夏ホウレンソウに被害をもたらす萎凋病の発生をネギおよびニラの混植で抑制できるか検討した.まず,プラントボックス試験でホウレンソウ萎凋病に対するネギ混植およびニラ混植の発病抑制効果を評価した結果,両方に高い効果が認められた.つぎに,萎凋病菌接種培土と無接種培土をコンテナに詰め,両培土の境界にネギおよびニラを10 cmおよび15 cm間隔で植え,無接種培土側にホウレンソウを播種して萎凋病の発生を比較した.その結果,ニラ混植区では株間10 cmでのみ発病が有意に抑制されたが,ネギ混植区では株間によらず発病が有意に抑制され,またその発病抑制効果はニラ混植区よりも高かった.現地圃場での混植の発病抑制効果を検証するため,土壌燻蒸消毒後に雨よけハウス内の畝肩にネギおよびニラを10 cm間隔で植え付け,萎凋病の発生と土壌中のFusarium oxysporum菌密度を調査した.その結果,栽培期間を通じて両混植区で萎凋病の発生が抑制された.F. oxysporumは,ネギ混植区の土壌からは全く検出されなかったが,ニラ混植区および対照区の土壌からは検出される場合があった.以上の結果から,畝肩へのネギおよびニラの混植がホウレンソウ萎凋病の防除に利用できる可能性が示唆された.特に,ネギの混植が実用性が高いと考えられた.
Acidovorax citrulli(Aac)によって引き起こされる果実汚斑細菌病は,ウリ科植物における種子伝染性病害の一つで,常発地域からの侵入と蔓延を防ぐことは重要である.そこで,加温処理による種子消毒の効果的な処理条件を確立するために,処理温度,処理時間,温度変化がAacの生存に及ぼす影響を調査した.その結果,加温処理(50°C)と冷却処理(20°C)を交互に繰り返して処理する間欠加温処理が,冷却処理がない連続加温処理に比較してAacを短時間で殺菌することが明らかになった.次に,大型の種子は,熱が内部に伝わりにくく存在する細菌数も多いことなどから,消毒が困難なカボチャの人工汚染種子および小型恒温水槽を用いて温水と冷水への浸漬を交互に繰り返す間欠温湯処理の効果を検証した.加温積算時間20,30分間の温湯処理において,間欠温湯処理の方が連続温湯処理よりも効果が高かった.これは,生菌を使った試験の結果と一致した.さらに,銅水和剤500倍希釈液と0.01 M酢酸混合液への浸漬処理と間欠温湯処理の組合せ処理を小型恒温水槽を用いて検討し,発病を認めない処理条件を明らかにした.大型恒温水槽を用いたカボチャ種子の大量処理は,小型恒温水槽を用いた少量種子の処理と同等の効果があり,さらに,銅水和剤500倍希釈液と0.01 M酢酸との混合液への浸漬処理後の30分間間欠温湯処理(53°C)が最適と考えられた.間欠温湯処理のカボチャ種子の発芽率は,無処理区に対してやや低下する傾向を示したが,60%程度の発芽率が確保されていることから,原種および原原種に処理する場合には,問題にならない程度と考えられた.
Since 2012, a severe postharvest rot of mango fruits (cv. Lippens) has been found in Okinawa Prefecture, Japan. A fungus frequently isolated from the diseased fruits was identified as Neofusicoccum parvum based on morphological, cultural characteristics and sequence similarity of rDNA-ITS region and EF1-α gene. The isolates reproduced the symptoms on mango fruits after inoculation and were reisolated from the inoculated fruits. Neofusicoccum parvum is proposed as another pathogen of stem-end rot of mango in Japan.