1. SDVに感染し高濃度のウイルスを含むペチュニアを接種源として草本植物における寄主範囲を調べたところ,8科22種の植物が感染した。
2. 感染ペチュニアを用い,Mg-ベントナイトおよび四塩化炭素処理による清澄化,糖密度勾配遠心によりSDVを純化した。ウイルスの凝集を防ぐためcitrate, borate bufferを用いた。
3. SDVは2∼3時間の蔗糖密度勾配遠心では単一のzoneであったが,6時間の遠心ではTop, Middle, Bottom zoneに分離した。Top zoneは極めて微量であった。
4. 蔗糖密度勾配遠心を3同反復し,各zoneを単離した。電顕観察の結果,Top zoneはほとんど中空の粒子より成り,Middle, Bottom zoneはいずれも完全な粒子で,両者間に形態の差は認められず,粒子の大きさは3者とも直径約26nmであった。感染性はMiddle, Bottom zoneを混合した場合が最高であった。また,活性希釈曲線はdouble hit curveを示し,MiddleおよびBottomの2成分が感染に関与するものと思われる。OD260/OD280比はBottomがMiddle zoneよりも高かった。沈降係数および浮上密度はMiddle zoneは119Sおよび1.43g/cm
3, Bottom zoneは129Sおよび1.46g/cm3であった。
5. SDVに対する抗血清を作成した。その力価は補体結合反応で640倍,寒天ゲル拡散法で320倍であった。tomato blackring virus, tomato ringspot virus, arabis mosaic virus, cherry leaf roll virus, tobacco ringspot virus, strawberry latent ringspot virus, raspberry ringspot virus, cowpea mosaic virus, bean pod mottle virus, cucumber mosaic virusおよびcitrus leaf rugose virusに対する抗血清は寒天ゲル拡散法でいずれもSDVと反応しなかった。
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