日本植物病理学会報
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75 巻, 4 号
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総説
原著
  • 大﨑 美由紀, 冨村 健太, 浦野 知, 吉田 政博, 中島 隆
    2009 年 75 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/15
    ジャーナル フリー
    コムギ赤かび病の圃場での動態を明らかにする目的で,栽培中のコムギについて発病穂の分布を初発から4日間隔で4回調査し,Iδ により発病穂の集中度の解析を行った.試験中,登熟後期にも新たな発病穂の出現が確認されたが,4回のいずれの調査時期でも新たに発病する発病穂は集中分布をしていた.さらに,各調査時までの累積発病穂の集中度は,調査時期が進んでも増大しなかったが,それらの集中分布の有意性は高まった.よって,発病穂は調査時期毎に独立して集中点を形成していることが示された.これらの結果は,2ケ年の試験において同様であった.以上より,赤かび病菌の伝染環において,圃場内の一次伝染源の子のう胞子が次々と飛散し,主要な伝染源として長期間寄与しており,発病穂の分生胞子による二次伝染の寄与度は小さいことが示唆された.
  • 猫塚 修一, 羽田 厚, 岩舘 康哉, 石黒 潔
    2009 年 75 巻 4 号 p. 314-322
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/15
    ジャーナル フリー
    通常の農薬散布が行われている一般栽培圃場における,リンゴ斑点落葉病の流行初期の6月上旬~7月上旬の発病程度と流行盛期である7月下旬の発病程度との間の因果関係仮説を創出するために,岩手県内の過去13年間(1993~2005年)の発病調査データを用いてコホート内症例対照研究を実施した.供試データは,岩手県内の40~56地点における6月上旬から7月下旬の発病葉割合で,延べ625事例から構成される.各事例は,各地域の気候特性を反映した特徴的な流行様相が本研究の因果関係仮説に対する交絡因子となることを避けるため,流行様相の異なる4地域に層別化した.7月下旬の発病程度から,県中部を少発生地域,残りを多発生地域とみなした.本研究の結果から,流行初期の7月上旬の発病程度と流行盛期である7月下旬の発病程度には緊密な関連性が認められ,オッズ比(OR)は少発生地域では10.4,多発生地域では3.1であった.流行初期の6月下旬と流行盛期の7月下旬との関連性は,多発生地域では明確には認められなかったが,少発生地域では認められた(OR: 3.8).これらの結果から,通常の農薬散布が行われている条件下において,流行初期の発病程度と流行盛期の発病程度の間に因果関係があるとする仮説の蓋然性は高いと推察された.
短報
  • 山崎 修一, 廣瀬 正純, 米元 俊一, 樋田 宣英, 上曽山 茂, 酒井 淳一, 花田 薫
    2009 年 75 巻 4 号 p. 323-327
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/15
    ジャーナル フリー
    サツマイモ斑紋モザイクウイルス(SPFMV)は,食用や焼酎用原料として利用されるサツマイモの塊根に帯状粗皮病を発病させ,減収をもたらす.大分県のサツマイモから分離したサツマイモ斑紋モザイクウイルス弱毒株10-Oは,サツマイモにあらかじめ接種することで,帯状粗皮病に対する干渉効果を示し,その感染による減収もない.本研究により,この10-Oの感染による塊根の内容成分と醸造適性に及ぼす影響はなく,焼酎用原料として利用可能であることが明らかにされた.さらに,10-Oが感染すると塊根の形状は細長くなり,熱伝導性や加工作業性を高める可能性が示された.以上から,サツマイモにおける弱毒株10-Oの利用は,帯状粗皮病の防除のみならず,醸造原料としての加工適性の向上にも有用と考えられる.
  • 木村 重光, 德丸 晋, 久下 一彦
    2009 年 75 巻 4 号 p. 328-331
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/15
    ジャーナル フリー
    The influence of yeast spot disease caused by Eremothecium coryli and E. ashbyi on the development of soybean seed was investigated. Soybean seeds were inoculated with one of the yeasts via sucking by Riptortus pedestris, allowed to feed on the seeds for 24 hours at room temperature. As a result, the seed coats of inoculated seeds developed necrotic areas, and seed filling of the seeds was inhibited. The symptoms and degree of inhibition of the infected seeds differed significantly from those on soybean seeds that had been sucked by yeast-free R. pedestris.
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