日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
70 巻, 2 号
選択された号の論文の5件中1~5を表示しています
  • 剣持 伊佐男, 酒井 宏
    2004 年 70 巻 2 号 p. 99-105
    発行日: 2004/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Verticillium longisporumおよびV. dahliae(トマト系)の混在するキャベツバーティシリウム萎凋病の甚発生圃場において,輪作作物および圃場雑草の9科20種植物に対する両種病原菌の寄生性と数種作物の個体中における分布状況を検討した.キャベツ,ハクサイ,ダイコンでは激しい病徴が認められ,異なる株または同一株から両種が分離された.ジャガイモとウドからは両種が,ベニバナインゲンからはV. longisporumのみが分離され,これら作物におけるV. longisporumへの感染が初確認された.同一個体から両種が分離された作物のうち,アブラナ科作物ではV.longisporumの分離率が,ジャガイモではV. dahlineの分離率が高かった.トマト,コスモスからはV. dahliaeのみが分離された.レタスおよびイネ科作物(スイートコーン,ソルゴー,野生種エンバク,スダックス)には,両種の寄生は認められなかった,圃場雑草ではスカシタゴボウからV. longisporumが,スベリヒユからV. dahliaeが分離された.以上の結果から,両種は混在条件下でも互いに影響されることなく,それぞれの種に固有の寄生性を示していると考えられた.
  • 那須 英夫
    2004 年 70 巻 2 号 p. 106-114
    発行日: 2004/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ葉しょう腐敗病菌Sarocladium oryzaeを穂ばらみ期と開花期に接種すると,籾の褐変や褐色米が高率に発生した.さらに,穂ばらみ期接種では葉鞘の腐敗を生じて病徴が再現されたが,開花期接種では本症状が発生しなかった,一方, 1978年にイネの穂が全体に褐変する症状が発生し,それらの玄米の多くは褐色米であった.褐色米や本病の多発圃場のイネ株から分離したSarocladium sp.の菌株をイネの開花期と穂ばらみ期にそれぞれ接種すると,本病菌の接種結果とほぼ同様の結果が得られた.なお,分離菌の葉身への病原性は低かった.そして,褐色米からの分離菌はSarocladium oryzaeと同定された.以上のことから,岡山県に発生した褐色米はイネ葉しょう腐敗病菌Sarocladium oryzaeによって起こることが明らかとなった.
  • 小原 達二, 澤田 宏之, 畔上 耕児
    2004 年 70 巻 2 号 p. 115-122
    発行日: 2004/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    極めて低濃度でしか存在しない農業環境中からイネもみ枯細菌病菌Burkholderia glumaeを検出するのは,選択培地を用いた塗沫法のような従来の方法では困難である.これを解決するために,メンブレンフィルターによる濾過法と増菌後にPCRを行う増菌PCR法とを組み合わせた新たな方法を考案した. PCRプライマーは, B. glumaeの16S-23S rDNAスペーサー領域を特異的に増幅するよう設計したもの(PGF1, 5'-TGTCTGACACGGAACACCTGGGTAG-3'; PPR1, 5'-AGGTTGAGTTCTCGCATTTGTGCCG-3')を用いた.本法により, 100 cfuのB. glumaeで人工的に汚染した1000mlの農業用水からの検出が可能であった.本法を用いて,水田地域における水圏環境から採取した大容量試料について調査を行った結果, 5月から11月にかけて田面水,農業用水,河川水および湖沼水からB. glumaeが検出されたが, 12月から4月の間は全く検出されなかった.また,もみ枯症が発生しB. glumaeが検出された水田の内外に自生する植物34株について検出を試みた結果,コナギから本細菌が検出された.
  • 井手 洋一, 黒木 健児, 田代 暢哉, 真籠 洋, 吉川 信幸, 大島 一里
    2004 年 70 巻 2 号 p. 123-127
    発行日: 2004/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Coat protein (CP) of Apple stem grooving virus (ASGV) was obtained from E. coli expressing ASGV-CP gene. Purified CP was injected into a rabbit and antiserum to ASGV-CP was raised. The antiserum reacted with ASGV-CP in both western blots and double antibody sandwich-enzyme linked immunosorbent assays (DAS-ELISA). For DAS-ELISA on ASGV in citrus leaves, extraction buffers with different pH were tested. ELISA values were higher when extraction buffers of higher pH were used. Carbonate-bicarbonate buffer (pH 9.6) containing 0.05% Tween 20 gave the highest reading. This ELISA system was shown to be useful for detection ASGV in our surveys.
  • 荒井 茂充, 原田 幸雄
    2004 年 70 巻 2 号 p. 128-131
    発行日: 2004/05/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    A new disease of quince with fruit spots and brown flecks on leaves was found in Aomori. A species of Cylindrosporium was isolated from the fruit spots, and Mycosphaerella type pseudothecia were obtained from overwintered, affected leaves. Single-spore isolates from the pseudothecia produced a Cylindrosporium anamorph on potato dextrose agar. These isolates caused the same spots on quince and apple fruits and the blown flecks on quince leaves in inoculation tests. Based on morphological and cultural characteristics, the fungus was identified as Mycosphaerella pomi (anamorph: Cylindrosporium pomi). This is the first report of M. pomi on quince in Japan.
feedback
Top