日本植物病理学会報
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12 巻, 2-4 号
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  • 吉井 啓
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 85-96
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    (1) 本實驗に於ては最初京都市郊外にて採集せる馬鹿苗より分離したる18系の稻馬鹿苗病菌につき,接種試驗竝に濾液試驗によりその徒長性を比較せり。
    (2) 稻馬鹿苗病菌には生理的分化現象存すること明かにして,接種試驗竝に濾液試驗によりて示されたる稻苗に對する徒長性は培養系統により差異あり。
    (3) 稻苗に對する接種試驗及び濾液試驗の結果を比較するに,病原菌の有する病原性竝に毒性に於て示さるる徒長性の系統的差異は全く平行關係を示し,病原性に於て徒長性の高き系統は毒性に於ける徒長性も亦高く,病原性に於ける徒長性の低き系統は毒性に於ても亦低し。
    (4) 次に蒐集せる多數の菌系中徒長性の最強及び最弱なるものと,その中間のものとを選出して,稻及び小麥に對して接種・濾液兩試驗を行ひたり。
    (5) 異なる菌系の有する徒長性の強弱度は稻以外の植物に對しても,稻と同一傾向を示すや否やを知らんと欲し,小麥を代表として實驗せるに,此系統的徒長性の差異は小麥苗にても稻に對すると全く同一傾向を示せり。
  • 岩田 吉人
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 97-108
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    1. 本實驗に於ては8種のPeronospora屬菌(ハクサイ,コマツナ,アブラナ,タイサイキヤベツ,カブのP. Brassicae,ナヅナのP. parasitica,セイヤウフウテフサウのP. sp.,ノミノフスマのP. Stellariae-uliginosae,ヤハズエンダウのP. Viciae sativae,アカザのP. variabilis,ハウレンサウのP. SpinaciaeタビラコのP. Trigonotidis), 1種のBremia屬菌(キツネアザミのB. Saussurae), 2種のPlasmopara屬菌(エビヅルのP. viticolaミツバのP. nivca) 1種のPseudoperonospora,屬菌(カナムグラのP. Humuli)を用ひ其等を寄主植物及一部は更に其他植物の葉の裏面に接種し其の侵入部位を檢した。
    2, Peronospora屬菌は何れも主として表皮細胞縫合部より侵入する。菌により又同一菌でも供試植物により氣孔侵入及表皮細胞膜の直接侵入を全く認めなかつたが其兩者又は一方を稀に認めたものもあつた。唯コマツナ上のP. Brassicaeをキヤベツに接種した場合氣孔侵入を18.7%も認めた場合があつた。
    3. コマツナ上Peronospora Brasiicaeのコマツナ,キヤベツに對する穗入部位と供試葉蝋質の有無の關係を檢したるに侵入部位は蝋質の有無により相異しなかつた。又P. Brassicae, P. variabilis, P. Spinaciaeの侵入部位は其供試寄主葉の成葉なると幼嫩なるとに關らず同樣であつた。
    4. Bremia Saussuraeは其寄主植物に對し主として表皮細胞縫合部より侵入するが氣孔侵入も相當數認められた。併し表皮細胞膜の直接侵入は全く認めなかつた。
    5. Plasmopara屬菌, Pseudoperonospora屬菌は何れも氣孔侵入のみを行つた。
  • 伊藤 健
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 109-115
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    The rot-disease of seedlings in nursery-beds is one of the most serious diseases of the rice plant in Japan. This disease had been recognized by some investigators to be caused by a water mould, Achlya prolifera (NEES) DEBARY (Achlya prolifera NEES). However, in 1931 and 1933, ITO and his coworkers reported that the disease is caused by some species of Saprolegniaceae, Pythiomorpha and Pythium.
    The present paper deals with the results of the writer's inoculation experiments of some aquatic fungi on rice seedlings, in which seven species belonging to Saprolegniaceae and nine species of Pythium were used. The names of these sixteen fungi, which were isolated by the writer from water in Kyoto, are as follows: Saprolegnia Thureti DEBARY, S. mixta DEBARY, S. monoica PRINGSH. var. glomerata TIESENHAUSEN, Achlya racemosa HILDEBRAND, A. imperfecta COKER, A. Oryzae ITO et NAGAI, Aphanomyces helicoides v. MINDEN, Pythium tenue GOBI, P. angustatum SPARROW, P. torulosum COKER et PATTERSON, P. aphanidermatum (EDSON) FITZPATRICK, P. helicum ITO, P. proliferum DEBARY, P. marsipium DRECHSLER, P. polypapillatum ITO, and P. pleroticum ITO.
    The writer's inoculation experiments were carried out using the seedlings grown on SACHS' solution containing 2% agar or the sterilized field soil covered with water. In the experiments each fungus to be tested were inoculated on the seeds as soon as they were sown.
    The pathogenicity of Pythium aphanidermatum and P. helicum was extremely strong and that of the other seven species of Pythium seemed to be moderate, but all the species tested, which belong to Saprolegniaceae, showed a very weak pathogenicity. The pathogenicity of these aquatic fungi was suggested to be more destructive when the rice plants were cultivated at lower temperatures.
    Judging from the writer's experiments Pythium species seem to be more important than the fungi belonging to Saprolegniaceae as the causal organisms of the rot-disease of rice-seedlings.
  • 石山 信一, 三澤 正生
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 116-130
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    本報告は昭和14年秋靜岡市吉田,聖一色兩部落に發生した莱〓の萎縮病の病徴,病原の性質,昆虫の媒介,寄主關係に就き研究した結果を記載したもので,要約すれば次の通りである。
    1. 靜岡市附近では昭和14, 15兩年の秋,萎縮病に因る莱〓の被害顯著で,圃場によつては,殆んど全滅せる所もあつた。
    2. 罹病莱〓は著しいものでは,萎縮し,地下部の發育不良となる。葉に於ては,葉脈透明,捲縮,斑紋,畸形,脈側緑帶を生じ,往々皺褶,葉脈糸状突起等を生ずる。莢,花梗にあつては,表面に斑紋を生ずる。罹病莱〓の葉組織にはX-體を未だ認め得ない。
    3. 本萎縮病は罹病植物搾汁を以て,カーボランダムを用ひ,莱〓苗に接種すれば容易に傳染せしめられる。
    4. 本バイラスは罹病莱〓の根,葉,花梗,莢,未熟種子に存在する。種子に於ては,乳熟程度迄はバイラスは活性であるが,完熟すると不活性になるものの如くである。
    5. 本バイラスは70℃で10分間加熱し,又は1: 15000に稀釋すれば不活性となる。又バーケフエルド濾過管(松風工業製)V・N・Wの何れをも通過するを認めた。
    6. 搾汁中に於ける本バイラスの感染力保存可能時間は23日,乾燥葉中に於ける感染力保存可能時間は39日であつた。
    7. モモノアカアブラムシ(Myzus persicae SULZ.),ニセダイコンアブラムシ(Rhopalosiphum pseudobrassicae DAVIS)の兩種共本バイラスを媒介する。殊にモモノアカアブラムシに依る傳染率は高い。
    8. 病汁接種に依り感受性なるを示した植物は次の通りである。(十字科)廿日大根.早生菜種,壬生菜,高菜,白菜,體菜,山東菜,小蕪,聖護院蕪,あらせいとう,(藜科)菠薐草(荳科)碗豆(茄科)蕃椒非感受性を示した植物は次の通りである。(十字科)洋種菜種,甘藍(荳科)蠶豆,(胡蘆科)胡瓜(藜科)食用ビート(菊科)〓蒿(茄科)トマト,煙草(Nicotiana tabacum, N, glutinosa)
    9. 本實驗に供した菜〓萎縮病バイラスは從來發表されて居る各種の十字科蔬菜のモザイク病バイラスの記載と比較するに,良く一致するものを見ず,未報告のものと考へられる。
  • 日野 巖, 平田 正一, 鳥井 敏文
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 131-138
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    The viruses of 49 species of agricultural crops and weeds were inoculated on the “Bright yellow” tobacco plant by rubbing the leaf with emery, and 15 species among them were proved to be able to infect it. The severest symptoms was observed on it when infected with the virus from tomato, potato, indian corn, radish, cucumber, Clerodendron trichotomum or Commelina bengalensis.
    In view of these results it may be considered that certain crops and weeds growing in or near tobacco field can carry the virus disease to the tobacco plant. The eradication of such wild host plants may be very important in controlling the virus disease of tobacco plant.
  • 日野 巖, 道家 剛三郎
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 139-145
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    The tobacco leaves infected with viruses increase in size of the midribs and decrease in thickness of the blades, varying according to the sorts of viruses and the condition of the diseases. The stomata of the diseased leaves increase in size and decrease in number, showing no difference in them according to the sorts of viruses. The X-bodies are invariably found in the epidermal cells and hairs, and the size of nuclei varies inversely as that of the X-bodies.
    The flowers are deformed morphologically and have X-bodies in the cell contents. The size of pollens varies with the sorts of viruses, and no difference in size of X-bodies is recognized. The X-bodies locomote in the germ-tubes in case of germination of the pollens.
  • 河合 一郎
    1943 年 12 巻 2-4 号 p. 146-166
    発行日: 1943年
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
    1) 本報文には昭和16年度に於ける庄内地方の稻熱病の發生と自然的環境との關係に就き記述せり。
    2) 同年度庄内地方にて發病大なりしは東, 西田川郡の大部分並に鶴岡市 (便宜上之を庄南地區と稱す) にして, 發病少かりしは飽海郡, 酒田市及び最上川に沿ふ東田川郡の一部 (便宜上庄北地區と稱す) なりき。
    3) 氣象との關係に於ては發病輕微なりし昭和15年度と發病大なりし16年度と氣温, 降水量, 日照時間に就き比較するに16年度は第1期 (5月1日-5月29日) は低温にして苗の生育不良なりき。第2期 (5月30日-6月29日) にては氣温は大差なかりしが日照時間少く, 降水量多く益々稻の生育を不良ならしめたり。第3期 (6月30日-7月14日) に及び氣温上昇し稻熱病の繁殖氣温に達し加ふるに多雨寡照なりしためこの期に葉稻熱病の發生蔓延漸次盛んとなれり。第4期 (7月15日-24日) は稀有の低温に際會せるため降雨大にして日照少かりしも稻熱病菌の繁殖抑制され居たりしが, 第5期 (7月25日-8月8日) に至り再び氣温の上昇により益々軟弱となりし稻葉は稻熱病の侵略する處となれり。然るに第6期 (8月9日-23日) に至り官民一致の藥劑撒布と天候の恢復とは本病の蔓延を阻止し無事出穗を見たりしが第7期 (8月24日-9月12日) 特に8月24日-31日の曇天降雨は穗頸稻熱病を激發せしめたり。之に反し昭和15年度は第1期の天候良好なりしにより健苗は得たり, 第2期には16年度と大差なかりしが第4乃至第6期の高温多照は稻の生育を良好ならしめ第7期の穗頸稻熱病期に降雨比較的大なりしに拘らず發病少くして止め得たり。
    4) 昭和16年度に於て發病少かりし山形地方と庄内地方との氣象を比較するに前者は後者に比し氣温稍低かりしも日照時間大にして比較的稻の生育良好なり。これ稻に耐病性を附與し, 稻熱病菌の寄生を抑制せし一因ならむ。又同一庄内地方に於ても昭和16年度に發病少かりし庄北地區は, 發病大なりし庄南地區に比して降水量には大差なかりしが, 氣温稍高く日照時間に於ては著しく大なりき。これ前述の如く本病の發生を一つは輕微にし, 一つは大ならしめし一因と信ず。
    5) 昭和16年度に於て發病大なりし庄南地區に於ては例年とは反對に平野部に發生大にして山間部に發病少かりき。これに關し夏期稻作期間の氣温, 降水量, 降水日數を比較するに平野部と大差なかりしが, 昭和16年冬期は稀有の暖冬寡雪なりしため山間地帶の融雪期早く, 從つて例年に比し早播早植を可能ならしめし事, 夏期の降雨頻繁なりしため溪谷の冷水を灌漑するの要なく苗代及び本田の水温著しく高く稻の生育良好なりし事, 及び降雨頻繁なりしため水源涸渇せず9月上旬迄落水期を遲延せしめ得たる事等も發病少かりし一因と信ず。
    6) 5月の日照時間大にして氣温高き時は土壤乾燥し, 土壤養分の分解大にして多肥状態となり揚水期の遲延と相俟つて稻熱病の發生を大ならしむ。昭和16年度に於てもこの範疇に入れり。然れども庄北地區は一般に揚水時期早く土壤の過乾燥を防ぎしが如し。
    7) 日本海々岸線に接する地帶にて晝夜間の氣壓の差により生ずる絶えざる氣流の移動は結露を少くし, 本病の發生を抑制せしが如く, 之に反し山間盆地等に於て日照時間少く通風不良の場合は結露時間長く, 稻熱病菌侵入に適し, 且つ寄主體の耐病性減退と相俟つて發生多かりき。
    8) 昭和16年度庄内地方に於ける稻熱病發生相を概觀するに發病大なりしは庄南地區の花崗岩の崩壊に由來する砂壤土にして, 發病輕微なりし庄北地區の安山岩系土壤又は最上川日光川, 月光川等の沖積層なる埴土又は埴壤土系に屬する土壤なりとす。然れどもも山間地帶の埴土系土壤にて魚肥豆粕等の有機質肥料を施用せし場合にありては分解遲延し却つて稻熱病の發生大にして, 砂壤土は分解早く發病少かりし例あり。
    9) 火山灰土壤及び泥炭土壤の地帶にありては發病大なりき。
    10) 春秋の候乾田となせる地帶に發病大にして濕田となせる地帶に發生輕微なりき。これ乾燥による土壤養分々解の良否によるものと考察さる。
  • 吉田 政治
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 167-180
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 井上 義孝
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 181-190
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 永井 政次
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 191-194
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 多田 勲
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 194-197
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 瀧元 清透
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 198-205
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 多田 勳
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 205-208
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    (1) 本報文は甘藷を侵害する白絹病(小粒白絹病)Corticium centrifugus (LÉV.) BRES.の發生状況と病菌の形態及び本菌に關する2~3の實驗結果を報告したものである。
    (2) 本病は目下鹿兒島縣下各地の苗床時期に發生を認めて居る。
    (3) 本菌は稀薄醤油寒天培養基で菌叢の擴大,菌核の形成數等最も良好である。其の最適温度は30℃内外である。本菌の發育には酸素が必要であり,又日光々線は菌核の形成數を暗所のものに比し増加させるものである。
    (4) 本病原菌は甘藷の葉柄,莖,塊根,細根等の何れにも良く侵入發病させるものである。
  • 瀧元 清透
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 209-212
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 岡本 弘
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 212-213
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 岩田 吉人
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 214-216
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
  • 岡本 弘
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 217-230
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    沖繩地方に生産する黒糖,白下糖に繁殖して變敗せしめる菌を調査した所Aspergillus spp. 4種(A-A, A-B, A-E, A-F), Monilia sp. 1種(M), Penicillium sp. 1種(P), Eutorulopsis sp. 1種(Et)の汁7種を分離した。その内A-B, A-E, A-F及Mは未吸濕黒糖にも繁殖,被害を及ぼすが,他の菌は吸濕泥状化した黒糖にのみ繁殖しうる。變敗菌として重視すべきはA-B, A-E, A-F及Mの4種でA-B, A-E及A-Fは糖の表面に小孔を穿つて害を及ぼし, Mは灰褐紫色の粉をふりまいた樣に表面に繁殖し,何れも蔗糖を轉化せしめて糖質を劣變する。
    50%黒糖寒天培養基上にては各菌何れも發育良好にして, A-A, P及Mは分生胞子のみを, A-B, A-E及A-Fは分生胞子及子嚢胞子を形成し, Etは汚白色圓形聚落を形成する。A-A, A-B, A-E, A-F, M及Pは蔗糖轉化能力強く,黒糖中に轉化糖を増加せしめ, Etは轉化能力なく,且,轉化糖を減少せしめる。50%黒糖塞天,馬鈴薯寒天,ツアペツク寒天,醤油寒天,ブイヨン寒天に各菌を培養する場合A-Aは何れにもよく發育し, A-Bは50%黒糖寒天にのみよく發育し, A-E及A-Fはブイヨン寒天以外にはよく發育し, Mは50%黒糖寒天には菌糸の形成不良なるも分生胞子の形成極めて多く,馬鈴薯寒天,ツアペツク寒天,醤油寒天にては菌糸,分生胞子の形成何れも良好ならず,ブイヨン寒天にては殊に發育不良なり。Pは何れにもよく發育し, Etはブイヨン寒天以外には發育良好である。
    各菌の發育適温はA-A, A-E, A-F, M及Pは25-33℃, A-B及Etは25-29℃である。
    砂糖溶液に培養の場合,濃厚溶液では發育良好ならず蔗糖飽和,轉化糖10,2%の黒糖溶液を原溶とした場合,これを40-60%前後に稀釋したものが發育に最も良好である。A-A, A-B, A-E, A-F, M及Pを蔗糖飽和,轉化糖3.0-13.6%の各種砂糖溶液に培養した場合は,轉化糖の少ないものには發育しうるも多いものには發育しえない。しかし,これらの糖液を同一プリツクス(60%)に稀釋した場合は,何れにも極めてよく繁殖しうる。蔗糖飽和の黒糖濃厚溶液の滲透壓はこれらの菌の發育限界に近い爲,溶液中に含める轉化糖の多少によつて生ずる僅かの滲透壓の差がその發育に影響を與へるものと思はれる。又,砂糖中の水分の少い程變敗菌は繁殖し難い。
    黒糖,白下糖の變敗についてもW/100-Pなる式の安全係數に類似した傾向を認めることが出來る。
    變敗豫防には製糖場,倉庫を清潔にし,砂糖樽詰後早く蓋をすること,又,貯藏は乾燥した所を選ぶことが必要である。又,水分が少くて,轉化糖の多い(糖度の低い)砂糖程貯藏性が高いからこの樣な糖を貯藏に振向けるべきである。
  • 吉井 啓
    1943 年 12 巻 2-4 号 p. 231-245
    発行日: 1943年
    公開日: 2010/08/10
    ジャーナル フリー
  • 飯塚 慶久
    1942 年 12 巻 2-4 号 p. 246-249
    発行日: 1942年
    公開日: 2009/09/30
    ジャーナル フリー
    ワラビの若い葉に寄生して捲縮病を起す本邦新報知菌Cryptomycina Pteridisに就いて略述した。
    本菌はSystemicな性質を有し,病斑は最初葉の裏面に於いて葉脈に境せられて黄緑色となり,表面はボート型に膨起する。後變色部に褐色斑點が現はれ,遂に黒痣を無數に散生する樣になる。
    子嚢はPseudotheciumに形成され,無柄にして8ケの胞子を藏し64×14μある。
    子嚢胞子は卵形,楕圓形,或は圓形に近く單胞,無色8~12×6.5μある。
    分生胞子は圓筒形或は紡錘形,無色,單胞で兩端に於いて細まり,眞直か1方に彎曲する。大さ7~16×2~5μ,小型分生胞子は6~8×1.5μ,で兩端は尖つて居る。子嚢胞子に依る接種は5月半より6月に亘り,分生胞子の場合は6月より11月の間に行はれる。越冬は子嚢型で行はれるがSystemicな場合が少くない。
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