極めて低濃度でしか存在しない農業環境中からイネもみ枯細菌病菌
Burkholderia glumaeを検出するのは,選択培地を用いた塗沫法のような従来の方法では困難である.これを解決するために,メンブレンフィルターによる濾過法と増菌後にPCRを行う増菌PCR法とを組み合わせた新たな方法を考案した. PCRプライマーは,
B. glumaeの16S-23S rDNAスペーサー領域を特異的に増幅するよう設計したもの(PGF1, 5'-TGTCTGACACGGAACACCTGGGTAG-3'; PPR1, 5'-AGGTTGAGTTCTCGCATTTGTGCCG-3')を用いた.本法により, 10
0 cfuの
B. glumaeで人工的に汚染した1000mlの農業用水からの検出が可能であった.本法を用いて,水田地域における水圏環境から採取した大容量試料について調査を行った結果, 5月から11月にかけて田面水,農業用水,河川水および湖沼水から
B. glumaeが検出されたが, 12月から4月の間は全く検出されなかった.また,もみ枯症が発生し
B. glumaeが検出された水田の内外に自生する植物34株について検出を試みた結果,コナギから本細菌が検出された.
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