日本植物病理学会報
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23 巻 , 3 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 赤井 重恭, 田中 寛康, 野口 喜久子
    1958 年 23 巻 3 号 p. 111-116
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 水稲胡麻葉枯病々斑周縁組織の澱粉蓄積状態を澱粉蓄積部面積及びその濃度について観察した。
    2. 接種後24時間では病斑の周縁に澱粉の消失部分が認められ,やがてその周縁に澱粉が蓄積し始める。澱粉蓄積量は病状の進展と共に増大し,蓄積面積は接種後5日目頃に略一定となる。しかし濃度は更に増大する。これらのことから寄主細胞には感染の極く初期から大きな生理異常が起つているものと考えられる。
    3. 早朝に減少した澱粉が日照量増加と共に急激に増大し,その後夕刻迄は略一定の状態を保つているが,濃度は夕刻に至つて急激に増加する。雨天では澱粉蓄積は減少,もしくは消失する。また24時間の暗処理でも消失する。以上のことから蓄積澱粉は同化澱粉であると思われる。
    4. -N及び+Mn区では澱粉蓄積量は増大し,又秋落水稲でも増大する。概して栄養状態異常の場合,澱粉蓄積が大きい。
    5. 澱粉蓄積の原因として,澱粉合成作用の促進,澱粉分解作用の減退,周辺健全部からの移行,透過性低下による流転阻害等が考えられ,蓄積機構の解明にはこれらについて追及する必要あるものと考える。
  • 高橋 実, 田中 寛, 大石 親男
    1958 年 23 巻 3 号 p. 117-120
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    筆者等は昭和30年4月大阪府改良課から委託を受けて玉葱露菌病の基礎的研究に着手した。当時は大阪は勿論和歌山,淡路などの各玉葱栽培地では露菌病により全滅の被害をうけていたが,伝染経路が不明であり,適切な薬剤がなかつたことは防除上の支障となつていた。
    本病の初感染はMurphy及びMckeyらによつて,植付に用いられる球茎内に潜在する菌糸によると報告されているが,本邦では一般に球茎を植付ける方法をとらないために,菌糸による初感染は考えられない。樋浦は葱露菌病では卵胞子が初感染源となる可能性が多分にあるとしたが,玉葱では卵胞子による初感染についてまだ証明されていない。卵胞子が初感染源として意義があるとするのは,病葉中に多量の卵胞子が形成され,病葉が土壌中にすきこまれた場合に,卵胞子が発芽して幼苗内に侵入する可能性があるからである。しかし初感染源は必ずしも卵胞子によるだけとは考えられない。罹病葱属植物(ワケギ,ネギなど)から飛散する分生胞子,或いは河川などに捨てられた罹病玉葱の新芽に形成された分生胞子が感染源となる可能性もある。本報告では卵胞子の生態を明らかにして,初感染源としての重要性を述べることとした。
  • 宮川 経邦
    1958 年 23 巻 3 号 p. 121-126
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    著者は温州果実に発生するPenicillium digitatum (柑橘縁黴病菌)の胞子が柑果皮煎汁その他2, 3の植物煎汁にては極めて高い発芽率を示すが蒸溜水,井水またはある種の塩,糖,有機酸等の溶液では全く発芽しないことを観察した。この事実は本病原菌が柑果皮に浸入するに際して重要な意義をもつものと考える。従つて著者は柑果皮内に含まれる本病原菌胞子の発芽促進因子について実験を行つた。
    本実験を行うに当り徳島果試安達場長よりは終始御援助と御指導を賜わり,九州大学農学部吉井教授よりは懇篤な御指導を賜わつたので謹謝の意を表する。
  • 植原 一雄
    1958 年 23 巻 3 号 p. 127-130
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Drops of conidia suspension of Piricularia oryzae were mounted on the detached leaf pieces of rice plant, at the points pricked by capillary glass tube, and kept at 25-28°C for 24 hrs. in the moist chamber.
    These drops were then collected and centrifuged for 20minutes by 3000rpm. The supernatant of these drops showed strong inhibiting action against the germination of conidia of this fungus. The active principle, phytoalexin of Müller, is considered to be produced by the host plant as a result of interaction between rice plant and the blast fungus P. oyyzae.
    In the experiment to see the quantitative difference of phytoalexin prodcution between resistant or susceptible varieties of rice plant to blast fungus, it was shown that phytoalexin was more vigorously produced in the resistant varieties (Kameji and Norin No. 22)than in the susceptible ones (Asahi and Omachi).
  • 高橋 実, 大石 親男
    1958 年 23 巻 3 号 p. 131-134
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    甘栗南瓜幼苗はPythium属菌の侵害に際して被害細胞及び周辺細胞に褐色物質を生成し,病菌の組織内の蔓延を最終的に阻止する。しかし細胞の褐変前または褐変のごく初期においてすでにその菌糸は生育を阻止されている。これらのことから寄主の抵抗性は細胞の褐変過程における中間生産物,或はこれらとは別個に生成されるいわゆる細胞原形質の抗菌物質によると推定された。しかも抗菌機能は病菌の侵入初期に著しいようである。罹病組織では呼吸増加,oxidase, peroxidase活性の増加がみられることから原形質の代謝が活性化され,高エネルギー燐酸化合物が生合成に向つていると言える。本報告では麻酔処理或は異常環境においた場合の寄主の感受性の変化および麻酔が組織呼吸に及ぼす影響について述べる。
  • 八木 広男, 平田 幸治
    1958 年 23 巻 3 号 p. 135-138
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    稲胡麻葉枯病菌の分生胞子の発芽を観察している間に,発芽しかけた胞子の内部に球状のものが一列に並ぶこと,その様な胞子では一般に隔膜とよばれているものが認められないことに気付いた。本菌の胞子のいわゆる隔膜が一体何んであるかということに興味を持つて観察を進める間に,胞子の構造について,更に2, 3のことに気付いたので,ここに報告する。
    本文に入るに先立つて,御指導を賜わつた新潟大学教育学部相馬悌介先生に衷心より謝意を表する
  • 平田 幸治
    1958 年 23 巻 3 号 p. 139-144
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    前報においてオオムギ葉片をCa塩類の溶液に挿すと,白渋病罹病性が著しく高まることを述べた。Ca塩類溶液に挿した葉片では,そのような処理をしない葉片に比べて,表皮細胞に多量のCaが含まれるか否か,また何故にCaが白渋病罹病性を高めるかを知ろうとして,実験を続ける間に,白渋病菌の吸器をとりまく寄主原形質にCaが特に多量に含まれることを認めた。このこと及びオオムギ表皮におけるCaの分布状況から,白渋病菌の吸器の発育とCaとの関係について,Heilbrunn等の研究を土台にして考察してみたのであるが,筆者に細胞に就いての知識も乏しく,誤りをおかしていることを恐れる。読者の批判を得て実験を進めねばならない。
  • 平田 正一
    1958 年 23 巻 3 号 p. 145-149
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    The writer already reported that large quantity of free auxin was contained in the gall tissue of the stem and leaf of Youngia japonica infected with Protomyces inouyei, though the determination of the hormonal substance was not yet done. This article deals with the results of experimental studies on the production of auxin and its identification regarding 3 species of Protomyces fungi.
    Four kinds of solvents such as ether, chloroform, ethyl-alcohol and water, were used for obtaining extract from the gall formed by the infection of Protomyces inouyei. With these extracts Went's Avena-test was carried out. The ether solvent was found to be better for the purpose of extraction than others, as shown in Table 1.
    When Protomyces was cultured in Czapek's solution or in the same one containing 1g of L-tryptophane in substitution for KNO3 as a N source, the filtrate from the latter medium alone was ascertained by the Avena-test to contain a considerable quantity of auxin.
    The material fungi were cultured in Czapek's medium containing tryptophane, at 26°C. for 30 days, and their filtrates were concentrated to one half. The filtrates were then extracted with trebled volume of ether, and the dry yellowish extract was obtained from P. pachydermus and the yellowish brown one from other two fungi. The yellowish brown extract showed typical IAA color reaction with Gordon and Weber's reagent, while the yellowish one never showed the reaction. For analysing the extract one-dimentional paperchromatography was applied under the condition as described in the foot-note of Table 4. The reddish pink spots at Rf 0.54 and 0.55 developed by isopropanol-ammonia-water solvent mixture and also the spots at 0.79 and 0.80 developed by ethanol solvent were all identified as IAA, by comparing with the Rf value shown by synthetic IAA as the control. The IAA spots appeared was found to be smaller in area than other spots.
    Figure 1 shows the data of analysis of these extracts by the paperchromatographic bioassay method. The results also clearly show the presence of IAA similarly to the experimental data mentioned above.
    It seems to the writer that Protomyces may produce tryptamine and indoleacetaldehyde as the intermediates in the metabolic process of tryptophane, because some similar spots to the very intermediates in respect of color reaction and Rf value were shown in the paperchromatogram.
    Protomyces fungi were proved to have lower activity in IAA metabolic production from tryptophane than certain various fungi belonging to Ustilago, Taphrina, Exobasidium, Fusarium etc. as far as the writer's experiments concerned.
  • 吉井 啓, 浅田 泰次, 木曽 皓, 秋田 孝雄
    1958 年 23 巻 3 号 p. 150-154
    発行日: 1958/10/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    稲胡麻葉枯病病斑上より分離したB. funicularis Kluyver et Van Nielの培養濾液は胡麻葉枯病菌分生胞子の発芽を著しく抑制する。この抗黴性物質をFunicularinと仮称したが,該物質の生産は,pH 6~7のブイヨン培地で25°~30℃下に4日間培養が最良である。Funicularinの抽出及び精製法は第1図に示したとおりであるが,Funicularinを加えたブイヨン培地で供試菌を継代培養すると,母菌株の抗黴性物質の生産力は一層増高される。なお本細菌培養濾液中に根部浸漬した稲苗は,無処理苗に比べて稲胡麻葉枯病菌に対する感受性が低下する事を認めた。
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