日本植物病理学会報
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76 巻 , 4 号
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原著
  • 富濵 毅, 尾松 直志, 中村 正幸, 岩井 久, 瀧川 雄一
    2010 年 76 巻 4 号 p. 259-268
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    2007年の台風4号襲来時に鹿児島県の更新園や幼木園の徒長枝に,チャ葉の褐変症状が見られた.褐変症状からはチャ葉に高濃度で注入接種した場合に,過酸化水素の発生を伴う過敏感反応性症状を24~48時間以内に形成する細菌(以下,HRT菌)が分離された.2007年から2008年にかけて台風襲来後に発生したチャ葉の褐変症状から4種類のHRT菌が分離され,そのうち優先2種は細菌学的性質および16S rRNA遺伝子解析より,それぞれHerbaspirillum huttiense およびAcidovorax avenae に近縁な種であった.これらの細菌は,通常の付傷接種や野外条件においてチャ葉に病原性を示さなかった.しかし,台風襲来時に野外茶園においてHRT菌を噴霧接種したところ,翌日には原症状に類似した褐変症状が再現でき,病斑部分からは接種菌が再分離された.我々のデータは,台風襲来時のような特殊な条件下では本来は非病原性である細菌によって過敏感反応による被害が引き起こされうることを示唆する.
  • 善 正二郎, 奥田 充, 藤 晋一
    2010 年 76 巻 4 号 p. 269-274
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    Lisianthus (Eustoma grandiflorum) necrotic ring spot disease caused by Iris yellow spot virus (IYSV) is one of the most devastating lisianthus diseases. We tested several insecticides under both experimental and field condition to determine the length of the their residual activity in killing the thrips vector (Thrips tabaci) and their ability to inhibit IYSV transmission. The survival rate of T. tabaci was significantly low, and their ability to transmit IYSV was greatly inhibited after treatment with either acephate or spinosad under the experimental conditions. The insecticidal activity of acephate remained for at least 28 days, the longest duration of all examined insecticides. The number of thrips on lisianthus plants treated with acephate remained low until 17 days after treatment (DAT), while thrips density had increased by 10 DAT when thiamethoxam. These results indicated that acephate most effective controls the lisianthus necrotic ring spot disease.
  • 浅利 正義
    2010 年 76 巻 4 号 p. 275-281
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/12/25
    ジャーナル フリー
    液状複合肥料(TP)地表面灌注処理(S処理)のリンゴ紫紋羽病に対する発病抑制要因を,黒ボク土(壌土)を用いて調べた.最初に,ポットを用いて尿素(UR),リン酸,塩化カリウムをそれぞれS処理したところ,URのS処理土壌が強い菌糸伸長抑制作用を示した.次に,PDB培地を用いた培養試験では,URおよび硝酸塩のNaNO3,KNO3は10 mg/ml濃度で本病菌の生育を抑制しなかったが,炭酸アンモニウム(AC)および亜硝酸塩のNaNO2,KNO2はそれぞれ1 mg/mlおよび0.1 mg/ml濃度で生育を認めなかった.TP,URおよびACのS処理土壌は処理29日後まで強い菌糸伸長抑制作用を示し,土壌のNH4-NおよびNO2-N含量はそれぞれ生育抑制閾値のN含量を上回った.また,土壌微生物相は糸状菌数が減少し,細菌数,中でもアンモニア酸化細菌数が増加した.菌糸伸長抑制作用は処理62日後に低下したが,土壌のNH4-NおよびNO2-N含量も減少し,糸状菌数,細菌数は対照区と同程度となった.また,本病菌を接種したポット栽植のマルバカイドウに対して,URおよびACのS処理,亜硝酸塩の土壌混合処理はTPのS処理と同様に有意に発病を抑制したが,硝酸塩の土壌混合処理は発病を抑制しなかった.これらのことから,本処理の発病抑制要因として,URから生成されるAC,NO2-Nの本病菌に対する殺菌作用の関与が示された.
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