1. 本論文に於ては,植物病原菌類(木材腐朽菌類を含む)に於ける,纖維素分解作用の有無竝に其の程度を比較せり。
2. 著者が實驗に用ひたる23種の植物病原菌類中,大多數のものは多少なりとも纖維組織を解體せしめたるを以つて,纖維素分解作用に關與するものと見做すを得べし。
3. 稻馬鹿苗病菌[
Gibberella Fujikuroi (SAW.) WR.]は明かに纖維素分解作用を有するものと認められたり。本菌の菌絲は纖維に接觸して先づこれを小纖維化せしめ,遂に溶解消費するものの如し。
Corticium centrifugum (LEV.) BRES.,
Fomes applanatus (PERS.) WALLR.,
Pestalozzia Diospyri SYD.,
Polystictus pergamenus FR.,
Polystictus sanguineus (L.) FR.等も亦,稻馬鹿苗病菌と同様,纖維素を利用し得る菌と認むることを得べし。
4. 稻褐色菌核病菌(
Sclerotium Oryzae-sativae SAWADA)は供試植物病原菌類中,纖維素分解力最も強きものと認められ,菌絲の發育せる部分の纖維は殆んど完全に分解せられたり。
Gloeosporium Olivarum ALM.,
Pestalozzia Theae SAWADA等も亦,纖維素分解力の強き菌として數へられたり。
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