endo-PTEの作用にともなって,プロトペクチン質画分から溶離した多糖質の重合度を,粘度測定法およびゲル濾過法で測定した。本実験では,該多糖質の主成分である0.2, 0.3および0.4M画分を供試し,重合度が既知の標準物質をマーカーに用いた。
粘度測定法にしたがえば,供試3画分の平均重合度は一定でなく,0.2M画分で約33, 0.3M画分で約96,および0.4M画分で約125と測定された。これらの値から,各画分の分子量はおよそ6×10
3, 2×10
4および2.5×10
4程度と推計された。Sephadex G-100カラムを用いるゲル濾過法によれば,0.2および0.3M画分の糖質はいずれも,より高分子の成分と低分子の成分とに分れ,多分散な多糖質であることが判明した。すなわち,0.2M画分の糖質は重合度が約50あるいはそれ以上と考えられる成分のほかに,約15∼45程度の成分を含み,0.3M画分では約30∼40程度の成分が少量見出された。なお,0.4M画分の糖質は該カラムで遅滞しなかったので,その重合度は約50あるいはそれ以上と推定された。
各糖質における重合度の相違から,endo-PTEのat randomな作用性を推測し,これまでに得られた実験結果から,細胞壁成分の可溶性化は供試酵素のat randomな
trans-elimination作用にもとづくと総括した。
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