ペーパークロマトグラフィーによる展開中の一連の無機イオンを,連続的に分析できる装置を考案した.すなわち,黒鉛陽極に対し,白金線あるいは,アクリル樹脂の小片にみぞを設けた水銀プールを陰極とし,その間に濾紙をそう入する.あらかじめ直流定電圧を加えたのち,展開を行ない,無機イオンが原点から,上記の設定電極間を通過するときに示される著しい電流変化を測定する.クロマトグラムの
Rfに相当する値は,最大電流値に達したとき,原点-電極間距離(あらかじめ設定)と原点-溶媒前端間距離の比で与えられる(以下,便宜上
Rφとする).特に,展開速度の大きい有機溶媒,たとえばメタノールなどを用いれば,分離波形は明りょうで,電流感度も鋭敏であり,5~50μgのナトリウム塩,カリウム塩に対して10~500μAの電流変化が認められた.
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