日本植物病理学会報
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81 巻 , 2 号
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総説
原著
  • 澤田 宏之, 清水 伸一, 三好 孝典, 篠崎 毅, 楠元 智子, 野口 真弓, 成富 毅誌, 菊原 賢次, 間佐古 将則, 藤川 貴史, ...
    2015 年 81 巻 2 号 p. 111-126
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/14
    ジャーナル フリー
    2014年4月以降,わが国の複数の産地において,キウイフルーツ(Actinidia chinensisおよびA. deliciosa)の幹,枝,新梢,葉,花蕾に,かいよう病様の激しい症状が新たに発生して問題となっている.枝幹部からの樹液の漏出や新梢の枯れ込み等の症状が,これまでわが国で確認されてきたかいよう病の場合より激しい事例も観察されている.愛媛,福岡,佐賀,和歌山県由来の罹病サンプルから分離した22菌株は,淡黄色で不透明の円形集落を形成した.分離菌をA. chinensisに接種すると原病徴が再現され,そこからは接種菌が再分離できた.本菌はグラム陰性,好気性で1~2本の極鞭毛を有する桿菌であり,その主要な生理・生化学的性質,ITS,hopZ3hopO1-2を標的としたPCR検定,および,7つの必須遺伝子(acnBctsgapAgyrBpfkpgiおよびrpoD)を用いたMultiLocus Sequence Analysis(MLSA)に基づき,Pseudomonas syringae pv. actinidiaeと同定することができた.また,API 20NEによる表現形質の検査,argKcflacnBhopH1hopZ5を標的としたPCR検定,および,MLSA解析の結果より,本菌はP. syringae pv. actinidiaeにおける既知の4つのbiovar(biovar 1, 2, 3, 5)のうち,biovar 3(=Psa3)に相当することが明らかとなった.さらに,biovar 3が保持しているとされているintegrative conjugative element(ICE)のうち,特に解析が進んでいるPac_ICE1, Pac_ICE2, Pac_ICE3を検討対象として取り上げ,本菌におけるそれらの保有状況をPCR検定によって調査した.その結果,このうちの14菌株はPac_ICE1を保持していることが認められたが,福岡と佐賀県由来の8菌株からは「Pac_ICE1, Pac_ICE2, Pac_ICE3に相当する構造」がPCR検出できないことが判明した.以上より,わが国にはキウイフルーツかいよう病の病原として,これまで知られていたbiovar 1とbiovar 5だけでなく,biovar 3も分布していること,Pac_ICEの保有パターンに基づいてこれら国内産のbiovar 3はさらに2つのグループに類別できることが明らかとなった.
  • 福田 一徳, 濱本 宏, 橋本 将典, 中山 万奈美, 根津 修, 鍵和田 聡, 大島 研郎, 難波 成任
    2015 年 81 巻 2 号 p. 127-135
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/14
    ジャーナル フリー
    植物病に対して的確な対処を行うことは,植物の栽培等に携わる関係者にとって極めて重要な課題である.近年,植物の栽培等に携わる関係者は多様化する傾向にあり,生産農家以外にも多数の企業等が植物病の問題に直面するようになっていることから,植物病に対する対処に関する支援体制の見直し・拡充を検討する必要がある.そこで,2007年7月に,植物の栽培等に携わる企業および農家等を対象として,植物病の発生状況,対処状況,支援に対するニーズ等の把握を目的とするアンケート調査を実施し,植物病に対する対処に関する新たな支援の可能性について考察を行った.調査の結果,回答者の9割以上が植物病の問題を抱えており,特に企業では6割強が植物病の防除に年間100万円以上を費やしていることが明らかになった.また,企業および農家等のいずれにおいても植物病の診断・対処を第三者に依頼・相談した場合には高い効果が得られているものの,企業が第三者に依頼・相談する割合は農家等に比べて大幅に低く,5割程度にとどまっていることが明らかになった.その一方で,植物病の診断・防除・予防サービスに対する企業のニーズは高く,有償でもサービスを受けたいとする割合が非常に高いことが示された.我が国では,これまで農業試験場や農業改良普及センター等の公的機関が主に農家向けに植物病に対する対処に関する支援を提供してきたが,本調査結果から,公的機関による既存の支援に加え,特に企業向けに植物病の診断・防除・予防に関する新たなサービスを提供する体制を構築する意義は大きいことが示唆された.
短報
  • 鈴木 智貴, 脇本 寛美, 長谷 修, 生井 恒雄, 小林 隆
    2015 年 81 巻 2 号 p. 136-140
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/14
    ジャーナル フリー
    Pathogenicity, morphological and genetic aspects of fungi isolated from seven gramineous plants with blast disease in the southern Tohoku region were studied. Spores had the typical form of Pyricularia. Most isolates did not form lesions on rice, but all were pathogenic to the host of origin. On the basis of toxin production and a phylogenetic tree based on the rDNA-ITS sequence of the isolates, the fungi isolated from plants in the grass genera Lolium, Erichloa, Panicum and Setaria were identified as Pyricularia oryzae, but are unlikely to serve as inoculum to cause rice blast disease.
  • 早野 由里子, 林 敬子, 芦澤 武人, 鈴木 文彦
    2015 年 81 巻 2 号 p. 141-143
    発行日: 2015年
    公開日: 2015/07/14
    ジャーナル フリー
    A simple paper-disc method was developed to prepare DNA from a large number of samples of Pyricularia oryzae for polymerase chain reaction (PCR)-based analyses such as simple-sequence repeat analysis was developed by testing variables such as culture period, drying the culture, buffer volume and centrifugation for extracting DNA, and stability after storage. Mycelium from a single-spore isolate in the center of a plate of oatmeal–0.5% w/v sucrose–1.6% (w/v) agar is allowed to grow onto paper discs (ø 6 mm) on the plates. After 7 days at 26°C, the mycelium-permeated discs are dried in a dessicator, placed in 200 µl Tris-EDTA buffer (10 mM Tris·HCl, 1 mM EDTA, pH 8.0) in a microtube, and vortexed for ca. 2 s. After the preparation is centrifuged at 21,500×g for 30 min at 4°C, 1 µl of the supernatant with the fungal DNA can be used as the template to detect genomic and mitochondrial genes using PCR or the preparation can be stably stored at 4°C for 8 weeks.
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