山形県庄内地方において発生したネズミムギいもち病の病原菌を明らかにするため,分離したいもち病菌計27菌株を調査した.市販のネズミムギ品種に噴霧接種した結果,未検討の1菌株を除き,26菌株中25菌株で罹病性病斑を形成した.メヒシバには27菌株中25菌株で罹病性病斑を形成した.イネレース判別9品種には全ての菌株が病斑を形成しなかった.培養時の代謝産物を調査した結果,メヒシバに病原性を持つ菌株はすべてピリカラシンHを生産し,かつ
Digitaria属植物に感染するいもち病菌を特異的に検出するプライマーによるPCRで遺伝子産物の増幅が確認された.β-チューブリン遺伝子のPCR-RFLP解析では,メヒシバに病原性を持つ菌株は
Pyricularia griseaと同定された.一方メヒシバに非病原性の2菌株は
P. oryzaeと同定された.以上から,山形県庄内地方に発生するネズミムギいもち病の病原菌は
P. griseaと
P. oryzaeの2種で構成されていることが明らかとなった.
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