日本植物病理学会報
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34 巻, 5 号
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  • 赤井 重恭, 倉本 孟
    1968 年 34 巻 5 号 p. 313-316
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    本論文は外観健全なイネ葉上の微生物とごま葉枯病発生との関係を検討したものである。
    1. 供試葉は京大付属農場における外観健全な品種中生新千本の上位第2葉であつて,その中央部から希釈法によつて分離し,Candida, Rhodotorula, Penicillium, Alternaria, Aspergillusおよび細菌類などをえた。
    2. 9月上旬ごろの分離結果の範囲では,ごま葉枯病病斑部から特定の微生物(随伴菌)はえられなかつた。
    3. ごま葉枯病菌分生胞子懸濁液に分離した微生物をそれぞれ混合して,発芽および接種試験を行なつたところ,Candida sp.はごま葉枯病菌分生胞子の発芽をとくに抑制しなかつたが,発病を抑制するようであつて,病斑数は混合接種区で少なかつた。
    4. 葉からの分離微生物中には,ごま葉枯病菌の菌糸発育を顕著に抑制するものはなかつた。
  • 井上 忠男, 麻谷 正義
    1968 年 34 巻 5 号 p. 317-322
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    土壌伝染性のソラマメえそモザイクの病原ウイルス(BNV)の寄生性,粒子の形態などについて調べて同定を確立し,他のウイルスとの関連異同を明らかにした。
    BNVはソラマメ,エンドウ,スイートピーなどのマメ科植物に全身感染してえそ病徴と不鮮明な軽いモザイク症状をあらわす。インゲンのいくつかの品種の接種葉に,時おりlocal lesionを生じるが全身感染しない。C. amaranticolorに白色~赤褐色の拡大性輪紋状のlocal lesionを生じ,N. rustica, N. clevelandiiにもlocal lesionを生じるが,その他の植物には病原性が認められなかつた。エンドウをウイルス原とし,C. amaranticolor上で調べたBNVの粗汁液中での耐熱性は50~55℃,希釈限度は10-3~10-4倍,保存限度は20℃で8~17日であつた。ウイルス粒子は径25mμで,150mμに最大,250mμにも長さの分布のピークが認められる。スイートピー上でのBNVのtobacco rattle virus (TRV)に対する干渉効果はきわめて不完全と認められた。BNVはBran-desの粒子の形態による分類のTRV群に入るとみられるが,粒子の形態,寄生性,病徴,物理性などの特徴からTRVやpea early-browning virusなどとは別種のウイルスと考えられる。
  • 野口 照久, 安田 康, 仁井田 太郎, 庄村 喬
    1968 年 34 巻 5 号 p. 323-327
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    新抗生物質ミハラマイシンAはいもち病に対して防除効果があるが,4種の植物ウイルスの増殖およびその発病に対して,かなり高い抑制効果があつた。
    1) 病斑形成の阻止効果は,10μg/ml濃度液の散布で,TMVおよびCMV (Yellow strain)に対して80-90%の阻止率を示した。
    2) タバコ葉組織を浮遊させた場合,TMVの増殖は5μg/mlの2日間処理でほとんど完全に阻害され,0.25μg/mlでも8日間処理すると約70%阻害された。
    3) 発病抑制の効果では,20μg/ml濃度液を散布した場合,TMVによるタバコ植物の発病は,4回以上の散布で無処理にくらべて20日以上も遅延し,70%以上の発病抑制率を示した。同じ濃度で,PVXによるグルチノーザの発病は50%抑制された。イネしまはがれ病に対しては,10μg/ml濃度液では40時間イネの浸根処理で,また5μg/ml濃度液では80時間処理で,いずれも70-80%の発病抑制効果があつた。
    4) ミハラマイシンAの10μg/ml以上の濃度では,タバコ,グルチノーザおよびイネに対して薬害を起こした。しかし処理後新しく展開してくる葉はいずれも正常で,生育が阻害されることはなかつた。
  • 本田 雄一, 坂本 正幸
    1968 年 34 巻 5 号 p. 328-335
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    Helminthosporium oryzae HA2の胞子形成における青色光の抑制作用,さらにこの青色光と胞子形成を誘起する作用をもつ近紫外光の相互作用を明らかにするとともに連続照射による胞子形成抑制作用を検討し,つぎのような結果を得た。
    1. HA2の胞子形成は,BLBの照射量よりも照射時間に対応して行なわれる。
    2. HA2の胞子形成過程は形態的変化および光の波長域に対する反応性によつて次の三つの段階に分けられる。(1) BLB内に含まれる近紫外光照射下で進行する分生子梗の形成過程(2)暗期下で進行し,青色光およびBLBによつて抑制される分生子梗の成熟過程(3)青色光などによる抑制作用を受けないで進行する分生胞子形成過程
    3. 青色光による胞子形成抑制作用は,第2の段階の中でもBLB照射終了後,4~10時間に最も強く働く。
    4. 最も効果的な時期に与えられた青色光は1,250 erg/cm2/sec, 10分という小さな照射量で胞子形成を抑制する。
    5. 青色光による胞子形成の抑制作用が,BLBによつてある程度回復されることから,青色光と近紫外光の間に相互作用のあることが示唆された。
    6. 以上の結果から,BLBの連続照射による胞子形成の抑制作用は,胞子形成における第2段階の, BLBの中に含まれている可視光線の短波長部分による抑制によるものであろうこと,また,明暗を交互に与える場合,少なくとも8時間以上の明暗交替にしないと胞子が形成されないことや,日長が14時間以上になると急激に胞子形成が減少する現象は,青色光に対する感受性が暗転後4~10時間目に最も鋭くなることから説明されることを示唆した。
  • 藤原 喬
    1968 年 34 巻 5 号 p. 336-341
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    大気汚染(SO2)による植物の障害の診断にとつて, SO2の吸収による植物体内の硫黄の蓄積と害徴の発現の関係を知ることが重要である。
    この試験はガスに対して高感受性のイグサ,ソバを用いて,0, 0.065, 0.13,および0.26ppmの各ガス濃度に連続接触させて経時的な硫黄含量の測定と害徴の発現を観察した。その結果いずれもガス接触によつて硫黄含量を増した。またイグサは0.26ppmガス濃度接触では体内の硫黄含量が0.4%位のとき,0.13 ppmガス濃度では0.8%, 0.065ppmでは0.9%のとき,それぞれ葉先枯れが茎長の3%に達する害徴を示した。またソバでは,0.26ppmガス濃度接触では体内の硫黄含量が0.6%位のとき,0.13ppmガス濃度で0.75%, 0.065ppmガス濃度では1.2%位で葉に白色の煙斑があらわれた。ガス接触をしない対照区では硫黄含量は0.2%前後であつた。
    以上のように害徴が発現する時期の硫黄含量は低濃度ガス接触区ほど高かつた。
    このことから低濃度ガス接触区では植物に吸収されたSO2がtoxic S化合物から,シスチン,メチオニンのような含硫アミノ酸などのless toxic S化合物へより多く移行するのではないかと推定されたがアミノ酸の定量分析の結果はこのような推定が誤りであることを示した。
    植物のSO2汚染を診断する場合,低濃度による汚染では害徴発現までに多量の硫黄蓄積がみられるので,硫黄分析で容易に診断できる。しかし急性障害を呈するような高濃度汚染では害徴発現時の硫黄レベルが非汚染に近づくので害徴発現後汚染が停止していると,硫黄分析だけでは汚染の判定は困難であると考えられる。
  • 西原 夏樹
    1968 年 34 巻 5 号 p. 342-343
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 章夫, 冨山 宏平, 勝井 信勝, 正宗 直
    1968 年 34 巻 5 号 p. 344-345
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    これまでの報告で述べたように,ジャガイモの塊茎からファイトアレキシンと考えられる新物質「リシチン」が見出されその構造が決定された。本報ではトマトの未熟果実が病原菌の侵害を受けたときにも同様に,リシチンが生産されることを薄層クロマト法,di-3. 5-dinitrobenzoate結晶の融点,混融試験,赤外吸収スペクトルの比較によつて確認した。
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 346-352
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 352-357
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 357-361
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 362-370
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 370-377
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 5 号 p. 378-392
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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