日本植物病理学会報
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34 巻 , 2 号
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  • 都丸 敬一, 宇田川 晃
    1968 年 34 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    タバコのホワイトバーレー系品種に黄色輪紋,斑点およびえそ斑点を示すPVYの新しい系統について記載した。この新系統はタバコの品種ブライトエローにはvein bandingを主とする病徴を生ずる点で,既報のタバコから分離された黄斑えそ系と異なり,タバコを除くナス科植物,C. amaranticolor,エビスグサ等には従来の報告と同様な症状を示した。耐熱性60~65℃10分,耐希釈性10-4,耐保存性5~6日で,既報のPVYえそ系のうちではこれらの耐性の強い方に属している。本系統をWetter23)の方法に準じて精製したウイルスを家兎に注射して得た抗血清はPVY普通系と陽性反応を示し,TEVおよびPVY普通系との干渉効果は,前者には認められず後者には完全であつた。電子顕微鏡観察で長さ約700mμの糸状粒子がみられた。モモアカアブラムシによつて伝搬された。以上から本系統はPVYのえそ系に属するウイルスと考えられ,既報のタバコ黄斑えそ系とはホワイトバーレー系品種およびブライトエローにおける病徴が異なり,耐熱性,耐保存性にも差が認められるが,相互に似た点も多いので,タバコ黄斑えそ系にもつとも近い別の1系として取り扱かつてさしつかえないであろう。
    トウガラシ(鷹の爪)は本系統および普通系によつて接種葉および全身的にえそ斑点を生じ,判別,定量寄主として有用と思われる。また本系統はPVY群ウイルスの干渉試験の指示系統としても用いることができる。
  • 梶原 敏宏, 岩田 吉人
    1968 年 34 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    キュウリベと病菌の分生胞子の生存力について再検討し,さらに太陽光線がその生存力にどのような影響を与えるかについて検討した。
    (1) 分生胞子の生存力について7~10万個の分生胞子を用い,発芽試験および接種試験を行なつて確かめた。その結果5~7℃および17℃の暗黒下で保存すると,日数の経過とともに発芽率は減少するが,20~45日間生存する分生胞子があることがわかつた。生存力と保存温度との関係については,5~7, 17および21℃ではとくに差は認められなかつたが,24, 27および30℃では生存期間は短かくなつた。しかし,これらの温度でも5日間は生存力を有する胞子がかなりあつた。
    (2) 5月および8月に快晴の日を選び分生胞子の生存力に対する太陽光線(直射日光)の影響を繰返し調べたが,何らの影響も認められなかつた。
    (3)最も短かい波長が270mμで310mμにエネルギーピークを有するマツダ健康線螢光ランプを用いた試験では,30cmの距離で3時間以上照射すると発芽率が急速に低下するが,フィルターを用いて290mμ以下の短波長を除くとその影響は全くなくなる。太陽光線の地上に到達する短波長は290~300mμ前後であるから,このことからも温度の上昇を伴なわなければ,太陽光線(直射日光)が分生胞子の生存に何ら影響を与えないことがわかる。
  • 森 義忠
    1968 年 34 巻 2 号 p. 92-97
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/03/08
    ジャーナル フリー
    前報(1962, 1966, 1967)で筆者はホッブべと病の一次発生源として根株中の越年菌糸の重要性と,このような潜在菌糸の主原因は秋感染によつておこることを強調した。もし,秋感染が潜在菌糸の主な根源,つまり春発生するふしづまり芽条の主因であるとすれば,秋の殺菌剤散布はふしづまり芽条発生を防ぐことになる。
    このことは古里ホップ試験場での諸実験の結果からある程度確認されている。本試験はこの結果にもとついて,大面積にわたる圃場試験として計画され,ふしづまり芽条防除のため殺菌剤の秋散布の効果試験がA, BとCの3地区で行なわれた.Aは長野県の平坦部,一方BとCは山間部が選定された。圃場試験でも当場の実験と同じ結果が再現され,球果収穫後の殺菌剤の秋散布が一次感染の除去に重要であることを示唆し,それがまた一次の“ふしづまり”芽条の減少に効果的であることを示した。
  • 小室 康雄, 岩木 満朗
    1968 年 34 巻 2 号 p. 98-102
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    (1) わが国のトマトに発生の多いTMV-トマト系はタバコ(ブライトエロー)に局部病斑を作るだけで全身感染せず,トルコ種のXanthiに対してはTMV-普通系と同様,局部病斑を作らず全身感染する性質をもつている。製品たばこにこのTMV-トマト系がどの程度含まれているかを調査し,ひいてはトマトのモザイク病の伝染源になつているかどうかを推定しようと試みた。
    (2) まずわが国で栽培の多いといわれるタバコ7品種(ブライトエロー,だるま,遠州,ヒックス,桐ケ作,松川,水戸3号)に対しTMV-トマト系を接種し,それらタバコの反応を調べた。その結果,供試7品種はすべてその接種葉に局部病斑をつくるだけで全身感染しなかつた。一方,対照区として用いたTMV-普通系に対しては局部病斑はつくらず全身感染してモザイク症状を示した。
    (3) わが国で製造販売されている紙巻たばこ16種類,それぞれ20本についてまずTMVの検出を行ない,あわせてそのTMVの系統が普通系,トマト系のいずれに該当するかについて判別を行なつた。その結果,すべての紙巻たばこからTMVが検出された。その分離されたTMVの系統はすべて普通系と考えられるものであつた。11種類のたばこでは普通系のみが分離されたが,「ハイライト」,「こはく」,「ホープ」,「泉」,「エムエフ」の5種類からは普通系と重複してトマト系がある程度分離された。
    (4) 畑のトマトから分離されるTMVの大部分がTMV-トマト系であるという事実8)と,ここにあげた(2),(3)の結果とを併せ考えると,従来トマトのモザイク病の伝染源として製品たばこが重要な一つと考えられていたが,最近Broadbent2)が指摘しているように,わが国でもそれほど重要なものではないだろうと推論した。
  • 内藤 中人, 尾上 孝利
    1968 年 34 巻 2 号 p. 103-108
    発行日: 1968年
    公開日: 2010/01/12
    ジャーナル フリー
    (1) Puccinia coronata(エンバク),Uromyces alopecuri(スズメノテッポウ),U. durus(ノビル)の夏胞子を供試し,主として,グルコース液に形成されるfusion bodyの核を,また前者の2菌では人工培地,剥離表皮におけるinfection structureの核を調べた。
    (2) 休止胞子,発芽管は1~2核でとくに2核がほとんどであるに対し,付着器,気孔下嚢,感染菌糸はそれぞれ2~4, 2~8, 2~10核である。発芽にともなう核分裂は付着器にはじまり,気孔下嚢,感染菌糸でもひきつづく。
    (3) 未接合のfusion bodyは大部分2核であるが,相互の接合部には原fusion bodyからの移行核が共存するから,内容物交流も確実視される。
    (4) 人工培地,剥離表皮の外表面に形成される気孔下嚢,感染菌糸酷似器官は剥離表皮内面の気孔下嚢,感染菌糸とそれぞれ核学的に同一である。
  • 尹 泰圭, 平井 篤造
    1968 年 34 巻 2 号 p. 109-113
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1. トマト苗にTMV単独あるいはTMVとPVXの混合接種を行ない,接種前に2時間苗の根部を浸漬し,接種後地上部に対する散布を毎日連続6回行なつた。またバンデングによる薬液の茎への施用も併用した。根部処理と地上部散布の併用では,後者のみの場合に比較して治療効果が顕著であつた。しかしバンデングの効果は少なかつた。以上の効果判定には,発病率,潜伏期間,ならびに根部のウイルス量の化学定量を実施した。発病率と根部のウイルス量との間に相関がみられた。
    2. 薬害軽減のためMn2+を使用した。鉢植のトマトの地上部成長と根の発育の程度を観察し,あるいは薬液にタバコ葉片を浮遊してその変色程度を比較した。Mn2+は抗ウイルスの薬害をかなり軽減したが, TMVに対する阻害度を低下させることはなかつた。
  • 角 博次, 高日 幸義, 近藤 泰彦, 中神 和人
    1968 年 34 巻 2 号 p. 114-121
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    PCBAのいもち病防除機構を検討して,大略次の結果を得た。
    1. PCBAはいもち病防除剤として効果が大きい。実用散布濃度は1000ppm以下(500ppm前後)と考えられる。
    2. PCBAの効果はいもち病菌の接種以前に薬剤散布する時に顕著である。
    3. いもち病感染後のイネに薬剤散布してもPCBAの発病抑制作用は認められない。
    4. PCBAは効果の持続期間が長いが,これは散布した薬剤の被覆による効果だけでなく,イネ体内に浸透移行した薬剤の効果が合せあらわれているものと考える。
    5. 穂頸いもち病に対しては,PCBAを穂孕末期から出穂期にかけて散布するのが最も効果が高いが,穂孕期以降であれば防除効果を期待することができる。
  • 角 博次, 高日 幸義, 近藤 泰彦
    1968 年 34 巻 2 号 p. 122-128
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    いもち病菌胞子形成におよぼすPCBAの影響を調査した。すなわち,野外の畑苗代試験,温室内のポット試験および室内でのin vitroにおける試験からつぎの結果が得られた。
    (1) いもち病が発生した苗代にPCBAを散布したところ,それまでに観察されていた胞子の飛散が散布直後から激減し,この状態は約10日間つづいた。(その後はイネが完全にズリ込み,気温が低下して全体に胞子飛散が少なくなつたので観察を中止した)。
    (2) PCBA散布区に胞子飛散がみられないのは病斑上に胞子形成が行なわれないことによるものであつた。
    (3) PCBAのいもち病菌胞子形成阻害作用はイネが個体としての機能を果している場合に認められ,病葉を切り取つた場合はたとえPCBAが病斑上に付着していても阻害効果は全く見られなかつた。これに対して,PMA,およびBc-Sはいずれの場合にも胞子形成阻害作用が認められた。
    (4) 人工培地上におけるいもち病菌の胞子形成はPCBA添加により著しい阻害を受けなかつた。一方PMAあるいはBc-Sの添加は強い胞子形成阻害作用を示した。
  • 栃原 比呂志
    1968 年 34 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1960年10月秋田県大曲市で採集したダイコンモザイク症状株から未報告のウイルスが分離された。本ウイルスは径25~30mμの球状粒子で,病葉汁液での耐熱性は60~65℃, 10分。キスジノミハムシが伝搬する。ナガメによる伝染,アブラムシ伝染,種子伝染および土壌伝染は認められない。ダイコンにモザイクやえそを生じ,enationや糸状突起などの特異的な病徴を示す。多くのアブラナ科作物に全身感染するが,アブラナ科植物以外ではホウレンソウに全身感染,アカザとC. amaranticolorの接種葉にlocal lesion,センニチコウの接種葉に黄斑を生じまれにtop-necrosisを生ずる。ペチュニアでは病徴は現われないが接種葉でウイルスは増殖する。家兎に注射して抗血清を作製本ウイルスはダイコン萎縮病ウイルス10)とradish mosaic virus5,6,28)に類似しているが,ダイコンひだ葉モザイクウイルス(radish enation mosaic virus)と命名した。わが国でハムシ類が伝搬するウイルスの存在が確認されたのは本ウイルスが最初である。
  • 田部井 英夫
    1968 年 34 巻 2 号 p. 137-139
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    浸水接種により出現したイネの萎凋症状株の組織解剖を行なつた結果,イネ白葉枯病の萎凋症状は葉身の排水組織から感染した病原細菌に起因することを明らかにできた。萎凋部は第2,第3,第4本葉に黄色病斑を生じ,第5本葉は外観健全のまま第6本葉が萎凋している。茎基部の連続切片を観察した結果,病原細菌は接種葉である第2,第3,第4本葉の葉身排水組織から感染して導管内に侵入し,葉鞘内を下降して茎基部に至り,茎基部の導管を閉そくしているが,とくに第4本葉における病原細菌の増殖が顕著であつたためにこれと直接連絡している第6本葉が萎凋したことが判つた。茎基部における各葉の導管連絡もこの葉位の1葉とび現象を裏書きしている。病原細菌の根からの感染ならびに茎基部からの直接感染は認められなかつた。
    病原細菌の増殖が進むと導管は内側から裂けて柔組織の細胞間隙中に流出し,葉鞘部では細胞間空腔部を充満したり,茎基部では流れ出した病原細菌塊が合流したり,ついには外部に達することがある。この現象は萎凋症状株に特有のものであるが,ただし導管の破裂はあくまで内側からおこつており,反対に柔組織の細胞間隙中の病原細菌による健全維管束の侵害は認められなかつた。
  • 佐藤 章夫, 富山 宏平, 勝井 信勝, 正宗 直
    1968 年 34 巻 2 号 p. 140-142
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    すでに報告3)したようにR1-遺伝子を有するジャガイモ品種「リシリ」から新抗菌性物質リシチンを単離することができた.この物質はファイトアレキシンの一種と考えられる。この物質はジャガイモの疫病抵抗性に重要な一つの役割を果しているように思われる。そこでこの物質がその他の抵抗性遺伝子R2, R3, R4をもつジャガイモ種間雑種(Solanum tuberosum X S. demissum)の品種およびr-遺伝子を有するS. tuberosumの品種にも存在するかどうかを知るためにこの実験を行なつた。種間雑種に対しては不親和性疫病菌レースを接種し,またS. tuberosum品種に対しては疫病菌無細胞菌体抽出液で処理することによつて各々褐変を誘起して,その組織よりリシチン様物質を抽出した。この物質は薄層クロマトグラフ上でリシチンと同一Rf値を示し,濃硫酸に対して同一発色を示す。このものをdi-3, 5-dinitrobenzoateとして結晶化し,その融点測定,混融試験および赤外吸収スペクトルによつてこれらがリシチンと同一物質であることを証明した。したがつてR1, R2, R3, R4遺伝子のどれかを持つているS. tuberosum×S. demissum品種およびr-遺伝子をもつS. tuberosum品種はともに不親和性病原菌の侵害を受けるとリシチンを生産することができると結論する。
  • 岸 国平, 高梨 和雄, 我孫子 和雄
    1968 年 34 巻 2 号 p. 143-150
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    1. モモの中山金桃および酸果ミザクラのMontmorencyから草本植物に汁液伝染するウイルスが検出され,前者を分離株-1,後者を分離株-2とした。
    2. 分離株-1はMazzardに接種すると翌春の葉にnecrotic ringspot,白普賢に接種点のえ死,キュウリ,ササゲ,C. amaranticolorに全身感染,カボチャに接種葉の局所病斑を生じた。また不活化温度50~55℃,希釈限界100~500倍,保存限界7~10時間であつた。
    3. 分離株-2はmahalebに萎縮,白普賢に接種点のえ死,キュウリ,カボチャ,タバコ,ヒャクニチソウに全身感染した。また不活化温度は45~50℃,希釈限界50~100倍,保存限界4~5時間であつた。
    4. 分離株-1をpeach necrotic ringspot virus (NRSV),また分離株-2をprune dwarf virus (PDV)と同定した。
  • 田中 彰一
    1968 年 34 巻 2 号 p. 151-152
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
    数十年前に外国から導入した柑橘品種をカラタチ台に接木して,品種保存しているものの中にexocortisに似た症状を現わしているものがある。これをフロログルシン一塩酸指薬で処理したところ,節部細胞ならびに射出髄の細胞が特徴あるレンガ赤色を呈するのを認めた。exocortisの指標植物たるカラタチ台木の症状とこの呈色反応の結果を綜合して,本病はexocortisであろうと考えられる。外来のオレンジ,レモン,グレープフルートなどの中にはこのような症状を示すものがあるが,一般栽培の温州にはまだその発生が確認されていない。
  • 西原 夏樹
    1968 年 34 巻 2 号 p. 152-155
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 2 号 p. 162a
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
  • 1968 年 34 巻 2 号 p. 162b
    発行日: 1968年
    公開日: 2009/04/21
    ジャーナル フリー
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