日本植物病理学会報
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74 巻, 1 号
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原著
  • 衣川 勝, 加藤 寛, 秋光 和也
    2008 年 74 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/05
    ジャーナル フリー
    キウイフルーツ枝では,Diaporthe sp.接種枝から6種類,有傷処理した枝から1種類,無処理枝から1種類,またキウイフルーツ葉では,灰色かび病罹病葉から5種類,非感染葉から1種類の抗菌性物質がそれぞれバイオオートグラフ法で検出された.Diaporthe sp.接種後の時間経過と枝での抗菌性物質生成量の推移を調査したところ,病斑の拡大がほぼ終了する接種30日後に抗菌性物質生成も最大となった.キウイフルーツ1,3,6年生枝にDiaporthe sp.を接種し,30日後の抗菌性物質の生成量を比較したところ,1年生枝が最も多く,次いで3年生,6年生の順であり,樹齢が経過するほど抗菌性物質の生成は少なくなった.この傾向は,キウイフルーツ枝は樹齢が進むほど両病原菌に対する感受性が高まる傾向と一致した.
  • 廣岡 裕吏, 松本 譲, 海老原 克介, 植松 清次, 小林 亨夫, 夏秋 啓子
    2008 年 74 巻 1 号 p. 7-12
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/03/05
    ジャーナル フリー
    2001年6月,千葉県旭市で施設栽培ハウスのナツシロギク[Tanacetum parthenium (L.) Schultz-Bip.]の苗に,半身が生育不良となり,後に萎凋枯死する病害が多数観察された.発病株の地際部および根の維管束には褐変が認められFusarium属菌が高率に分離された.また,分離菌を用いた接種試験では,病徴が再現され分離菌が再分離された.本菌は3隔壁の大分生子が多く観察されることや厚壁胞子が粗面であること,菌叢が紫色を呈することなどの形態的特徴よりF. oxysporum Schl.と同定した.さらに,β-tubulinのtub2領域を用いたDNA解析からも同定を裏付ける結果を得た.6種のキク科植物(キク,アスター,レタス,ゴボウ,マリーゴールド,コスモス)を用いた宿主範囲の検討では,全ての植物において茎内部の褐変などはみられず,病原性は確認できなかった.また,American Type Culture Collection(ATCC)から取り寄せたF. oxysporum Schl. f. sp. chrysanthemi Litt.(Strain No.: ATCC 52422)において,ナツシロギクへの接種試験における病原性は確認されなかった.そこで,ナツシロギク分離菌を新分化型と考え,Fusarium oxysporum Schl. f. sp. tanaceti Hirooka, Matsumoto et Tak. Kobay.(Strain No.: MAFF 240102; GenBank No.: AB237490)とすることを提案し,本病をナツシロギク萎凋病(英名:Fusarium wilt)と命名したい.
短報
病害短信
平成19年度地域部会講演要旨
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