1. 種子生産と斑点性疾病の発病との関係という観点からみると,ソラマメは次の重要な生育時期を経過する。すなわち,胚乳からの養分補給が終わる頃と,越冬に入る時期と,花芽形成,花器発育,開花,結実なとが並行,連続して起る生殖時期である。実験操作上の病斑は塩素酸カリによる人工斑とし次のような結果を得た。
2. 苗の乾重が最低を示す時期以前に斑点性疾病が起っても,その後の発病がなければ減収は少ない。
3. 苗の乾重が最低に達し,その後乾重増加が極めて微量な期間に発病すれば,あとの発病を防止しても,減収がはなはだしいから,栽培中止も一応は考慮すべきである。またこの時期の発病防止に一段と力を致すべきである。
4. 苗が越冬の直前に発病すれば,あとの管理が充分でも収量は皆無に近いから,栽培は放棄すべきである。この時期の異常高温はことに警戒を要する。
5. 早春に発病したものは,見かけの被害は大きいが収量に及ぼす影響はほとんどないから,むしろその後の発病防止に経費と労力をかけた方が良い。
6. 開花期以後に発病したものは,収量が激減するから,早期発見に努め,予め充分の予防対策を行なうべきである。
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