶融式スズメッキブリキと電気メッキ式ブリキ,(2)法規限度内のスズの溶出量とかんの真空度,(3)ビタミンCの添加量の差異については有意差が認められず,(4)果汁の充テン時の温度条件,(5)製造後の貯蔵中における経時変化,(6)かん内全面に防食塗装を施すことについては,5%の危険率で有意差が認められた.
  • 金属ウラン中の微量物質の分析方法(第1報)
    森本 良雄, 鈴木 進, 莇 純治
    1961 年 10 巻 8 号 p. 886-890
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    金属ウラン中のマグネシウムの定量法としては,チタンエローあるいはキナリザリンを用いる方法があるが,前者は分子吸光係数が比較的小さく,また分析結果がばらつきがちであり,後者は発色が不安定になりがちである.これらの方法に代わり,分子吸光係数が高いフタレインコンプレキソンを用いてマグネシウムを定量する新しい方法を確立した.この方法により金属ウラン中の5~30ppmのマグネシウムを再現性よく定量することができる.すなわち,ウランを塩酸および過酸化水素水で溶解後,TBP-四塩化炭素溶液でウラン,鉄などを,ついでオキシン抽出法で他の多くの金属を除去後,シアン化カリウムの存在下で,pH 10においてフタレインコンプレキソンにより発色させ,波長570mμでの吸光度を測定し,マグネシウムを定量する.
  • 小田 仲彬, 久保 正二
    1961 年 10 巻 8 号 p. 890-894
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    金属チタンおよび四塩化チタン中の全チタンの定量法につき,簡易化と迅速化の見地から容量法を詳細に研究し,つぎの諸方法を確立した.
    金属チタンは試料をフッ化水素酸と硫酸にとかし,ホウ酸を加えて液状亜鉛アマルガムで還元する.のち四塩化炭素を加えて液状亜鉛アマルガムを分離し,還元液を硫酸第二鉄アンモニウム溶液で滴定し全チタンを求める
    四塩化チタンは試料を注射針付き注射器で塩酸に注入溶解させる.のち試料がバナジウムを含まない場合は金属チタンと同様に還元,滴定する.またバナジウム含有の場合は塩酸溶液に硫酸と過酸化水素水を加え硫酸白煙ののち液状亜鉛アマルガム還元,過マンガン酸カリウム滴定を行ない別に求めたバナジウム含量により補正を行なう.
    分析精度を変異係数(σ%)で示せば金属チタンで約0.1%,四塩化チタンで約0.25%である
  • 並木 博
    1961 年 10 巻 8 号 p. 895-900
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    リンモリブデン酸とスズ(II)との反応にょり生ずるリンモリブデン青により,スズの吸光光度定量を行ない,各種の操作,反応の条件を検討し,定量に最適な条件を規定した.
    発色時の試験濃度は,硫酸3.6N,リン酸二水素カリウム0.4%,モリブデン酸アンモニウム0.4%が最適である.
    スズ(IV)のスズ(II)への還元はアルミニウムを使い,フラスコ内で行なうが,還元操作中は窒素などのガスを通ずる必要はなく,溶液の冷却時にのみ窒素(または炭酸ガス)を通じて空気酸化を防ぐ.還元用アルミニウムは品質の均一なことが必要であり,純度は99.8%程度のものが適している.吸光度の測定は800mμで行ない,スズ(II)濃度15ppmまで検量線は直線を示す.この範囲のスズ濃度で約±0.3ppmのバラツキがあり,5~15ppmの範囲では約5%以下の誤差で定量できる.
  • 並木 博
    1961 年 10 巻 8 号 p. 900-903
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/05/25
    ジャーナル フリー
    前報で定めたリンモリブデン青によるスズの定量法につき,まず妨害イオンを検討し,つぎに二酸化マンガンによる共沈分離後スズを定量する方法を検討した.
    鉄は妨害が大きく,また,二酸化マンガンにも一部混入してくる。鋼,銅合金,水中のスズの定量法を検討したが,鋼の場合は二酸化マンガンの沈殿量を必要最少量とし,再沈殿を行なうとともに,最初の試料を多量にとり,最後に分液することにより鉄の混入を少なくする必要がある.水中のスズの定量には共沈法を微量のスズの濃縮の手段として用いた.このような操作で100~500γのスズを定量した.
    スズ量のこの範囲で,定量誤差は約±20γであるが,鋼の場合はやや大きく+30γ程度であった.
  • 後藤 秀弘, 柿田 八千代
    1961 年 10 巻 8 号 p. 904-906
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    鉄鋼中のバナジウムの光度定量法としては過酸化水素を用いる方法1)2),ジフェニルアミンを用いる方法3)などが行なわれるが,いずれも妨害元素の問題もあり一長一短がある. D. E. Ryanにより報告されたN-ベンゾイルフェニルヒドロキシルアミンを用いる光度定量法を検討した結果,他の元素の妨害も少なく,二,三の注意をすれば鉄鋼中の少量のバナジウムの定量を非常に簡易迅速に行なうことができることが明らかになったので報告する.
  • 金沢 純, 川原 哲城, 佐藤 六郎
    1961 年 10 巻 8 号 p. 906-908
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/02/16
    ジャーナル フリー
    セビンはユニオンカーバイド社が開発したツマグロヨコバイ,ウンカ類に卓効を有する殺虫剤で,市販の粉剤は有効成分N-methyl-1-naphthyl carbamateを1.5%含有する.
    分析方法としては0.1N水酸化カリウム・メタノール溶液で加水分解し,生じた1-ナフトールをパラニトロベンゼンジアゾニウムフルオロボレートのメタノール溶液で発色させる比色定量法が知られているが,試薬およびカップリングした色素が不安定であるため,比色のつど,試薬を調製し,検量線を作製する必要があり,迅速性にかける.
    著者はセビンのメタノール溶液の紫外部吸収スペクトルには280mμに極大吸収があり,この波長における濃度吸光度曲線がセビン0~30PPmにおいてベールの法則にしたがうことを見出し,この方法によるセビン粉剤の分析法を検討した.キャリヤーの種類によってはこの波長において若干の吸収が認められるが,妨害となるほどではなく,この方法は簡便迅速な分析法として役立つと思われる.
  • 鳥養 栄一, 川見 洋二
    1961 年 10 巻 8 号 p. 908-910
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    過ヨウ素酸はアルカリ水溶液でCu3+とdiperiodatocuprate(III)を形成するが,この溶液は強い黄褐色を呈することが知られている.Feiglらはこの反応を銅のspot testに応用したが定量を目的として研究された例はない.,著者らはこの水溶液の吸収スペクトルを測定して吸収極大が415mμにあることを認め,吸光光度法による銅の定量方法として利用する目的でやや詳細に検討した.その結果妨害イオンの影響はいくぶん多いが,安定な発色が容易にえられ,微量銅の定量が可能であることを認めたので報告する.
  • 藤永 太一郎, 桑本 融
    1961 年 10 巻 8 号 p. 911
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2010/05/07
    ジャーナル フリー
    ガスクロマトグラフィーによって高沸点の試料を分析することは困難が多いので,別に燃焼管中にて試料を熱分解したのち分解ガスを一度トラップし,あらためてガスクロマトグラフを用いて定量しようという試みがいくつか報告されている.著者らは,それらに代る新しい方法として交流アークを用いて試料を分解し,直接分解ガスを定量する方法を考案した.装置はFig.1に示すように,アーク源,分解セル,ガスクロマトグラフの三部に大別できる.加熱用のアークは高周波弧光回路のスイッチを入れると点火し,切れば消える.試料は(要すれば試薬と混じて)アーク用電極の孔にあらかじめ挿入しておきキャリヤーガスを通じながらこの点火を行なう.この点火(約3~5秒)が常法の試料注入に相当する.Fig.2は基礎実験として,シュウ酸(結晶水2分子)をそのまま供試して得たガスクロマトグラムである.この分解ガスを本クロマトグラフで定量した結果,適当な条件下(ヘリウム気流,銅電極を使用し,試料孔2×5mnm,点火5秒)において試料1.5から6mgまでCO,CO2ともに十分再現性ならびに比例性が存在することを認めた.
    以上得られた基礎検討の結果,従来の系外分解法と異なり,本法は操作が非常に簡便であり,しかも短時間に分解が完了するなどの長所を持つことがわかった.適当な試薬を共用することにより多くの熱分解反応に適用できると思われる.実験結果の詳細は別に報告する.
  • 品川 睦明, 木曽 義之
    1961 年 10 巻 8 号 p. 912-920
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 諏訪内 正名
    1961 年 10 巻 8 号 p. 921-927
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
  • 柴田 栄一, 斎藤 真一
    1961 年 10 巻 8 号 p. 928-933
    発行日: 1961/08/05
    公開日: 2009/06/30
    ジャーナル フリー
    サブリマトグラフィーとはどういう目的で何をするかということ,そしてその装置が最近どう改良され発展されたかについて述べ,v.c.p.とv.s.p.の意義と測定,およびそれらの数値を用いての混合系の分離と各昇華帯の調べ方について述べた液体などの場合に添昇剤という補助手段も新たに導入されたサブリマトグラフィーによる定量分析の基礎原理とミク鷲分析の方法,金属分析の方法,分子化合物研究法,不純物の調べ方を述べた.中高温サブリマトスコープを作成し,これによって下級(sub)化合物研究の一つの道が開かれた.
  • 1961 年 10 巻 8 号 p. 940
    発行日: 1961年
    公開日: 2009/06/30
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