日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
32 巻, 5 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 6. 病斑周縁組織の各種色素による染色とでん粉蓄積との関係
    田中 寛康, 赤井 重恭, 久川 辰夫
    1966 年 32 巻 5 号 p. 251-259
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    水稲ごま葉枯病病斑周縁組織の各種色素による染色性とでん粉蓄積との関係を調べるために,本病り病水稲葉を種々の色素液に24時間そう入して色素液を上透させ,病斑およびその周辺各部の染色状態を観察した。
    病斑え死部はわずかの色素でわずかに染色される程度であり,また中毒部の葉肉部はほとんどすべての色素で染まらない。病斑周縁組織は接種後2日以内では塩基性色素によって健全部より染色され難いが,3日以後ではそれらの間にほとんど差が見られなくなる。これに対し酸性色素は常に病斑周縁組織をよく染色し,さらにAcid fuchsinは例外的であって中毒部の葉肉部をも染色すると同時に病斑周縁組織を健全部よりはるかによく染色する。これらのことから本病病斑周縁組織はとくに感染初期において正に荷電されるものと思われる。一方でん粉の異常蓄積と色素による染色異常との間の直接的な関係を調べるために,感染初期における本病病斑周縁組織のでん粉蓄積部(St), acid fuchsin染色部(Af), basic fuchsinならびにlight green非染色部(bfならびにlg)の面積を測定し,これらを比較すると,Af>>St>bf=lgであった。したがってこれら2つの現象の間には直接的な関係は見出しえなかった。
  • 由崎 俊道, 村山 大記
    1966 年 32 巻 5 号 p. 260-266
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    紫外線照射によって不活性化されたTMVを活性TMVに混ぜて植物に接種すると,照射TMVの干渉作用によって,活性TMVの感染は阻止された。この照射TMVの干渉作用は接種した植物によって異なり,Datura stramoniumでは最高の阻止率を,Nicotiana glutinosaでは最低の阻止率を示した。照射TMVの干渉作用はpH 5.2とpH 7.0では大差がなかった。活性および照射TMVの混合液の感染力は蒸溜水で希釈することによって回復した。干渉(阻止)作用はTMVの蛋白によって示され,紫外線照射によって不活性化されたTMV-RNAでは認められなかった。また,照射TMVを接種したナス科植物汁液のTMV感染阻止作用をしらべたが,未接種植物汁液の阻止作用との間に大きな差は認められなかった。以上の結果から,照射TMVの干渉作用はTMV蛋白の接種植物に対するある種の作用に起因するものと考えられた。
  • 由崎 俊道, 村山 大記
    1966 年 32 巻 5 号 p. 267-274
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    TMVに感受性を示す植物を用い,それらの汁液について,TMV感染阻止作用をしらべた結果,多くの植物汁液が阻止作用を示した。とくに,アカザ汁液は強い阻止作用を示した。アカザ汁液の阻止作用は80°C, 10分の加熱処理で僅かに減退し,100°C, 10分の処理でほぼ完全に消失した。また,アカザ汁液を104倍に希釈すると阻止作用を失ない,pH 2以下およびpH 11以上の水素イオン濃度に2日間保つことによってその作用は減退し,pH 13ではほぼ完全にその作用を失なった。汁液中の阻止物質は活性炭素にかなり吸着され,セロファン膜を通過せず,50あるいは90%エタノール,あるいは1/2飽和硫安によって沈殿した。汁液とTMVとの混合液の病原性は希釈することによって回復し,また,汁液を予め塗抹したN. glutinosaおよびインゲンマメの葉のTMV阻止作用は塗抹後の日数の経過とともに減退し,持続的な効果は明らかでなかった。
  • IV. べと病病原菌の生活史と一次発生源について
    森 義忠
    1966 年 32 巻 5 号 p. 275-284_2
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    べと病はPseudoperonospora humuli (Miy. et Tak.) Wilsonによっておこるホップの最も重要な病気である。本病の第一次発生は久しく卵胞子によるとされ,今日までこれにもとづいて防除計画がたてられていた。最近になって本病病原菌がホップの根株中で菌糸の状態で生存し,これが大きな役割をしていることがColey-Smithやその他によって明らかにされた。しかしその防除についてまだ適確な方法が知られていない。
    筆者は本論文でべと病病原菌の生活史の概要を述べ,特にホップの各種病徴(“ふしづまり”芽条,“さきづまり”芽条,“えだづまり”芽条,葉感染や球果感染)とその解剖学的観察を行ない,べと病の感染径路を明らかにした。特に第一次発生源となるのは根株中にに越年した菌糸であって,ホップの収穫後まもなく蔓の地際近くに新生する芽条や新葉が分生胞子によって感染し,そこから菌糸が組織中を下降して,地上部が枯死したのちも地下部の根株に生存していたものである。したがって秋の防除がこの感染を防ぎ,越年菌糸に原因する春先の“ふしづまり”芽条の発生数を減少させることを明らかにして,収穫後の秋防除の重要性を指摘した。
  • 3. ソラマメにおける一場面
    木場 三朗
    1966 年 32 巻 5 号 p. 285-290
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 種子生産と斑点性疾病の発病との関係という観点からみると,ソラマメは次の重要な生育時期を経過する。すなわち,胚乳からの養分補給が終わる頃と,越冬に入る時期と,花芽形成,花器発育,開花,結実なとが並行,連続して起る生殖時期である。実験操作上の病斑は塩素酸カリによる人工斑とし次のような結果を得た。
    2. 苗の乾重が最低を示す時期以前に斑点性疾病が起っても,その後の発病がなければ減収は少ない。
    3. 苗の乾重が最低に達し,その後乾重増加が極めて微量な期間に発病すれば,あとの発病を防止しても,減収がはなはだしいから,栽培中止も一応は考慮すべきである。またこの時期の発病防止に一段と力を致すべきである。
    4. 苗が越冬の直前に発病すれば,あとの管理が充分でも収量は皆無に近いから,栽培は放棄すべきである。この時期の異常高温はことに警戒を要する。
    5. 早春に発病したものは,見かけの被害は大きいが収量に及ぼす影響はほとんどないから,むしろその後の発病防止に経費と労力をかけた方が良い。
    6. 開花期以後に発病したものは,収量が激減するから,早期発見に努め,予め充分の予防対策を行なうべきである。
  • 照井 陸奥生, 原田 幸雄
    1966 年 32 巻 5 号 p. 291-294_1
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    1963年秋田県において採集のミザクラの罹病果より分離された果樹の一灰星病菌は赤褐色で大形の子のう盤,灰色の分生胞子堆,接種成熟核果および仁果における急速な病斑の進展と多量の分生胞子形成,ならびに培地上での速やかな生育と旺盛な分生胞子形成などの諸性質をはじめとして,その他の形態的および培養的性質の類似性からMonilinia fructicola (Winter) Honeyと同定された。
    本菌の日本における存在はこれまで確認されていない。しかし今回,青森,秋田,山形,福島,および山梨の各県におけるプラム,アンズ,モモおよびナシの灰星病罹病果からも本菌と同一とみられる菌が分離された。
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 295-301
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 301-304
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 304-308
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 308-313
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 314-320
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1966 年 32 巻 5 号 p. 320-331
    発行日: 1966/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
feedback
Top