シンビジウムの葉から分離した
Fusarium sp. HPF-1株は,シンビジウム黄斑病の発病を抑制した.本菌株はシンビジウムを含む一部のランに極めて弱い病原性を有するが,イネ,イチゴ,アスパラガスには病原性を示さなかった.シンビジウムでは肉眼で識別できる程度の黒褐色小斑を生じるが,実用的には問題はなかった.黄斑病はシンビジウムに病原性を示さなかった
F. moniliformeの前接種では発病が抑制されなかったが,本菌株を含めシンビジウムに病原性が認められる
F. oxysporumや
F. solaniの複数分離株では発病が抑制され,中でも本菌株の抑制効果が高かった.本菌の接種濃度は約1×10
5cells/mlで十分で,発病抑制効果は接種3日後には認められ,生育期間を通して高い抑制効果があった.本菌はメリクロン苗に噴霧接種することにより,その後発生してくる新葉やリード葉に感染し株全体に蔓延するので,無菌状態に近いメリクロン苗に感染させて利用することが効果的と考えられた.
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