1. 全国各地のイネ白葉枯病発生地の本病罹病葉より分離した118菌株のうち, 病原性の異なる代表的20菌株を用いて, イネ白葉枯病菌
X. oryzae の生理的性質について実験を行なつた。
2. 実験に用いたイネ白葉枯病菌はいずれの菌株も硝酸塩を還元せず, methylene-blue を還元する。アンモニアを生成し, インドールの生成はなく, 硫化水素を発生しゼラチンを徐々に溶解するが, 牛乳を凝固および消化することがない。リトマスミルクを青変する。石山
3)の実験結果とは, methylene-blue の還元, 硫化水素の発生程度, アンモニア産生の有無, ゼラチンの溶解, 牛乳の消化などの点で異なる。
3. ゼラチンの溶解と病原性との間には比較的密接な関係がみられた。
4. 糖類および高級アルコールの分解能では, xylose, arabinose, glucose, levulose, galactose, mannose, sucrose などを分解し酸を生成するが, rhamnose, maltose, lactose, raffinose, dextrin, starch, inulin, glycerol, mannitol, sorbitol, salicin などは分解しない。arabinose は菌株によつて分解しないものがあつた。
5. 菌株によつて凝集反応の遅速, 強弱がややみとめられたが, 抗
X. oryzae (22-SR-2) 血清との反応はいずれも陽性を示した。
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