Helminthosporium oryzae HA
2の胞子形成における青色光の抑制作用,さらにこの青色光と胞子形成を誘起する作用をもつ近紫外光の相互作用を明らかにするとともに連続照射による胞子形成抑制作用を検討し,つぎのような結果を得た。
1. HA
2の胞子形成は,BLBの照射量よりも照射時間に対応して行なわれる。
2. HA
2の胞子形成過程は形態的変化および光の波長域に対する反応性によつて次の三つの段階に分けられる。(1) BLB内に含まれる近紫外光照射下で進行する分生子梗の形成過程(2)暗期下で進行し,青色光およびBLBによつて抑制される分生子梗の成熟過程(3)青色光などによる抑制作用を受けないで進行する分生胞子形成過程
3. 青色光による胞子形成抑制作用は,第2の段階の中でもBLB照射終了後,4~10時間に最も強く働く。
4. 最も効果的な時期に与えられた青色光は1,250 erg/cm
2/sec, 10分という小さな照射量で胞子形成を抑制する。
5. 青色光による胞子形成の抑制作用が,BLBによつてある程度回復されることから,青色光と近紫外光の間に相互作用のあることが示唆された。
6. 以上の結果から,BLBの連続照射による胞子形成の抑制作用は,胞子形成における第2段階の, BLBの中に含まれている可視光線の短波長部分による抑制によるものであろうこと,また,明暗を交互に与える場合,少なくとも8時間以上の明暗交替にしないと胞子が形成されないことや,日長が14時間以上になると急激に胞子形成が減少する現象は,青色光に対する感受性が暗転後4~10時間目に最も鋭くなることから説明されることを示唆した。
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