イオン交換体を加えず,オルトニトロフェニルオクチルエーテル(
o-NPOE)で可塑化したポリ塩化ビニル(PVC)膜を感応膜とする電極を作製し,種々の陰イオンに対する応答を調べた.アルキル鎖の炭素数が10以上のアルキル硫酸イオンに対してネルンスト的応答を示した.アルキルスルホン酸,アルキルカルボン酸イオンに対しては,アルキル鎖の炭素数が11以下のイオンに対してネルンスト的応答を示さなかったが,ドデシルベンゼンスルホン酸イオンとジ-2-エチルヘキシル-スルホコハク酸イオンに対してはネルンスト的応答を示した.その他の陰イオンに対する応答性の検討の結果,ナフタレンスルホン酸イオンや過塩素酸イオンに対してはネルンスト的応答を示さなかったが,テトラフェニルホウ酸イオン及び8-アニリノ-1-ナフタレンスルホン酸イオンではネルンスト的応答を示した.電極の陰イオンに対する応答特性と,それらイオンの疎水性とを関連づけるために,イオン交換体として塩化トリオクチルメチルアンモニウムを含む
o-NPOE可塑化PVC膜を感応膜とする塩化物イオン電極を用いて,これらイオンの選択係数を測定した.この結果より,イオン交換体を添加しない
o-NPOEで可塑化したPVC膜を感応膜とする電極は,塩化物イオン基準で約10
5.5以上の選択係数値をもつ陰イオンに対してネルンスト的応答を示すことが分かった.
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