1965年12月,西南暖地の秋播きてん菜に原因不明の病害が爆発的に発生し,かなりの被害があつた。翌1966年7月,東北の春播きてん菜に暖地と少し病徴の違つた病害が,台風の直後に突発的に発生した。この病害は北海道にも発生した。
前者では葉脈,中肋,葉柄上の条斑が目立ち,葉身の円形輪紋はまれであつたが,根の維管束が黒変し被害が激しいと冠部が冬期間に腐敗した。
後者では葉身に多数の円形輪紋ができ,中肋,葉柄の条斑や根の維管束の黒変もわずかに発生したが,冠部の腐敗はなかつた。
東北,北海道と西南暖地の両病害は,発病時期,葉の病徴,根の腐敗など若干の差異が認められたが,同一の病原細菌によることがわかつた。
病原細菌は細菌学的性質が
Ps. aptata, Ps. coronafaciensに似ているが,サトウダイコン,ノウゼンハレン,ピーマンを侵し,カラスムギを侵さない点を考慮すると,前者の
Ps. aptata (Brown et Jamieson) Stevensと考えられる。
本病に弱い品種であるE-4(導入2号),E-5(ツキサップ)などが多く栽培されたことが,発病の一原因と考えられる。
本病はわが国でははじめての発生である。病名には斑点細菌病を,英名にはbacterial blightをあてたい。
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