日本植物病理学会報
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78 巻 , 1 号
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追悼文
原著
  • 尾松 直志, 富濱 毅, 野中 壽之
    2012 年 78 巻 1 号 p. 3-9
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/09
    ジャーナル フリー
    チャ輪斑病は茶園における重要病害のひとつである.これまでに,鹿児島県では輪斑病防除にチオファネートメチル水和剤とアゾキシストロビン水和剤が広く用いられてきた.しかし,1983年にはベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生が,2008年にはQoI剤耐性菌の発生が確認された.そこで,鹿児島県内のチャ園において,2008年には139ほ場2260菌株についてQoI剤耐性菌の発生状況を,2009年には110ほ場2316菌株についてQoI剤耐性菌とベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌の発生状況について調査した.2カ年のQoI剤耐性菌の発生ほ場率は31.7%と33.6%,耐性菌株率は12.8%と13.2%とほぼ同程度の発生であった.発生地域には偏りが見られ,南薩や曽於地区に多く,姶良や北薩地区では少ない傾向にあった.一方,ベンゾイミダゾール系薬剤耐性菌は高度耐性菌と中等度耐性菌が混在しており,近年使用していないにもかかわらず,中等度耐性菌を含めると発生ほ場率80.9%と広範囲に存在しており,耐性菌が自然環境下で安定して存在していると考えられる.また,両剤に高度耐性を示す菌株も調査ほ場の20.0%で検出された.QoI剤耐性菌が発生しているほ場では同系統薬剤の防除効果は低く,耐性菌の割合が高まるほどその効果は低下した.さらに,薬剤散布前の耐性菌割合が低いほ場でも1回の防除によって耐性菌割合が急激に高まった.このような結果はベンゾイミダゾール系薬剤においても同様であった.以上のことから,耐性菌発生ほ場における同系統薬剤の使用の危険性が示唆された.
  • 鈴木 文彦, 藤 晋一, 古場 文子, 中島 隆, 荒井 治喜
    2012 年 78 巻 1 号 p. 10-17
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/09
    ジャーナル フリー
    日本産のイネいもち病菌を標的に選抜した12種類のSSRマーカーについて,4マーカーずつ3セットのマルチプレックスPCRを開発した.2001年に西日本の16県から採集されたいもち病菌について,12種類のSSRマーカーを用いて遺伝的多様性と集団構造を解析した.供試した293菌株からは,265のハプロタイプが検出され,マーカーあたりのアリル数は2から36(平均14.3)となり,きわめて高い遺伝的多様性が観察された.次に,10県におけるペアワイズFSTを算出した結果,0.002から0.275の範囲の値を示し,集団分化のレベルが県間で大きく異なることが明らかになった.Mantel testを実施した結果,遺伝的距離と地理的距離(69~539 km)との間に有意な相関が認められた(r2=0.224, P=0.004).これらの結果から,隣接する県間では活発な胞子飛散や種子の移動などによって遺伝子流動が大きい一方で,離れた県間では,それらが制限されていることが推察された.以上より,選抜したSSRマーカーは,いもち病菌の集団遺伝学的研究に有用であることが示された.
短報
  • 小川 孝之, 垪和 由佳理, 津田 新哉
    2012 年 78 巻 1 号 p. 18-21
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/03/09
    ジャーナル フリー
    Pepper mild mottle virus (PMMoV) in the soil can be detected by double antibody sandwich enzyme linked immunosorbent assay (DAS-ELISA) (Ikegashira et al., 2004) with great sensitivity. A PMMoV-disease risk assessment system, based on DAS-ELISA measurements of the virus in field soils, was developed to obtain a better understanding of PMMoV-contamination levels in pepper fields. When the DAS-ELISA was used on soils collected from five locations in the field, the greatest value correlated significantly with the incidence of PMMoV disease. To estimate the threshold of disease incidence in consecutive cultivations, we used DAS-ELISA for soils collected from 72 pepper fields after cultivation. The viruliferous soils had an absorbance over 0.1 in the DAS-ELISA, correlating with the disease incidence during the next cultivation, whereas most of the nonviruliferous soils were below this value. Taken together, our results showed that measuring the virus in soils from pepper fields using the DAS-ELISA system, just before cultivation, is useful for assessing the risk of disease from PMMoV.
平成23年度地域部会講演要旨
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