1983年から静岡県,愛知県および長野県でアブラナ科野菜に斑点細菌病害の発生を認めた。病徴は最初葉に針頭大の暗緑色水浸状斑点として現れ,その後次第に拡大して直径2∼3mmの灰白色壊死斑となった。分離された病原細菌はグラム陰性好気性の極毛桿菌で,黄色の粘凋集落を形成し,ゼラチン液化,硫化水素産生,デンプン加水分解は陽性,硝酸還元,アルギニンジヒドロラーゼ産生は陰性であった。グルコース,スクロース,ラクトース,デンプン,マンニトールおよびデキストリンから酸を産生したが,リボースおよびズルシトールからは産生しなかった。接種試験により数種アブラナ科植物の他,トマト,ホウズキ,キュウリおよびカボチャに病原性を示し,いずれも葉に多数の病斑を生じた。これらの結果より,本病原細菌を
Xanthomonas campestris pv. raphani (White 1930) Dye 1978と同定した。本病の病名をアブラナ科野菜斑点細菌病(bacterial spot)としたい。
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