1. レンゲ菌核病菌の菌核の子嚢盤形成に及ぼす硫酸液の影響について研究した結果の報告である。
2. 1%および3%の硫酸液では菌核の子嚢盤形成を阻止することはできない。3% 10時間浸漬ではその形成を阻止したが, レンゲ種子に対する影響を考慮すると応用できない。
3. 5%および10%硫酸液1時間および3時間処理では菌核の発芽を完全に阻止することは望めないが, 4-10時間処理では完全に防止し得る。
4. 硫酸の濃度と処理時間によつて, 二次菌核を形成し, この二次菌核から子嚢盤を抽出する。20%より濃厚な硫酸液では濃度の上昇と共に二次菌核の形成を増す傾向がみとめられた。
5. 菌核の皮層部の壊死は硫酸濃度の高いほど顕著であつて, 皮層部の壊死した菌核は直接子嚢盤を形成しないが, 二次菌核を形成したのち子嚢盤を形成する。
6. 硫酸の菌核に及ぼす影響は, 大体20%以下の低濃度液では浸透作用により, 濃厚液では皮層細胞に対する腐蝕作用によつて現われると考えられる。
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