日本植物病理学会報
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79 巻, 2 号
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追悼文
原著
  • 渡辺 貴弘, 澤田 宏之
    2013 年 79 巻 2 号 p. 83-91
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/06/01
    ジャーナル フリー
    TaqManプローブ法に基づくリアルタイム定量PCR(qPCR)を利用して,ダイズ種子中のダイズ葉焼病菌(Xanthomonas axonopodis pv. glycines)を絶対定量する実験系を確立した.プライマー・プローブはrpoD遺伝子を標的として設計した.その特異性について検討したところ,供試した61株の本菌からは増幅が認められたが,Xanthomonas属の近縁細菌や,ダイズ由来の対照菌株・常在細菌からは全く増幅しなかった.絶対定量を行うために必要な検量線は,本菌の懸濁液の10倍希釈系列を用い,ダイズ種子1 gに対して添加回収試験(澤田ら,植物防疫 62: 611-617,2008)を行うことによって作成した.その結果,6×108~6×102 cfu/種子1 gの範囲で強い直線性と適正なPCR効率が得られることから,少なくともこの範囲において精度の高い定量実験が可能である.また,本法を用いて定性的な検査を行う場合の検出下限は,約6×101 cfu/種子1 g近くまでさかのぼる可能性が認められた.さらに,1 kgの「検体」の保菌程度を把握するためには,以下の1)~4)に示した手順に従って,検体の中からqPCR実験に供する「分析用試料」を採取すれば良いことが確認できた.すなわち,1)1 kgのダイズ種子(=検体)を粉砕して十分に混和する,2)「1 kgの粉砕種子から1 g(=分析用試料)を採取する」という操作を10回繰り返す,3)採取した1 gの粉砕種子ごとにDNAを抽出した後,qPCRを3反復行って定量値を求める,4)得られた30個の定量値を平均し,その値をもとに「検体」の保菌程度を判定する.
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