日本植物病理学会報
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45 巻 , 5 号
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  • 富樫 二郎
    1979 年 45 巻 5 号 p. 591-595
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    植物組織内での軟腐病菌E. carotovora系統間の競合を検討するために,ファージ感受性の異なる6系統をアブラナ科野菜に混合接種し,病斑からの分離頻度を比較した。供試菌はいずれもストレプトマイシン耐性菌で,各々系統I(ファージ型:A), II (B), III (C), IV (D), V (E),およびVI (F)とした。この結果,病斑からの分離頻度が系統間で違うことが判明した。病斑形成の初期にはIII (C), IV (D), VI (F)の3系統が分離されたが,その後は各野菜とも系統VI (F)が優勢になった。同一病斑内の病原菌は単一の系統からなっていることが多かった。しかしながら,この他の系統は分離されなかった。ところが系統の組合せによって優勢になる系統が変わり,VI (F), III (C), IV (D), V (E), I (A)またはII (B)の順に優占順位があって,病原力の強い系統がいつも優勢になるとはかぎらなかった。各系統を単独に接種したときには,接種したものと同じ系統がそれぞれの病斑から分離された。これらの事実から植物組織内で軟腐病菌の系統間に競合がおこり,その中のある系統によって感染し,発病するものと考えられる。
  • 酒井 隆太郎, 美濃 羊輔, 高地 雅子, 榎 佐和子
    1979 年 45 巻 5 号 p. 596-602
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イタリアンライグラスかさ枯れ病菌,Pseudomonas coronafaciens var. atropurpurea,によって生産される菌体外毒素,コロナチンによるジャガイモ塊茎柔組織切片中の澱粉粒分解におよぼす影響を調べた。コロナチン処理により,澱粉粒,とくに長径30μm以下の比較的小型のものが優先的に消失し,それに伴い細胞も肥大した。本病原菌を接種した際にも,コロナチン処理の場合とほぼ同様の現象が観察された。コロナチン処理により,アミラーゼ活性はかなり増加したが,ホスホリラーゼおよび枝切酵素の活性はほとんど変化しなかった。上記のことから,コロナチン処理によるジャガイモ塊茎柔組織切片中の細胞の肥大は,アミラーゼ活性の増大により生じた澱粉粒の分解にもとづく細胞内浸透圧の増加と細胞壁の可塑性の増大により引き起されるものと考えられる。
  • 美濃 羊輔, 酒井 隆太郎
    1979 年 45 巻 5 号 p. 603-607
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    DEAE Sephadex A-50カラムクロマトグラフィにより,チモシー斑点病菌Cladosporium phleiの菌体内から2つの(Int IとInt II),さらに培養濾液から1つの(Ext I) β-フラクトフラノシダーゼが分画された。これらすべての酵素はシュクロース,ラフィノースおよびβ-2, 6-フラクトサンを分解したが,イヌリン(β-2, 1-フラクトサン)およびメチル-2-D-グルコサイドを分解しなかった。Ext Iは2つの菌体内酵素と異なり,シュクロースよりもβ-2, 6-フラクトサンを強く分解した。Int I, Int IIおよびExt Iの至適pHはそれぞれ5.0, 5.0, 5.5であった。Ext Iは2つの菌体内酵素に比して,わずかに熱安定性を示した。チモシー葉中にフラクトサンが含まれることから,本菌によるその利用性が寄生性との関連において論じられた。
  • 古屋 広光, 大和田 正幸, 宇井 格生
    1979 年 45 巻 5 号 p. 608-617
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 北海道常呂郡訓子府町の一部に,F. solani f. sp. phasepliによるインゲン根腐病の発生が極めて少ない地域がある。
    2. この地域内にある道立北見農業試験場インゲン連作試験区および一般圃場の土壌やインゲン,さらに周辺農家のインゲンからは,インゲン根腐病菌は分離されなかった。
    3. 本病発生の著しい道立十勝農業試験場圃場の土壌を対照に,病原菌量を同一として接種すると,インゲンの発病,インゲン切離胚軸の感染は常に北見土壌で著しく少なかった。
    4. 北見土壌の発病抑止作用は,高圧殺菌により失なわれるが,この土壌を長期間温室内に保つと復活した。
    5. 北見土壌における本病原菌の行動を,土壌なすり付け法,セロファン法により十勝土壌と比較した。その結果,北見土壌における本病原菌の大型分生胞子,厚膜胞子の発芽,大型分生胞子発芽管の生長,厚膜胞子形成は十勝土壌より著しく劣っていた。しかし,土壌抽出液中の厚膜胞子形成は,北見土壌の方がはるかに良好であり,土壌中とは反対の結果が得られた。
    6. 以上の結果から,北見土壌でインゲン根腐病が発生しないのは,大型分生胞子が厚膜胞子を形成することなく溶菌を起こし,また,厚膜胞子が混入しても発病は軽微で感染源となる菌量が減少するためと考えられる。このことから,北見土壌は,地上の植生や作物栽培とは関係なしに,インゲン根腐病菌の住み付きが困難な抑止型土壌の一種と考えた。
  • 後藤 正夫, 忠内 雄次, 岡部 徳夫
    1979 年 45 巻 5 号 p. 618-624
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ペプトン水,ナツミカンの生葉および細胞間汁液中におけるX. citriおよびE. herbicolaの相互作用を調べた。30Cに保ったペプトン水中ではE. herbicolaが速やかに増殖し,X. citriの増殖は抑えられたが,20Cでは両菌のゆるやかな増殖が24時間継続した。7月に採取した細胞間汁液ではE. herbicolaの増殖は抑制されたが,X. citriは影響を受けず増殖した。2月および10月採取の細胞間汁液ではこのような選択性はみられなかった。X. citriを注射接種した生葉では6∼9時間後に細胞間隙に栄養物質の放出が認められた。また生葉中ではE. herbicolaの単独増殖は起らず,混合接種したX. citriの菌数が107個/cm2レベルに達した後に増殖がみられた。
  • 後藤 正夫, 竹村 育子, 山中 勝司
    1979 年 45 巻 5 号 p. 625-634
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    X. citriを接種したナツミカン葉組織では病菌増殖に伴って24∼48時間目から電解質およびアミノ酸の漏出が認められた。主なアミノ酸の種類はプロリン,アンセリン,γ-アミノ酪酸,セリン,アラニン,アスパラギン酸,カルノシンおよびエタノールアミン等で,カルノシンとエタノールアミンは感染組織のみに検出された。抵抗性のカラモンジンでは細菌増殖は低く抑えられたが電解質漏出は起った。Erwinia herbicolaのV2菌株では漏出が特に急激に起ったが,同F2菌株では認められなかった。X. phaseoliでは電解質およびアミノ酸の漏出は起らなかったが,細胞のアミノ酸組成には大きな変化が認められた。X. citriを接種したナツミカン葉の変化はこれらE. herbicola V2菌株とX. phaseoliのほぼ中間的なものであった。
  • 小泉 銘冊
    1979 年 45 巻 5 号 p. 635-644
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    感受性宿主においては,接種後20C, 24-48hrに宿主の細胞壁が膨潤し,その表面が剥離した。48-96hr後,細菌は剥離した表面と細胞壁との間隙で増殖し,それに伴い,細胞壁の表層が著しく分解され,小繊維状になって細胞間隙に分散した(感染初期)。96hr以降,plasmalemmaが細胞壁内面から剥離し,崩壊するとともに,これらの細胞の周囲で細菌が著しく増殖した(感染後期)。その後,tonoplastおよび細胞内器官が崩壊し,ついで細胞壁が破れ,細菌が内部に侵入して増殖した。
    抵抗性宿主における感染初期の変化は感受性のそれと同様であったが,しだいに細胞間隙の繊維状物質が凝集し,細菌を包み込んだ。感染後期,plasmalemmaが崩壊する段階で細胞質が凝固し,細胞壊死を来した。壊死細胞の周囲では細菌の増殖は見られなかった。その後,細胞間隙は高電子密度の物質で充填され,細菌の移行が阻害されるとともに,その中に包埋された細菌は死滅した。以上のことから,最も重要な抵抗反応は細胞間隙における繊維状物質の凝集および細菌の包み込みであり,細胞壊死は,細胞崩壊にともなう細菌増殖を起させない点で重要であると結論した。
  • 酒井 隆太郎, 西山 幸司, 市原 耿民, 白石 久二雄, 坂村 貞雄
    1979 年 45 巻 5 号 p. 645-653
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イタリアンライグラスかさ枯病細菌Pseudomonas coronafaciens var. atropurpureaは病徴発現毒素としてコロナチンを生産する。一方コロナチンは生理的濃度で,特異的にジャガイモ塊茎組織の異常肥大を起こす作用を有する。これらのコロナチンの生理活性は本病の病徴発現機構と関連するように思われる。本報告では,コロナチンによるジャガイモ塊茎組織の肥大機構を追求した結果を報告する。ジャガイモ切片にコロナチンを与えると3日後より組織の肥大が起こる。これは処理面下数細胞層の細胞が著しく肥大することによる。
    コロナチンが細胞壁の弛緩に作用するかどうかを検討するため,細胞壁の可塑性を測定した。その結果コロナチン処理ジャガイモ塊茎組織の可塑性は増加し,壁圧によって押えられていた吸水が増大し,細胞の肥大を促進したと考えられた。またコロナチンによる水分吸収がエネルギー代謝阻害剤sodium azide, fluoroacetateおよびdinitrophenolにより抑制される。これはコロナチチンの細胞壁に対する作用は呼吸代謝と関連すると考えられる。またコロナチンによる細胞壁可塑性の増加がactinomycin-Dおよびcycloheximideで抑制されることから,核酸および蛋白の合成が細胞の肥大に必須の条件であると考えられる。一方コロナチン処理による細胞の肥大に伴って細胞内澱粉粒の消失が認められる。以上の結果より,コロナチンによるジャガイモ塊茎切片の肥大は,まず細胞壁の弛緩が起こり,その後澱粉粒の分解が始まり,細胞浸透圧の増加に伴って吸水が増加し細胞が肥大するためと結論された。
  • 西口 正通, 大島 信行
    1979 年 45 巻 5 号 p. 654-659
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト系TMVの弱毒系統(L11A)の2, 3の性質について親系統(L)と比較しながら調べた。L11Aの希釈限界は10-7∼10-8であったが,Lは10-8でもなお感染性が認められた。耐熱性について,L11Aは90C 10分間の処理で失活したがLではなお感染性が認められた。70CにおけるL11Aの感染性失活の経時的変化は,Lのそれよりも早いことが示された。ウイルス粒子の形態および長さの分布は,L11AとLの間ではほとんど差異がみられなかった。25Cにおける感染葉汁液の耐保存性について,L11Aが1週間後約50%,1年後10%以下の感染性しか保持しなかったのに対し,Lは各々80%, 50%の感染性を保持した。L11Aの凍結乾燥標品を22∼25Cで保存した場合,0.01Mリン酸緩衝液,pH 7.0,中で凍結乾燥すると27ヵ月後には失活したが,ショ糖2%添加した区ではよく活性が保持された。また凍結乾燥標品の保存中におけるウイルスの変異性を調べるため,ショ糖添加区の27ヵ月目のサンプルについて生じた50コの局部病斑をそれぞれトマト苗に接種したところ,1株でのみ小不整形の退色斑点を生じた。L11Aのトマト葉ディスクにおける増殖適温は25∼28Cであり,35Cでは増殖しないようであった。一方,Lの増殖適温は28∼30Cであり,35Cでも相当量増殖した。Lに対するL11Aの増殖量の割合は22∼35Cの間で高温になるほど減少した。
  • 安藤 勝彦, 佐藤 昭二, 勝屋 敬三
    1979 年 45 巻 5 号 p. 660-667
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    コムギ赤さび病菌(Puccinia recondita f. sp. tritici) race 45の夏胞子をコムギ農林16号幼苗に接種し,フレックが出現した時点でコムギ葉を切り取り表面殺菌を行ない,葉小片を2種類の培地にそれぞれ静置し,20C暗所で培養した結果,高頻度でコロニーを獲得することに成功した。
    培養2-4週間後,培地に静置したコムギ葉小片上に出現した気中菌糸は,コムギ葉組織内菌糸より伸長したものである。すなわち,コムギ葉上夏胞子堆周辺およびコムギ葉の気孔下に形成された菌糸塊に由来したものであって,コムギ葉上の夏胞子堆内夏胞子の発芽管に由来したものではないようである。
    培養2-3ヶ月後に至り,コムギ葉上の白色コロニーは培地上へと伸長した。培養2ヶ月後,これらのコロニー小片を新鮮な培地へ継代培養した。その結果,継代成育を行なう白色および黄色のコロニーと,成育が認められない褐色および暗褐色のコロニーを観察した。光学顕微鏡観察により,前者は3-3.5μm巾の細い菌糸より成り,胞子形成は認められず,後者は5-8μm巾の太い菌糸より成り,多数の胞子形成が認められた。
    褐色コロニーをMaclean and Scott9)の方法に従い無菌のコムギ葉小片に接触させ,コロニーの病原性を調査した結果,接種1ヶ月後に至り,22のコロニー中1コロニーにおいてコムギ葉上に夏胞子堆が形成された。
  • 西山 幸司, 草葉 敏彦, 太田 光輝, 名畑 清信, 江塚 昭典
    1979 年 45 巻 5 号 p. 668-674
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    富山県で発生しているPseudomonas sp.によるチューリップ黒腐病の病原細菌の種名を明らかにするため,分離細菌14菌株に対照としてP. andropogonisP. woodsiiを各1菌株加えて細菌学的性質と病原性を調べた。供試16菌株は二,三の遅反応を除くと約60項目の細菌学的性質が一致し,既往の両菌種の記載とも一致した。病原性については,それぞれの原宿主植物チューリップ,ソルゴーおよびカーネーションの間の交互接種によりいずれの組合せでも容易に発病し病徴にも違いがなかった。
    対照の2菌種には国際細菌命名規約上の優先順位がないので,同規約の規則42に従ってP. andropogonisを正名に選び,P. woodsiiをその異名とする。よって,チューリップ黒腐病細菌はP. andropogonis (Smith 1911) Stapp 1928と同定される。
    病名は先の提案通り黒腐病(bacterial black rot)とする。
  • 久能 均, 伊藤 修, 河野 満, 石崎 寛
    1979 年 45 巻 5 号 p. 675-682
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Erysiphe graminis f. sp. hordeiE. graminis f. sp. triticiの分生胞子は,付着器が完成する数時間前に寄主細胞壁を貫穿する第一発芽管を作る。本論文は,走査電顕マニプレーターを用いて,E. pisi, E. cichoracearum, E. polygoniも同様の構造をもっているか否かを検討した結果である。比較のために,E. graminis f. sp. hordeiE. graminis f. sp. agropyriも用いた。E. cichoracearumの分生胞子は接種後16時間に1本の発芽管を生じたのみであったが,E. pisiE. polygoniの少数の分生胞子は複数発芽管を生じた。これらの種では,付着器のみが寄主侵入を行ない,他の発芽管は侵入しなかった。これに対して,E. graminisの両菌は,寄主侵入を行なう第一発芽管と付着器をもっていたが,後者からのみ吸器が発達した。これらの結果および過去の文献から,第一発芽管は,E. graminisの特徴の一つであろうと推定された。
  • 西山 幸司, 福西 務, 寺田 孝重, 江塚 昭典
    1979 年 45 巻 5 号 p. 683-688
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1978年1月,徳島県下のビニルトンネル栽培のニンジンに,本邦未記録の一種の細菌病が発生した。本病は葉身および葉柄を侵して黒褐色の病斑を形成し,黒葉枯病に類似した病徴を呈する。本病は1月中旬に初発し,2∼3月に蔓延し,トンネルが除去される4月には病勢は停滞する。圃場での発生には品種間差異が認められ,品種光輝200で被害が著しく,チャンテネーの発病は少なかった。罹病葉からの分離細菌15菌株は細菌学的性質が斉一で,噴霧接種により自然発病の病徴を再現した。同菌の細菌学的性質はX. carotaeおよびX. campestrisの既往の記載および対照として用いた後者の菌株の性質とほとんど一致した。交互接種試験の結果,供試細菌と対照のX. campestrisとの間には寄生性に明瞭な分化が認られた。よって,供試細菌をXanthomonas carotae (Kendrick 1934) Dowson 1939と同定した。Youngらの提案に従えば,本細菌はX. campestris pv. carotae (Kendrick 1934) Dye 1978と呼称されることになる。病名は斑点細菌病(bacterial blight)を採用したい。
  • 後藤 正夫, 矢口 文彦
    1979 年 45 巻 5 号 p. 689-694
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    カンキツかいよう病における罹病度と落葉との関係を,Xanthomonas citriを人工接種したナツミカン葉を用いて調べた。圃場で春季新梢に噴霧接種した場合葉身面積に対する病斑面積の比(病斑面積率)が10%に達すると80%以上の葉が落葉し,20%以上に達すると100%落葉した。このときの病斑面積率は直径4.5mmの大型病斑の場合,ナツミカン成葉1cm2あたり1個,または成葉1枚あたり15∼20病斑に相当した。一方,病斑面積率が5%以下の場合は11月までの調査期間中に殆んど落葉はみられなかった。1年生実生苗を用いてガラス室内で行った葉肉内注射接種でも落葉は病斑面積率に比例して増大した。この場合,落葉した葉は大部分20%以上の病斑面積率を有し,圃場における噴霧接種に比較してやや高い比率で落葉が誘発された。かいよう病感染による落葉は,葉の接種部位でも大きく異なり,接種点が葉身先端に近い場合は殆んど影響を受けないが,葉身基部に下がり,〓葉との境界に近ずくにしたがって落葉率が急激に高くなった。
  • 山口 富夫, 伊藤 征男
    1979 年 45 巻 5 号 p. 695-698
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) いもち病々斑の胞子形成能の品種間差異を調査するために,圃場抵抗性の異なる22品種を供試して,いもち病菌をパンチ接種し,病斑の長さ,巾を測定すると同時に,病斑部を採取し,28Cの湿室に入れ,胞子数を測定した。
    (2) 10葉期の接種により病斑面積は品種間差が認められ,圃場抵抗性強の陸稲農林12号,同糯26号,ヤカン,クロンボ,水稲トドロキワセ,ヨネシロは病斑面積が小さく,抵抗性弱のクサブエ,愛知旭は病斑面積が大きかった。
    (3) 圃場抵抗性強の品種では,弱の品種にくらべ,1病斑当りの胞子形成量が少く,症斑面積の差が大きくなるにつれ,胞子形成量の差も顕著となった。
    (4) 病斑面積30mm2当りの胞子数(胞子形成能)にも品種間差異が認められ,圃場抵抗性の強いトドロキワセ,ヨネシロは胞子形成能が低く,抵抗性の弱いクサブエ,愛知旭は高かった。陸稲農林12号は病斑面積が小さく,止り型であるが,胞子形成能は高かった。
    (5) 5葉期の病斑の胞子形成能は品種間差が明瞭でなく,6葉期に明瞭となり,8葉期には顕著な差を示した。
  • 伊藤 征男, 山口 富夫
    1979 年 45 巻 5 号 p. 699-704
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. いもち病菌の基質に依存する胞子形成の検討とイネ体に含まれる胞子形成を誘導する物質の探索を試みた。
    2. いもち病菌(研53-33)はオートクレーブし,素寒天培地上に置床したイネ葉片上で旺盛に生育し,暗黒下でその上に多量の胞子を形成した。形成量は5.3×105/cm2(イネ葉片)であり,病斑上のそれよりも著しく多かった。イネ葉片上の胞子形成量は葉位により差が認められた。
    3. 近紫外光照射下で培養するとオートクレーブしたイネ葉片上の胞子形成量は7.6×105/cm2となり,暗黒下における4.1×105/cm2と比較して多かったが,約2倍にしかすぎなかった。
    4. いもち病菌の胞子形成における基質依存と光依存とは菌株によって異っており,基質依存の菌株(例えば研53-33, Ai2-7など)は近紫外光を照射しても形成量が暗黒下とほとんど差がなかったが,光に依存する菌株(例えば北373, Ni2-14など)は近紫外光照射により形成量が約10∼40倍となった。
    5. 植物組織乾燥粉末を胞子形成の基質として用いた場合,イネ葉で形成量が最も多く,次いでイタリアンライグラス葉であった。インゲン,ジャガイモ,ハツカダイコン葉では形成量が少なく,菌株により,形成するものとしないものとがあった。
    6. イネ体には胞子形成を誘導する物質が含まれており,水,熱水,エタノール,およびメタノールで抽出された。
    7. 各種溶媒を組合せ,抽出を行った結果,エタノール抽出物では100μg/ml以上で,エタノール可溶部をろ過し,さらにこの残渣の熱水抽出物では1000μg/ml以上で胞子形成誘導活性が認められた。
    8. 熱水抽出物をイオン交換樹脂処理を行ったところ,活性物質は酸性物質としての性質を有しており,10μg/ml以上で胞子形成を誘導した。
  • 酒井 進, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1979 年 45 巻 5 号 p. 705-711
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ品種リシリおよびユキジロの塊茎および芽・茎の各組織切片に酢酸-2-14Cを与え,リシチンへの放射能の取り込みを調べることによって,各組織におけるリシチン合成を検討した。リシチンに放射能が取り込まれていることは,リシチンのbis (3, 5 dinitrobenzoate)誘導体を再結晶して,その放射能比活性が変化しないことにより証明した。リシリ塊茎diskでは,リシチン合成経路は切断後30分ですでに作動していた。リシリおよびユキジロの塊茎から暗黒中で生じた芽では,切片作成後10分ですでにリシチン合成経路は存在していた。リシリの塊茎から伸びた茎(長さ約10cm)の先端1cmの部位でもすでに10分で認められその合成能力は茎の先端から4cm下方の部位よりも高い値を示した。これらのことは,代謝活性の高い無傷の若いジャガイモ組織では,リシチン合成経路が作動していて,又,塊茎組織においては,傷害(切断)によって,それが急速に誘導されることを示唆した。
  • 井上 成信, 前田 孚憲, 光畑 興二
    1979 年 45 巻 5 号 p. 712-720
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1975年6月福岡県宗像郡宗像町で採集した(露地栽培)テッポウユリの頂葉が黄緑化し,生育の悪い病株からウイルスを分離して諸性状を調べたところ,ユリでは未記録のcitrus tatter leaf virusと同定された。
    1. 本ウイルスは汁液接種により12科38種に接種し,11科33種に感染したが,C. quinoaには激しい萎縮とモザイクの特徴ある症状を生じ,テッポウユリや他の多くの植物に無病徴感染した。
    2. 本ウイルスはモモアカアブラムシによって伝搬されなかったが,テッポウユリやC. quinoaでは種子伝染した。
    3. 罹病植物粗汁液中でのウイルスの不活化限界は耐熱性65∼70C,耐希釈性10-4∼10-5,耐保存性4∼8日(20C)であった。
    4. ウイルス粒子は長さが約650nm,幅が約12nmの屈曲のあるひも状であった。粒子はPTA染色により横縞のらせん構造が認められ,そのらせん間隔は約3.8nmであった。
    5. 本ウイルスに対する抗血清はCTLVとよく反応し,本ウイルスとカンキツから分離されたCTLVとは血清学的に同一であった。
    6. 罹病C. quinoa葉の超薄切片像には篩部細胞内にウイルス粒子の散在または集塊が認められたが,他の葉肉細胞には認められなかった。
    7. CTLVはカンキツのウイルスとして知られているが,草本植物で発生が確認されたのは本報告が最初である。
  • 加藤 盛
    1979 年 45 巻 5 号 p. 721-726
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ササゲとキュウリ葉における脂質過酸化物分解酵素の細胞内分布とCMVに感染した場合の酵素活性の変化について検討した。両植物葉では本酵素活性の大部分は原形質膜に分布しており,他に小胞体やミトコンドリア,マイクロボデー分画にも多少の分布が認められた。CMVの局部感染宿主であるササゲではCMV感染後12時間以内に本酵素の活性が急速に増大し,また,過酸化反応の指標として使用したマロンアルデヒドの量も著しく増大した。しかし,局部病斑出現以後は両者共漸減の傾向を示した。一方,これと対照的に全身感染宿主であるキュウリの場合は,感染後10日を経ても酵素活性やマロンアルデヒド含量に殆んど変化はみられなかった。
  • 李 龍雨, 山崎 昇三, 尾崎 武司, 井上 忠男
    1979 年 45 巻 5 号 p. 727-734
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報はニンニクに見出される2種のひも状ウイルスを記載し,これらウイルスの各地のニンニクにおける分布を調べたものである。各ウイルスのニンニクにおける病徴にもとづき,従来の報告にみられたウイルス名についての若干の混乱を整理し,それぞれニンニク潜在ウイルス(garlic latent virus, GLV)およびニンニクモザイクウイルス(garlic mosaic virus, GMV)とあらためて命名した。
    GLVは汁液接種でニンニクに無病徴全身感染し,ソラマメに全身えそ斑点病徴をあらわした。Chenopodium amaranticolor, C. quinoaおよびツルナには局部病斑を生じて全身感染しなかった。ウイルス粒子は長さ650∼700nmで屈曲の少ないひも状で,感染組織の細胞質内に散在または小集塊として認められた。粗汁液中での不活化温度は55∼60C (10分),希釈限度は10-4∼10-5,保存限度は2∼4日であった。純化ウイルスを兎に筋肉注射して得たGLV抗血清につき血清試験を行なったところ,GLVはGMV,キクウイルスB, carnation latent viursとの間に陽性の血清反応は得られなかった。
    GMVは汁液接種でニンニクにモザイク病徴をあらわし,センニチコウの接種葉に局部えそ斑点を生じた。C. amaranticolor, C. quinoaおよびツルナには無病徴局部感染であった。GMV粒子は長さ約750nmの屈曲したひも状であり,感染植物細胞にはpinwheelなどの細胞質内封入体が観察された。GLV, GMVともにアブラムシ伝搬性の確認に至らなかった。
    各地から集めたニンニクのモザイク病標本の多くはGLV, GMVの混合感染であったが,中にはGMV単独感染の品種や個体も見出された。
  • 仙北 俊弘, 周 廷光, 四方 英四郎
    1979 年 45 巻 5 号 p. 735-737
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 江原 淑夫
    1979 年 45 巻 5 号 p. 738-740
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 岩崎 真人, 新海 昭
    1979 年 45 巻 5 号 p. 741-744
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In 1978, a virus-like desease of rice, which has been unknown in Japan, occurred in Fukuoka and Kagoshima Pref. The symptoms in rice cv. Taichung Native 1 showed stunting with yellowing, excessive tillering and an erect growth habit. The desease was transmitted by brown planthopper (Nilaparvata lugens Stål) in the persistent manner. The incubation period in insect was 8-17 (av. 12) days. The proportion of insect that transmitted the causal agent was about 32%. From the characteristics of symptoms and the mode of insect transmission, this disease was identified as the rice grassy stunt disease.
  • Janina KRYWIENCZYK, 高井 省三, Barbara A. MATHIESON
    1979 年 45 巻 5 号 p. 745-747
    発行日: 1979/12/26
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 5 号 p. 750a
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1979 年 45 巻 5 号 p. 750b
    発行日: 1979年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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