日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
Print ISSN : 0031-9473
ISSN-L : 0031-9473
86 巻, 2 号
選択された号の論文の4件中1~4を表示しています
追悼文
原著
  • 小幡 善也, 横山 綾, 泉津 弘佑, 入江 俊一, 鈴木 一実
    2020 年 86 巻 2 号 p. 85-96
    発行日: 2020/05/25
    公開日: 2020/08/04
    ジャーナル フリー

    ホメオボックスは約180 bpから成るホメオドメインと呼ばれるDNA結合モチーフを有する転写制御因子であり,菌類や他の真核生物の形態形成に重要であることが知られている.ホメオボックス転写制御因子をコードする10個のホメオボックス遺伝子がウリ類炭疽病菌のゲノムから同定されている.本研究では,CoHox4遺伝子破壊株を作出し,表現型解析を行うことによって,ウリ類炭疽病菌におけるCoHox4の機能を明らかにした.CoHox4遺伝子破壊株は野生株104-Tと比較して,顕著な菌糸生育能力の低下を示した.培養初期の菌糸生育を観察すると,CoHox4遺伝子破壊株は野生株104-Tと比較して,菌糸の分枝数が多いことが明らかになった.また,CoHox4遺伝破壊株は野生株104-Tと比較して,約1.35倍長い分生胞子を形成した.この細長い分生胞子はガラス上および宿主葉上において付着器形成の異常を示した.さらに,CoHox4遺伝子破壊株は無傷および有傷のキュウリ子葉に対して顕著な病原性の低下を示した.また,CoHox4遺伝子破壊株はカルコフロールホワイトに対する感受性が低かった.以上の結果より,CoHox4が本菌の栄養菌糸生育,分生胞子の形態および付着器形成のような多様な形態分化を制御し,完全な病原性に必要であることが示唆された.

短報
病害短信
feedback
Top