長野県のモモ産地で問題となっていたモモ果面の褐色斑点症状について,原因菌を特定し,発生時期と果実感染時期を明らかにした.走査型電子顕微鏡での観察により,褐色斑点表面に太さ1~2 μm程度の菌糸の存在が認められ,また,褐色斑点より抽出したDNAのrDNA ITS領域の塩基配列はリンゴうどんこ病菌P. leucotrichaのものと100%一致した.さらに,P. leucotrichaの接種により原病徴が再現され,DNAが再検出されたことから,本症状はセルビアの事例と同様にP. leucotrichaによって引き起こされることが明らかとなった.Podosphaera pannosaによるモモうどんこ病とは,分生子形成の有無による幼果期の標徴は異なるものの,成熟期の病徴が類似することから,本病もモモうどんこ病に含めることが妥当と考えられた.Podosphaera leucotrichaのモモ‘なつっこ’における果実感染時期は落花期~落花20日後頃で,それ以降の感染はほとんど無かった.また,潜伏期間は約15~40日程度で,モモ圃場では落花15日後頃より発病が認められ,その後急速に発病果率が増加した.モモでの分生子形成が認められないことから,主要な伝染源はうどんこ病発生リンゴ樹であると推察された.
In March 2012, powdery mildew was found on balsam pear (Momordica charantia L.) in Okinawa, Japan. No cleistothecia were observed. The associated fungus was identified as Podosphaera xanthii using morphological characteristics of the anamorph and molecular analysis of ITS regions. Podosphaera xanthii is proposed as another pathogen of powdery mildew on balsam pear in Japan.