日本植物病理学会報
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24 巻 , 5 号
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  • 原田 雄二郎, 熊部 潔, 香川 恒雄, 佐藤 庸夫
    1959 年 24 巻 5 号 p. 247-254
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    稲熱病菌の各生育時期について, 抗稲熱病薬剤の作用を比較した。
    (1) 胞子発芽阻害 適当な温度, 水分の条件下で P. oryzae の発芽率は6時間目で20∼30%, 24時間目で80∼90%である。発芽率の少ない6時間目では, いずれの薬剤もよく胞子の発芽を抑制し, 薬効が大きく, 24時間目では多少抑制力が落ちた。特にPMAは抑制力が大で, AP, BMの結晶は水への溶解性が低いため阻止効果は弱いが, 乳剤にするとPMAにほとんど等しい抑制作用を示した。
    (2) 菌糸伸長阻害 培地中に生育しつつある P. oryzae の菌糸に薬剤を添加すると, かなり激しい生育阻害を示した。特に対数的増殖期にその阻止作用は著しい。AP乳剤が最も阻止作用が大で, 菌体増殖が定常期に達した後でも溶菌作用を示した。PMAは初期に抑制効果を示したのみである。AP, BMを結晶状で供試するときは阻止作用は弱く, 製剤形態を決定するのに甚だ有効な示唆が得られた。
    (3) 胞子着生阻害 基生菌糸の生育も十分でない初期には阻止作用力が大きく, 菌糸生育阻害と二次的に胞子の着生も阻害されるが, 基生菌糸が十分生育した後に薬剤を散布すると, 胞子の着生は阻害されない。PMAに比較し, APおよびBMが菌糸の生育阻害力が強いためか, 胞子の着生阻害力も優るように思われた。
    (4) 生育最小阻止濃度 寒天稀釈法によればPMAが最も小さく, AP乳剤がこれに次いだ。AP, BMの結晶は水への溶解度が少なく (2∼5mcg/mlは溶ける。Emulsion の M.I.C. は1mcg/mlである), 従つて多量加えないと効果がない。
    (5) すなわち水不溶性の抗カビ性抗生物質APおよびBMは, 水に懸濁するような単純な使用方法では, 稲熱病菌の各生育時期に阻害作用を示すことが弱い。これを適当な乳化液として供試すると, PMAの如き水溶性薬剤に比較して遜色なく生育阻害作用を示した。
  • 原田 雄二郎, 熊部 潔, 香川 恒雄, 佐藤 庸夫
    1959 年 24 巻 5 号 p. 255-264
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    In the present paper, the inhibitory effects of Antimycin-A (Antipiriculin, AP), Blastmycin (BM), and Phenyl mercuric acetate (PMA) on the fundamental metabolic systems of P. oryzae are reported. The enzyme solution of P. oryzae was able to oxidize some organic acids found in TCA cycle, and this oxidation, especially that of succinate or lactate, was remarkably inhibited by AP, BM, and PMA. The endogenous respiration of the enzyme solution, however, was not inhibited by these inhibitors, but was inhibited by a high concentration of PMA. As to the terminal respiratory systems in P. oryzae, the following series of hydrogen doner and acceptor systems were presented, that is, succinic dehydrogenase, succinoxidase system, and cytochrome oxidase system. Both AP and BM showed definitely a specific inhibition to the succinoxidase system, whereas PMA inhibited all these systems. The oxidative phosphorylation and glycolysis in P. oryzae were also found not to be affected by AP and BM, although PMA seemed to inhibit the glycolysis slightly.
  • 原田 雄二郎, 熊部 潔, 香川 恒雄, 佐藤 庸夫
    1959 年 24 巻 5 号 p. 265-272
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    This paper describes the nitrogen metabolism of P. oryzae and its inhibition by Antimycin-A (AP), Blastmycin (BM), and Phenyl mercuric acetate (PMA). According to the rate of growth of P. oryzae, the various nitrogen sources tested were divided into three groups. The most suitable group for fungal growth contains, for instance, glutamic acid, aspartic acid, serine, leucine, NH4Cl and so on. The amino acids belonging to the most suitable group were oxidized by P. oryzae in a short period of incubation, and the most of these oxidation was completely inhibited by AP, BM, and PMA.
    Two types of transamination were found in P. oryzae. One of these reaction was that of between α-ketoglutaric acid and alanine, and another was between α-ketoglutaric acid and aspartic acid. In the case of cell level, the former reaction was completely inhibited by AP, BM, and PMA at 18 hours after incubation, while the latter was moderately inhibited even by PMA. Using the extracted enzyme solution, however, no inhibitory effects of both AP and BM on these two reactions were confirmed, although a strong inhibition was detected by PMA.
  • 池上 八郎
    1959 年 24 巻 5 号 p. 273-280
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. レンゲ菌核病菌の菌核植付後5および10日暗処理し, その後自然光線下に移すと, 子のう盤は最初から自然光線下で受光させたものと同様に成熟したが, 暗処理が15日以上長くなるにしたがつて, 子のう盤の成熟が次第に困難となり, 終始暗処理をしたものはすべて未成熟に終つた。
    2. 螢光灯の連続照明および3日毎暗明交互処理によつて形成された子のう盤は成熟良好で, 15日毎暗明処理は上の2区に次いでよかつた。5日毎と10日毎の暗明および明暗処理は各区間に差異はあつたが, 成熟, 中間および未成熟子のう盤が混生していた。また15日毎明暗処理ではほとんど未成熟となつた。
    3. 着色セロファン紙透過光線下の子のう盤は, 無, 黄, 青, 緑および紫色区において大差なく成熟したが, 赤色区はほとんど未成熟となつた。菌核の発芽は無および黄色区は青, 赤, 緑および紫色区より低率であり, 子のう盤長では黄および赤色区は他区に比べて長く, 無色区が最も短かかつた。
    4. 連続螢光灯照明の照度100ルクスまではすべて未成熟子のう盤で, 600ルクスで4/5が成熟し, 1,000∼1,400ルクスですべて成熟した。
  • 宮川 経邦
    1959 年 24 巻 5 号 p. 281-286
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) 柑果皮よりメタノール (80∼99.5%) あるいは80%アセトンによつて抽出された成分はP. digitatum およびP. italicum の菌叢生育に対して促進作用を示すが, 特に前者に対する作用が著しい。
    (2) P. digitatum の菌叢生育を促進する柑果皮成分は少量の活性炭を添加することによつて吸着され, 吸着処理後の滬液培地ではその生育度が低下する。それに反してP. italicum は少量の活性炭で処理し, 滬過することによつて柑果皮成分は却つて菌叢の伸長度を増加し, 酸性側で活性炭添加量を増加した場合には菌叢の伸長度は減少する。
    (3) これらの実験結果から柑果皮成分中にはP. digitatum に対しては菌叢の伸長を促進する因子のみが認められ, P. italicum に対しては促進と抑制の両因子が認められる。
    (4) 柑果皮培地上でP. digitatumP. italicum の生育速度が異なるのは両菌に対する柑果皮成分の生育促進および抑制効果が関与しているものと思われ, この成分は生果実上での病原菌の侵犯速度の相違にも関連しているものと考えられる。
  • 栃原 比呂志
    1959 年 24 巻 5 号 p. 287-295
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    東京附近のダイコンモザイク症状株から分離したPウイルス (主として千葉県松戸で採集した分離株P0を用いた) について実験を行い, 次の結果を得た。
    (1) 寄主範囲はアブラナ科植物の他, ペチュニア, シュンギク, ホウレンソウ, アカザ, センニチコウ等にも感染するが, タバコ, トマト, キュウリ, ソラマメ等には病原性が認められなかつた。しかしCMVと混合接種を行うと N. glutinosa に感染が認められた。耐熱性は55∼60°C10分, 耐稀釈性は2,000∼5,000倍, 耐保存性は25∼26°Cで4∼7日であつた。
    (2) Pウイルスはモモアカアブラムシにより容易に伝搬された。ただしコカブに継代接種して保存されたP0だけはモモアカアブラムシによつて伝搬されなかつた。
    (3) (凍結処理)-硫安による塩析-分劃遠心-(クロロホルム処理) の操作によりウイルスを純化した。ウイルス粒子とみなされるものはほぼ (12∼13)× (650∼700)mμの紐状で, 100mlの罹病コカブ汁液からほぼ10∼15mgの純化標品が得られた。この純化標品は乾燥重量比で (2∼3)×107倍に稀釈して, なお接種コカブの20%が発病した。
    (4) 罹病コカブ葉汁液を凍結乾燥保存したものは23カ月を経ても高い病原性を保持していた。
  • 栃原 比呂志
    1959 年 24 巻 5 号 p. 296-301
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    千葉県松戸で採集したダイコンモザイク症状株から分離したPウイルス (分離株P0) について血清学的研究を行ない次の結果を得た。
    (1) P0罹病コカブ葉汁液を塩析と分劃遠心で純化し, このP0純化標品を2∼7日間隔で家兎に注射して, 力価1:40,000の抗血清を得た。この抗血清はPウイルスと特異的に反応し, 健全植物あるいはRウイルス, CMVその他のウイルス罹病植物汁液とは反応しない。またPウイルス (P0) を完全に吸収する。
    (2) P0抗血清は, スライド法でP00罹病コカブ葉汁液の約300倍稀釈, 沈降反応で約2,000倍稀釈, 純化ウイルスで0.002∼0.005mg/mlまで肉眼的に反応が認められた。
    (3) 東京周辺のダイコンモザイク症状株231株中, 106株がP0抗血清と反応した。76株については汁液接種によつてウイルスの寄主範囲を調べたが, Pウイルス, Qウイルス, Rウイルス, CMVと考えられるものが検出された。このうち31株が単独感染株で, 他は2∼3重感染株と判定された。
  • 見里 朝正, 石井 至, 浅川 勝, 沖本 陽一郎, 福永 一夫
    1959 年 24 巻 5 号 p. 302-306
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    (1) Blasticidin S は稲熱病菌胞子の発芽ならびに形成に対し酢酸フェニール水銀とほぼ同程度の阻害効果を示した。また菌糸生育に対しては酢酸フェニール水銀に優る著しい阻害効果を示した。但し寒天培地中では稲熱病菌の生育を阻止するのに Blasticidin S は酢酸フェニール水銀よりも多量の薬量を必要とした。寒天培地中では Blasticidin S の効果は低下すると思われる。
    (2) 植物体中の Blasticidin S はトマト葉かび病菌を被検菌とした薄層検定法により0.1μg/mlの濃度まで定量することができた。
    (3) 稲葉上では日数の経過とともに次第に抗菌力価は低下した。また稲苗の地際部の茎に軟膏を塗布した後24時間以内に上部の茎葉に生体重1g当り30μg前後の浸透・移行量がみられた。
    (4) 温室内稲苗接種試験で Blasticidin S は稲熱病菌接種前に散布された場合にはその葉稲熱病防除効果は酢酸フェニール水銀に劣つたが, 接種後に散布した場合には酢酸フェニール水銀に優る治療効果を示した。これは Blasticidin S が本菌菌糸に対し著しい生育阻害効果を有するので葉上で病斑の進展が阻止されるためと思われる。
  • 見里 朝正, 沖本 陽一郎, 石井 至, 浅川 勝, 福永 一夫
    1959 年 24 巻 5 号 p. 307-312
    発行日: 1959/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    硫酸銅, 酢酸フェニール水銀, Zineb, Urbazid, Dichlone, Nirit, s-Triazine, Antimycin A 及び Blasticidin S などの各種殺菌剤の稲熱病菌に対する胞子発芽抑制力, 菌糸生育阻害力, 胞子形成阻害力, 生育阻止最小濃度及び阻止円の大きさ等の室内効力を測定し, 圃場効果との関連を求めた。
    その結果胞子発芽抑制力は各薬剤ともに優れており, また硫酸銅以外の薬剤の生育阻止最小濃度も一様に低く, これらの試験結果では圃場効果の優劣を説明することはできかつた。しかし菌糸生育阻害力, 胞子形成阻害力及び阻止円法による抗菌力では圃場効果の認められている酢酸フェニール水銀 Blasticidin S と Antimycin A が圃場効果の劣るその他の薬剤に比較して著しく強かつた。従つて圃場における稲熱病防除効果は, 薬剤の胞子発芽に対する作用よりは菌糸生育及び胞子形成に対する作用によつて支配されると思われる。
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