日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
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81 巻, 3 号
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会長講演
学会賞受賞者講演
学術奨励賞受賞者研究要旨
原著
  • 鈴木 智貴, 脇本 寛美, 大竹 裕規, 長谷 修, 生井 恒雄
    2015 年 81 巻 3 号 p. 188-193
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/11
    ジャーナル フリー
    山形県庄内地方において発生したネズミムギいもち病の病原菌を明らかにするため,分離したいもち病菌計27菌株を調査した.市販のネズミムギ品種に噴霧接種した結果,未検討の1菌株を除き,26菌株中25菌株で罹病性病斑を形成した.メヒシバには27菌株中25菌株で罹病性病斑を形成した.イネレース判別9品種には全ての菌株が病斑を形成しなかった.培養時の代謝産物を調査した結果,メヒシバに病原性を持つ菌株はすべてピリカラシンHを生産し,かつDigitaria属植物に感染するいもち病菌を特異的に検出するプライマーによるPCRで遺伝子産物の増幅が確認された.β-チューブリン遺伝子のPCR-RFLP解析では,メヒシバに病原性を持つ菌株はPyricularia griseaと同定された.一方メヒシバに非病原性の2菌株はP. oryzaeと同定された.以上から,山形県庄内地方に発生するネズミムギいもち病の病原菌はP. griseaP. oryzaeの2種で構成されていることが明らかとなった.
  • 中田 菜々子, 横山 とも子, 牛尾 進吾, 永沢 朋子, 吉田 重信
    2015 年 81 巻 3 号 p. 194-203
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/11/11
    ジャーナル フリー
    栽培圃場の土壌からPhomopsis sclerotioidesをリアルタイムPCRで高感度に定量するため,土壌DNAの最適抽出法および土壌の種類による本菌DNAの抽出効率やPCR阻害が定量性に及ぼす影響を検討した.抽出法の検討では,市販キットを用いたビーズビーティング抽出工程における土壌の前処理の効果,土壌の破砕条件および抽出液の精製条件を検討した.その結果,土壌の前処理により本菌DNAの検出感度が向上することを確認するとともに,検出に適した土壌抽出条件を明らかにした.本抽出条件を用いることで,本菌の定量の感度が従来よりも高まり,1 cfu/g(生土)相当の菌密度の土壌からの検出・定量が可能となった.DNAの抽出効率が土壌により変動することが確認されたため,現地の汚染圃場の土壌に対しては,標準試料の添加回収に基づき抽出効率を補正した本菌DNAの定量値と幼苗検定による発病度との関連を調べた.その結果,両者間で高い正の相関が見られた.以上のことから,本研究で明らかにした本菌DNAの抽出法に基づく高感度定量法は,圃場の発病ポテンシャルの評価にも活用出来る可能性があると考えられた.
平成27年度日本植物病理学会大会講演要旨
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