日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
25 巻, 4 号
選択された号の論文の6件中1~6を表示しています
  • 黒崎 良男
    1960 年 25 巻 4 号 p. 167-171
    発行日: 1960/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. いもち病病斑の長さを測定して病斑長の分布図を作製した結果, 分布の型はごまはがれ病同様著しくひずんだものとなつた。
    2. イネ組織の抵抗性たると罹病性たるとを問わず, 病斑の大部分は褐点型の極小病斑によつて占められている。ごく一部の病斑が進展型になるかいなかによつて被害の大小が分かれる。
    3. 病斑の拡大状況を経時的に観察して“staling” 型の伸長様式を認めた。したがつて病斑長の分布図から寄主組織の抵抗性の経時変化が記述できる。
  • 1960 年 25 巻 4 号 p. 170-171
    発行日: 1960年
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • IV. 病斑周辺組織のオキシダーゼ活性の変化
    豊田 栄, 鈴木 直治
    1960 年 25 巻 4 号 p. 172-177
    発行日: 1960/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    今までの報告で (1) 組織褐変が抵抗と関係が深い, (2) 褐変はポリフェノールの酸化による, (3) 抵抗力の強い組織では病斑周辺で金属蛋白が呼吸の終末酸化酵素として活性化され, 抵抗力の弱い組織では非金属酵素が活性化され, それにしたがつてパスツール効果が失なわれる, ことを報告した。(3) からもしフラビン蛋白が活性化されればH2O2の組織内濃度の高まることが推測される。これと関連してポリフェノールの酸化が果してポリフェノールオキシダーゼによるものか, パーオキシダーゼによるものか, あるいは他の機作によるものか, を検討した。
    1. ポリフェノールオキシダーゼはイネの生長した葉には存在しない。
    2. イネの葉には非酵素的にo-ジフェノール, p-ジフェノールの自働酸化を促進する物質が存在し, 特にpHが高いときにその作用が強い。
    3. 病斑周辺組織ではパーオキシダーゼ活性が健全葉に比べて約3倍に増加し, カタラーゼ活性は約1/4に低下する。
    4. アスコルビン酸オキシダーゼ活性は病斑周辺で僅かに, それから3cm離れた場所で一層高くなる。
    5. グリコール酸オキシダーゼ活性は低下する。
    以上の結果から, 病斑周辺組織の褐変は, フラビン蛋白の活性化にともなうH2O2の濃度の増加, パーオキシダーゼ活性の増加とカタラーゼ活性の低下, ポリフェノールの増加, の三者がともなつて起きる, ポリフェノールの非酵素的酸化は上の行程ほど重要ではないと推論した。
  • 日野 稔彦
    1960 年 25 巻 4 号 p. 178-186
    発行日: 1960/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    福岡市周辺のモザイク病ササゲからはササゲモザイクウィルスとキウリモザイクウィルスとが分離されるが, 主病原ウィルスはササゲモザイクウィルスである。ササゲモザイクウィルスはレンゲ, アズキ, タチナタマメ, ライマメ, ジュウロクササゲ, ハタササゲにモザイク病を起し, またエビスグサに黒色の壊死斑点, ソラマメに赤褐色斑点を作り, インゲンは品種によつて黄色斑点を生ずる。クサネム, ナタマメ, パープルベッチは無病徴寄主である。ダイズ, エンドウ, ルーピン, クローバなどその他のマメ科植物26種, ダチュラ, タバコ, 百日草などは感染しない。
    このウィルスは汁液, モモアカアブラムシ, マメアブラムシで伝染する。モモアカアブラムシの獲得最短時間および接種最短時間はおのおの10∼15秒である。種子では極めて伝染し難く, 系統VQ-Oではツルナシ十八ササゲで0.26%の伝染率を示した。系統112および系統117は種子伝染したモザイク病ササゲから分離した系統であるが, 系統VQ-Oに比し種子伝染が容易であるとは認められない。このウィルスは55∼60°C10分加熱, 1,000∼2,500倍稀釈, 20°C. 12∼24時間処理で不活性化する。
  • III. ハナヤサイ・モザイク・ウイルスの形態
    栃原 比呂志
    1960 年 25 巻 4 号 p. 187-192_1
    発行日: 1960/11/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    東京都南多摩郡で採集したカンランのモザイク症状株から分離したウイルスについて実験を行ない, 次の結果を得た。これと同種と考えられるウイルスは, ほかにダイコンとヨウシュナタネからも得られている。
    (1) このウイルスはアブラナ科作物各種に病原性が強く, 他の科の植物には病原性が認められなかつた。
    (2) カンラン, ハナヤサイでは vein-clearing や vein-banding, いぼ状の enation, えそ斑点などの病徴があらわれ, これは低温では持続したが, 最低気温が20℃を下らない時期には, 一度発現した病徴がまもなくかくれた。ダイコン, コカブでは mosaic や萎縮があらわれ, この病徴は高温においてもかくれることなく持続した。
    (3) 耐熱性は75~80℃10分, 耐稀釈性は20,000~10,000倍, 耐保存性は22℃で25~35日であつた。
    (4) モモアカアブラムシとダイコンアブラムシとにより容易に伝搬され, non-persistent 型であつた。
    (5) 熱処理→クロロホルム処理→硫安による塩析および分画遠心の反復操作により, ウイルスを純化した。ウイルス粒子とみなされるものは, 直径約10~13mμの球状粒子で多面体と推定され, この粒子の大きさは Day の報告と著しく異なつた。純化標品は260mμに紫外線吸収の極大があり, また接種試験で高い病原性を示した。
    (6) 抗ダイコンPウイルス血清, 抗ダイコンRウイルス血清, 抗CMV血清とは反応しなかつた。
    (7) 本ウイルスは諸外国で知られている cauliflower mosaic virus (Tompkins, 1937) と同じか, あるいはきわめて類似したウイルスであると考える。
  • 脇本 哲
    1960 年 25 巻 4 号 p. 193-198
    発行日: 1960/11/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    日本の各地から収集したイネ白葉枯病菌ファージは, それらの寄主範囲から, OP1, OP1h, OP1h2, OP2の4系統に分類できる。これらの内, OP1とOP1h2とが最も広く分布しているようである。
    また日本の各地から集めたイネ白葉枯病菌の分離地別82系統菌は, ファージに対する感受性から次の5系統に分類できる。
    系統A: OP1, OP1h2, OP2に感受性でOP1hに抵抗性
    系統B: OP1h, OP1h2, OP2に感受性でOP1に抵抗性
    系統C: すべてのファージに抵抗性
    系統D: OP1h2, OP2に感受性でOP1, OP1hに抵抗性
    系統E: OP2に感受性でOP1, OP1h, OP1h2に抵抗性
    これらのイネ白葉枯病菌系統の内, 日本における分布は系統Aが最も広く, ついでB, D, C, Eの順である。しかしながら, これらの系統の分布模様には規則性は認められない。
feedback
Top