日本植物病理学会報
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46 巻, 1 号
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  • 西村 範夫, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1980 年 46 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ塊茎細胞の3H-ロイシン吸収能を阻害する成分がジャガイモ疫病菌の遊走子に存在することを前報で報告した。本論文では吸収能を阻害する成分を遊走子と菌糸から抽出し部分純化した。遊走子に酢酸緩衝液(pH 4.5)を加えて磨砕し, 20,000×gで遠心分離した。沈殿分画(A)をホウ酸緩衝液に懸濁し, 1時間煮沸したのち, 20,000×gで遠心分離して沈澱分画(B)と上清分画を得た。上清分画を蒸留水で透析した(C)。各分画を終濃度1mM CaCl2を含む10mMトリス緩衝液(pH 7.4)に懸濁した。各分画に阻害効果があり,阻害率と糖濃度の間に高い相関がみられた。C分画で処理した場合,糖濃度が15μg/mlのとき阻害率は2時間で最高に達した。またLisker & Kucがファイトアレキシンエリシターとして抽出した方法に従って,菌糸から抽出した成分も遊走子成分と同じ吸収阻害活性を示した。
  • 中野 道治, 井上 忠男
    1980 年 46 巻 1 号 p. 7-14
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報はゴボウに見出される1種のclosterovirus,ゴボウ黄化ウイルス(burdock yellows virus, BdYV,以前‘Bd-F’と仮称していたもの)の性状の記載ならびにBdYVを含む4種のclosterovirusの血清反応試験について述べたものである。
    BdYVはゴボウでほとんど無病徴か,下葉の葉縁部にわずかに黄化病徴をあらわすほか,エゾギク,サンシキカミツレおよびNicotiana clevelandiiに全身感染した。BdYVはゴボウヒゲナガアブラムシ(Dactynotus gobonis)で半永続的に伝搬され, N. clevelandiiだけに汁液接種で移すことができた。粗汁液中での不活化温度は45~50C (10分),保存限度は1~2日(20C)であった。N. clevelandii病葉から得たBdYV純化標品のUV吸収曲線は245nmに極小, 260nmに極大値があり, A260/280=1,73であった。ウイルス粒子は屈曲した長いひも状で1700~1750×12nm,構造らせんのピッチは約3.6nmであった。感染植物超薄切片でウイルス粒子は節部細胞に局在してみられ,しばしば束状の大きな粒子集塊として認められた。また,これらの細胞内には特徴的な小胞構造体がみられ,篩部細胞のえ死も認められた。
    BdYV,カーネーションえそ斑(CNFV), カンキツトリステザ(CTV)およびコムギ黄葉(WYLV)の4種のclosterovirusにつきSDS-寒天二重拡散法を行ったところ,それぞれ同種のウイルス-抗血清の組合せで血清反応があらわれたが,寒天中のSDS濃度はBdYVで0.5%, 他の3種のウイルスでは0.1%の場合にもっとも明瞭であった。ミクロプレシピチンテストにより4種closterovirus相互の血清関係を調べたところ, CNFVとWLYVとの間に血清学的類縁のあることが確かめられた。
  • I. 各種アミノ酸の菌核形成阻害
    諸見里 善一, 松山 宣明, 脇本 哲
    1980 年 46 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    菌核は窒素源としてアスパラギン,アスパラギン酸,グルタミン酸,アラニン,セリン,アルギニン,プロリンおよびホモセリンを単独添加した合成培地上でよく形成された。一方,ヒスチジン,イソロイシン,ロイシン,チロジンおよび含硫アミノ酸であるシステイン,シスチン,メチオニン,ホモシステイン.タウリン添加の場合には全く形成が見られなかった。ロイシンの単独添加区では菌核は形成されないが, Hopkins培地に付加的に添加すると10-1Mでも僅かな阻害が見られるに過ぎなかった。又,化学構造が類似するセリンとシステインおよびホモセリンとホモシステインでは,菌核形成に対する影響が極端に異なり, S又はSH基が菌核形成を特異的に阻害することを示している。アミノ酸のD型異性体は菌核形成を著しく阻害した。菌核形成に阻害的に働くアミノ酸は培養初期に菌糸の伸長や総菌体重の増加を妨げたが, 14日後の菌糸重は対照区の菌糸重および菌核重の合計をむしろ凌駕した。
  • II. 菌核分化過程とアミノ酸によるその抑制
    諸見里 善一, 松山 宣明, 脇本 哲
    1980 年 46 巻 1 号 p. 21-25
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    R. solaniの菌核形成過程は, 1)菌糸の分岐, 2)菌糸の凝集, 3)始原体(initials)の形成, 4)白色未熟菌核の形成, 5)成熟の5つの段階に分けられる。含硫アミノ酸およびヒスチジンは菌核形成を直接的に阻害するが,これらのアミノ酸が分化過程のどの段階を阻害するかを検討した。菌糸の分岐は各アミノ酸によって著しく抑制されたが,分岐に伴って起る菌糸の凝集は抑制されなかった。始原体から菌核への分化も著しく抑制されたが,その程度は前培養期間の長さと関係がある。白色菌核から成熟菌核への過程も抑制されたが,菌核の成熟に伴う着色も著しく阻害された。アミノ酸による菌核形成阻害は,菌糸の分岐阻害とそれに基づく織り込み菌糸数の減少,および菌核成熟過程における細胞肥大の抑制によると推論した。
  • 手塚 信夫, 西 泰道, 渡辺 康正
    1980 年 46 巻 1 号 p. 26-33
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    B. cinereaに顕著な効果を示す薬剤プロサイミドン〔N-(3',5'-ジクロルフェニル)-1, 2-ジメチルシクロプロパン-1, 2-ジカルボキシイミド〕に対するB. cinereaの耐性変異株が初in vitroで分離されたので,その性質,病原力などを調査した。
    1. プロサイミドン1~100ppm添加PSA培地上にB. cinereaの分生胞子または菌そうを移植し, 25C下の恒温箱内で3~10日間培養すると,同剤に対する耐性変異株が3~13%の高頻度で出現し,そのMICは51, 200ppmであった。
    2. 耐性変異株はプロサイミドン100ppm添加PSA培地上で無添加培地上とほぼ同じ速度で菌そうが生育したが,原菌株の感性菌に比べて一般に菌そうの生育が遅い。
    3. 耐性変異株はプロサイミドン,アイブロデオン,ビンクロゾリンおよびジクロゾリンの間で交さ耐性を示したが,チオファネートメチルとの間には交さ耐性は認められず,薬剤の作用点が異なることを示唆した。
    4. 耐性変異株のキュウリ果実に対する病原性は原菌株の感性菌に比べて一般に弱いが,変異株に対するプロサイミドンの防除効果は低下していた。
    5. 分生胞子を多量に形成する耐性変異株を用いて原菌株の感性菌との競合を調査した結果,分生胞子および菌糸のいずれを用いた場合でも耐性菌株に強い競合力がある菌株があることを示した。
    6. トマト,ナス,ピーマンおよびキュウリ果実の組織に菌を接種し,プロサイミドンを散布した後,菌を分離し同剤に対する感受性を調査した結果,すべて同剤に感受性であり,耐性菌株は分離されなかった。
    7. 灰色かび病の発生しているハウス栽培トマトにプロサイミドンを4~7回散布後,菌を分離し同剤に対する感受性を調査した結果,耐性変異株は分離されなかった。
  • 野末 雅之, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1980 年 46 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ジャガイモ疫病の過敏感細胞死を抑制する各種の阻害剤が知られている。それらの阻害剤処理によるジャガイモ(リシリ品種)塊茎ディスク中のATPレベルの変動と,その細胞死に対する影響を検討した。作製3時間後(Fresh)および23時間後(Aged)の塊茎ディスク(厚さ0.5mm,直径10mm)に各種阻害剤を30分間処理した後,液体窒素で凍結し,真空凍結乾燥した組織からATPを過塩素酸で抽出し,ルシフェリンールシフェラーゼ法によって測定した。Agedディスクに阻害剤を処理しその直後から測定したところ, 2, 4-ジニトロフェノール(2, 4-DNP)0.5mM,アジ化ナトリウム(NaN3) 2mM処理ディスクではATPレベルが低下し,ブラストサイジンS (BcS) 10ppm, p-クロロマーキュリー安息香酸(PCMB)0.5mMおよび高分子デキストラン結合PCMB (PMDT) 1.39mg/ml処理ディスクでは低下しなかった。一方, Freshディスクに阻害剤を処理し, 20時間後にATPレベルを測定したところ, 2, 4-DNP処理ディスクでのみ減少し, NaN3, BcSおよびPCMB処理では影響はなかった。これらの場合と同じ処理を行ったディスクに対して,処理20時間後に非親和性の疫病菌(Phytophthora infestans)を接種した。BcS処理ディスクでは過敏感反応能の獲得が阻害され,過敏感細胞死も抑制されることが知られている。ところが, 2, 4-DNP, PCMB, PMDT処理でも過敏感細胞死が強く抑制され, NaN3処理では余り抑制されなかった。以上の諸結果は, 2, 4-DNPおよびNaN3はATPレベルを低下させることにより, PCMBとPMDTはATPレベルの低下のためでなく,他の原因により(たぶん宿主原形質膜のSH基に働きかけることにより),またBcSは過敏感反応能の獲得を阻害することにより,それぞれ過敏感細胞死を抑制している可能性を示唆している。
  • 野田 孝人, 羽柴 輝良, 佐藤 善司
    1980 年 46 巻 1 号 p. 40-45
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The number and width of exodermal and cortical cells in swollen rice seedling roots infected with Rhizopus chinensis or induced by the toxin produced by the pathogen increased and the thickness of the cortical cell walls also increased to about 3 times compared with those of healthy roots. Hyphal penetration into the inner layers was not observed.
  • 鈴井 孝仁, 牧野 秋雄
    1980 年 46 巻 1 号 p. 46-48
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 井上 忠男, 尾崎 武司
    1980 年 46 巻 1 号 p. 49-50
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Yellow vein of Eupatorium chinense var. simplicifolium caused by a geminivirus (Osaki and Inouye, 1979) had long been attracted attentions by some Japanese botanists and plant pathologists. A poem written by the Empress Koken on the yellow leaf of Eupatorium in the year of 752 that appeared in “Manyoshu” would be the first record in all over the world in the literature of the possible plant virus disease.
  • 大木 理, 匠原 監一郎, 井上 忠男
    1980 年 46 巻 1 号 p. 51-53
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 今泉 誠子, 久保 進
    1980 年 46 巻 1 号 p. 54-56
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Location of tobacco necrotic dwarf virus antigen in plant tissues was detected by the fluorescent antibody staining method.
    The antigen was restricted to phloem tissue in tobacco, Physalis floridana and spinach. A method using polyethylene glycol 1000 for embedding tissues fixed with the Carnoy's fixative was proved to be rapid and effective to detect the specific fluorescence in tissue sections.
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 57-65
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 65-71
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 72-78
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 79-88
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 88-99
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1980 年 46 巻 1 号 p. 99-112
    発行日: 1980/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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