日本植物病理学会報
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47 巻, 1 号
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  • 堀野 修, T. W. MEW, G. S. KHUSH, 江塚 昭典
    1981 年 47 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ白葉枯病菌の病原性を異にする菌系群の判別体系は,日本とIRRIとで全く別々に確立された。ここでは両判別体系を直接比較するため,双方の判別品種および代表菌系を含む若干の品種と菌系との相互反応を検討した。日本で用いられている針接種法とIRRIの剪葉接種法とによる抵抗性検定結果の間には高い相関関係が認められたので,本研究ではすべて針接種法を採用した。日本の判別品種のうち,金南風,黄玉, Te-tepはフィリピンの4菌系群に対してすベて感受性を示し,早稲愛国3号とジャワNo. 14はすべて抵抗性の反応を示した。IRRIの判別品種のうち,フィリピンの全菌系群に感受性のIR8は日本のII, III, V群菌に抵抗性を示したが,フィリピンのII群菌に抵抗性のCas 209は日本の全菌系群に感受性であった。IR20は日本のI, V群菌に抵抗性, IR1545-339とDV85は日本の全菌系群に抵抗性を示した。日本およびフィリピンの全菌系群に対する反応を通覧すると,両体系の判別品種間に共通の反応型を示す品種はなく,抵抗性遺伝子型が品種ごとに異なることが示唆された。日本の早稲愛国群およびジャワ群に属する品種の多くはフィリピンの全菌系群に対して抵抗性を示した。フィリピン各地から集めた白葉枯病菌61菌株は日本の判別体系ではすべてIII群に分類されたが, IRRIの判別品種に対する病原性は日本のIII群菌とは異なっていた。
  • 阿久津 克己, 黄 耿堂, 見里 朝正
    1981 年 47 巻 1 号 p. 15-23
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    灰色かび病菌(Botrytis cinerea)の分生胞子を蒸留水, 5%グルコース, 5%フラクトース, 5%ペプトン各溶液に1×105個/mlの濃度に懸濁し,キュウリ(相模半白)の第1葉に接種した場合,感染が認められない。ところが接種源の胞子濃度を高めると, 5%グルコース, 5%フラクトース懸濁液接種で感染が認められた。そこで胞子濃度が異なる5%グルコース懸濁液(1×105, 1×106, 1×107, 1×108個/ml)を用意し,キュウリ第1葉に接種し,経時的に光顕観察した。低濃度(1×105, 1×106個/ml)接種葉では,胞子は発芽後,発芽管先端に付着器(simple appressoria群の第2型)を形成し,侵入を試みるが,組織内への侵入は認められなかった。高濃度(1×107, 1×108個/ml)接種葉では,隣接した胞子間で胞子同士,発芽管と胞子,あるいは発芽管同士が融合し,網目状の構造体を形成した。この構造体は内藤らがイネ褐色葉枯病菌(Fusarium nivale)で報告した分生胞子複合体と類似した形態を示す。この網目状の構造体から分岐した菌糸先端に付着器(simple appressoria群の第2型)が形成され,角皮侵入しているのが観察された。胞子濃度の高い条件下で,グルコースは胞子間融合,網目状構造体の形成を誘導することが考えられる。また網目状構造体は感染に要するエネルギーの補給に役立つものと考えられる。
  • 由崎 俊道
    1981 年 47 巻 1 号 p. 24-28
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコモザイクウイルス(TMV)に感染したタバコ上で飼育したアブラムシにべントナイト懸濁液を加えて磨砕し, Nicotiana glutinosa L. に接種することによって感染性TMVを検出することができたが,その感染力は感染タバコの抽出液を膜ごしに吸汁させたアブラムシから検出されたTMVの感染力より,かなり低かった。ベントナイト懸濁液を磨砕液に加えることによって,純化TMVを吸汁させたアブラムシを解剖して得た各々の胃から,感染性TMVを検出することができた。極く僅かな量の感染性TMVが後腸を含む腸から検出されたが,消化管を除いた残りの部分からは感染性TMVが検出されなかった。18.5mg/mlのTMVを膜ごしに吸汁させた1000頭のアブラムシから分画遠心法によってTMVの純化を行った。その結果,得られたTMVの総量は, 2.21mgであった。アブラムシ一頭当りの平均量は, 2.21μgと計算された。
  • 小林 喜六, 田中 文夫, 近藤 則夫, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 1 号 p. 29-34
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アズキ落葉病菌の罹病組織からの分離培地は報告されているが,土壌からの選択分離培地は明らかにされていないので検討した。本菌の菌糸生育,コロニー形成は炭素源として,ガラクトース,窒素源としてペプトンが良好であったので,これに硫酸マグネシウム,リン酸一カリウムを加えたものを基本培地とした。多くの抗菌性物質の中から, PCNB,ホウ酸ナトリウム,コール酸ナトリウム,塩酸テトラサイクリン,硫酸ストレプトマイシンが本菌の生育を高濃度においても阻害しなかった。これら5種の物質を基本培地に加えて選択培地とした。その組成は蒸留水1lに寒天20g,ガラクトース5g,ペプトン5g,リン酸一カリウム1g,硫酸マグネシウム0.5g, PCNB 0.5g,ホウ酸ナトリウム0.5g,コール酸ナトリウム0.5g,塩酸テトラサイクリン0.05g,硫酸ストレプトマイシン0.2gを加え, pHを5.5に調整したものである。殺菌あるいは無殺菌土に既知濃度の胞子懸濁液を接種後,本培地を用いて土壌希釈平板法によりその回収率を求めたところ上記培地がもっとも高かった。又,各地発病畑の自然土壌から本菌の分離を本培地を用いて行ったところ,発病指数と菌量との間に高い相関が認められた。さらに発病畑土壌の懸濁液と,それを10μmのミリポアフィルターを通した濾液中の菌量とを本選択培地を用いて比較した。処理懸濁液中の菌量の約60%が濾液から検出された。この結果より本菌は3か月以上は土壌中で遊離胞子の形態で生存しているものと認められる。
  • 酒井 隆太郎
    1981 年 47 巻 1 号 p. 35-41
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    宿主の子葉鞘より調製した遊離プロトプラストにコロナチンを接触させると傷害が起こる。その過程は,最初原形質流動が停止し,次いで細胞質が黄褐変化し,やがて細胞質はプロトプラストの一方に片寄って凝集する。明らかに細胞質構造の異常が認められる。しかしこの時点で原形質膜の構造は,光顕的には健全プロトプラスト同様の状態を保つものが観察される。また,イタリアンライグラス根毛をコロナチンに接触させると,表皮細胞の細胞質構造に異常が認められるが,その細胞に原形質分離能が保持される場合が観察される。一方,ジャガイモ塊茎柔組織細胞のコロナチンによる肥大作用が, DCCD (原形質膜結合ATPase活性の特異的阻害剤)によって阻害され,またイタリアンライグラス葉片およびジャガイモ塊茎の組織をコロナチンで処理すると,組織細胞より電解質が漏出する。これらの実験結果は,コロナチンは作用初期の段階で,植物の原形質膜の生理的性質に各種の影響を与えることが予想される。以上の結果,イタリアンライグラスかさ枯病菌の生産する病原毒素コロナチンの病徴発現機構を解明するためには,コロナチンの原形質膜に対する生理的作用が,細胞質の破壊にどのように関連するかを明らかにする必要があろう。
  • 古屋 広光, 宇井 格生
    1981 年 47 巻 1 号 p. 42-49
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 北海道北見地方の一部に存在するインゲン根腐病発病抑止土壌(北見土壌)が示すFusarium solani f. sp. phaseoliの大型分生胞子に対する発芽阻害作用について,土壌微生物の関与を検討した。
    2. 高圧蒸気殺菌した北見土壌で胞子は発芽し,発芽抑制は失なわれる。これに殺菌しない同土壌,あるいは発芽抑制を示さない十勝土壌を少量接種すると抑制作用は回復した。
    3. 北見土壌を低温蒸気で60~82C30分処理すると,発芽抑制作用は完全に失なわれ, 306~1020Kradのγ線を照射するとセロファン法では20~60%の胞子が発芽するようになった。
    4. これらの処理により発芽した胞子の発芽管は生長が遅く,分岐が多くまた太いなどの異常が認められた。
    5. 対照とした十勝土壌では胞子の発芽は良好で,上と同じ土壌処理により何らの影響を受けなかった。
    6. 以上から,北見土壌の示す胞子に対する作用は,発芽の抑制と,胞子細胞壁の一部の異常で,その原因は非特異的な微生物の作用であるとともに,この土壌に特異的な非生物要因も関与する可能性がある。
  • 堀野 修
    1981 年 47 巻 1 号 p. 50-57
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報告は抵抗性品種を利用してイネ白葉枯病を防除するための基礎資料を得るため, 1977年と1979年に全国から本病の罹病葉を採集し,分離した菌株の病原性検定を行い,その結果を述べたものである。
    1. 453分離菌のうちI群菌266 (58.7%), II群菌141 (31.1%), III群菌41 (9.1%), IV群菌5 (1.1%)で, V群菌は見出されなかった。各菌系の分離率に関する2か年の傾向は一致し,年次による差異はみられなかった。
    2. 分離菌のすべてがI群菌で,他の菌系が見出されなかったのは青森,石川,三重,奈良,鳥取の5県であった。II群菌だけが分離された都府県は福島,東京,大阪,香川であり, II群菌分離率が高かった県は栃木,埼玉,新潟,福井,愛知,島根,山口,愛媛,高知および鹿児島を除く九州各県であった。
    3. 本試験でII群菌が新たに8府県で分離され,その分布範囲は拡大し,北上している傾向がみられた。III群菌は前回の調査と同様長野以西の8県から分離され,とくに熊本県本渡市,鹿児島県川内市および長野県下伊郡高森町,同県飯田市ではIII群菌が多く分布していた。
    4. IV群菌は前回の調査とまったく同様,長崎県と沖縄県から5菌株分離された。長崎県ではI, II, III群菌と同等にIV群菌も優勢に分布しており,菌系の多様化が認められた。
    5. II群菌, III群菌およびIV群菌とも多くは金南風群品種から分離され,寄主品種の抵抗性と各菌系の寄生性との関係は明らかでなかった。
    6. 菌系分布に関する以上の結果から,既知の質的抵抗性遺伝子の利用だけで本病を防除することはもはや困難であり,今後は各菌系に特異性のない量的抵抗性を導入した抵抗性品種育成の必要性を指摘した。
  • T. W. MEW, C. M. VERA CRUZ, R. C. REYES
    1981 年 47 巻 1 号 p. 58-67
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ品種, IR8, IR20, IR1545にXanthomonas campestris pv. oryzaeの菌株を剪葉接種法,針接種法および噴霧接種法によって接種し,発病度を調べた結果,供試品種について接種法の違いによる病斑長と発病度に明らかな差異はなかったが,潜伏期間には差異がみられた。最高分けつ期に本病抵抗性遺伝子, Xa 4をもつTKM6ならびにそれに由来する系統,およびXa5をもつDZ192ならびにそれに由来する系統の発病度は同じ病原性群内の菌株間で差異がなかった。TKM6に由来する系統に対する病原性群1と病原性群2の病原性には顕著な差異が認められたが, DZ192に由来する系統に対する両病原性群の病原性の間には差異はなかった。異なる葉位および異なる生育時期の発病度を調べた結果,葉身展開後の経過日数ならびに生育時期が進むにつれて,発病度に低くなる傾向を示し,とくにこの傾向はイネ品種・病原性群の親和性組合せにおいて顕著であった。IR1695およびIR944のような成体抵抗性(adult plant resistance)をもつ系統の供試全菌株に対する発病度は,栄養生長期から生殖生長期に進むにつれて徐々に低下した。部分的抵抗性(partial resistance)をもつとみなされている中程度の抵抗性を示す品種の病斑長は,接種菌濃度が低い場合に著しく短くなった。一方,成体抵抗性をもつ系統の接種菌濃度の低下による病斑長の変化は,感受性の対照品種として用いたIR8と同様の傾向を示した。
  • 佐古 宣道, 緒方 和裕
    1981 年 47 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 浅田 泰次, 大口 富三
    1981 年 47 巻 1 号 p. 71-74
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 大口 富三, 浅田 泰次
    1981 年 47 巻 1 号 p. 75-77
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 野末 雅之, 冨山 宏平, 道家 紀志
    1981 年 47 巻 1 号 p. 78-79
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
  • Coniella castaneicolaによるナラ類およびクリのコニエラ葉枯病
    金子 繁
    1981 年 47 巻 1 号 p. 80-83
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 野田 孝人, 佐藤 昭夫, 佐藤 善司
    1981 年 47 巻 1 号 p. 84-86
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The basal parts of leaf sheaths of rice seedlings were immersed in bacterial suspension of Xanshomonas campestris pv. oryzae at a concentration of 106 cells/ml and were injured by rice plant weevils for two days. The disease development was checked 14 days after treatment. Kresek infection occurred severely on rice seedlings injured by rice plant weevils.
  • 1981 年 47 巻 1 号 p. 87-97
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 47 巻 1 号 p. 97-108
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 47 巻 1 号 p. 108-117
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 47 巻 1 号 p. 117-130
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1981 年 47 巻 1 号 p. 131-140
    発行日: 1981/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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