エタノールアミンは,生産量多く,広い用途に使用されているにもかかわらず,その生産や使用に伴う環境汚染の実態についてはほとんど知られていない.
エタノールアミン類の主要な用途の一つである水溶性切削油には界面活性剤としてエタノールアミン,さび止め剤として亜硝酸ナトリウムが添加されており,保存や使用期間中に,発がん物質である
N-ニトロソ化物の生成が予想される.そこで切削油中のエタノールアミンと
N-ニトロソジエタノールアミンを同時に定量する分析法の検討を行った.
分析法は切削油の亜硝酸を尿素で分解した後溶媒を窒素気流中で加熱留去し,シリル化後,水素炎イオン化検出器(FID)付きガスクロマトグラフ(GC)及び多重イオン検出器 (MID)付きガスクロマトグラフ質量分析計(GC-MS)により定量する. GC-MS-MIDの指定質量数(
m/e)はモノエタノールアミンが 102, ジエタノールアミン及び
N-ニトロソジエタノールアミンは 130,トリエタノールアミンは 262を用いた.
試料 10mgを用いたときのモノ,ジ,トリエタノールアミン及び
N-ニトロソジエタノールアミンの実用定量限界は GC-MS-MIDの場合は各々1, 1, 1, 5ng程度であり, GC-FIDの場合は各々 4, 2, 2, 4μg程度である.
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