日本植物病理学会報
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80 巻, 4 号
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追悼文
総説
  • 児玉 基一朗, 赤木 靖典, 髙尾 和実, 難波 栄二, 山本 幹博, 秋光 和也, 柘植 尚志
    2014 年 80 巻 4 号 p. 207-216
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    Strategies for successful infection of host plants are highly diverse in fungal pathogens, which range from biotrophs to necrotrophs. As more microbial genomes have been sequenced, more fungal genes have been identified as being involved in pathogenesis, as exemplified by those for biosynthesis of toxic secondary metabolites such as host-specific toxins. Filamentous fungi produce a diverse array of secondary metabolites—small molecules that are not necessary for normal growth or development. The role of host-specific toxins in plant–fungus interaction as well as the biochemistry and molecular basis of toxin biosynthesis are discussed. The availability of fungal genomic sequences has revealed a remarkably large number of biosynthetic gene clusters for secondary metabolites, e.g., polyketides and nonribosomal peptides including cyclic peptides, extremely large classes of natural products of fungal origin. The origin and evolutionary processes for these gene clusters are largely unknown. Analysis of the arrangement and sequences of genes in the clusters should shed light on how the clusters and abilities to produce toxic secondary metabolites evolved.
原著
  • 宮野 法近, 辻 英明, 大場 淳司, 鈴木 智貴, 佐藤 直紀
    2014 年 80 巻 4 号 p. 217-221
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    宮城県のコムギ生産において赤かび病によるかび毒の蓄積を防ぐために薬剤による防除が行われており,品種により出穂後2~3回防除を奨励している.一方,生産現場からは防除の低コスト化や環境への負荷軽減の観点から防除回数を減らすような防除方法が求められている.今回,宮城県の小麦主要品種で赤かび病の抵抗性が中程度である「シラネコムギ」を用い出穂後の気象条件と防除回数,発病度,発病穂率,DON濃度との関係を宮城県古川農業試験場内圃場において2007年から2013年にかけて検討した結果,開花始期の防除によりDON濃度の減少がみられた.発病穂率は開花始期から10日間の降雨日数,発病度については開花始期から10日間の日最低気温,DON濃度については開花始期の11日目から20日間の降水量との間に正の相関関係が見られた.今回の結果では開花始期後1,2回の赤かび病防除で1.1 ppmのDON濃度出荷基準値を超えることはなかった.このことは宮城県における「シラネコムギ」の赤かび病防除は,多発年でない場合,開花始期の1回防除でDON濃度の出荷基準値以内に抑制が可能であることを示唆しているものと考えられた.
  • 加藤 光弘, 影山 智津子, 石井 香奈子, 上西 啓資, 藤田 絢香, 草野 成夫, 野口 真弓, 岩波 徹
    2014 年 80 巻 4 号 p. 222-228
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/12/27
    ジャーナル フリー
    SDVにより引き起こされる温州萎縮病は収量や果実品質の低下を引き起こすことから問題となっている.カンキツのウイルス検定はこれまでELISA法が一般的に用いられてきたが,新梢を検体とすることから検定できる期間が1年のうち数週間と限定されており,かつ検定に時間を要することが問題となっていた.そこで,イムノクロマト診断キットにより簡単,迅速に,かつ周年可能なSDV検出方法を検討した.その結果,春の新梢と同様に,花については花弁,柱頭,子房の部位別に分離して検定したところ,いずれの部位を用いても検出可能であった.夏季から秋季にかけては,果皮のフラベド部分を用いると高率に検出が可能であり,特に日光の照射量が多い夏季は内成り果の果皮を用いると検出率が高かった.冬季においては,3ヶ月間常温貯蔵庫で貯蔵した果実の果皮からも検出可能であった.夏季採取の果実や長期貯蔵果実でも検出が可能であったが,検体によっては検出率が低下する事例が確認されたので検定する際はなるべく多くの果実を供試する必要がある.また,カンキツ苗木育成のための穂木のウイルス診断に際しては,冬季切り枝水挿し法による新梢や花蕾を用いても陽性反応が確認された.これらの結果から,SDVクロマトによる検定に新梢,花蕾,果皮,冬季の切り枝から発生させた新梢や花蕾を用いることでSDVの周年検出が可能となった.
短報
平成26年度日本植物病理学会大会講演要旨
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