1. 沖繩地方における方言,甘藷の「ミヂグサレ」(水腐れ)は在圃中の浸水による生理障害である。
2. その病徴は褐色病斑を生ずるものと食味上の變化を來すものとの2種あり,後者は調理した場合芳香甘味を消失してゐて悪臭を放つものと,堅さに異状を來すものとの2種あり。
3. 「ジヤーガル」土壤(沖繩地方の方言で泥灰岩の風化により形成された重粘土壤)における沖繩1號の若藷における被害は水温25.5°-27.0℃では地下部のみ浸水の場合は3日以上,地下,地上兩部浸水の場合は1日で褐色病斑を生ずる。食味上の變化は兩者共1日で既に生ずるが食用に供し得ざる程度の被害は前者は4日以上,後者は2日以上の浸水によつておこる。又,未熟藷の時に受けた食味被害は時日經過すれば消失する。
4. 水温低ければ被害は少い。一般圃場に於ても夏より秋にかけて收穫する甘藷に被害は多い。
5. 未熟藷より成熟藷,さらに過熟藷の方が本病の被害を受け易い様である。
6. 重粘土壤に被害は多く,砂地には殆んどない。又排水良好地に少く,不良地に多い。
7. 沖繩1號,沖繩105號は本病に對して弱く,沖繩100號,沖繩102號は強い。
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