日本植物病理学会報
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88 巻, 4 号
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追悼文
原著
  • 木村 重光
    2022 年 88 巻 4 号 p. 240-249
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    トマト黄化葉巻ウイルス(tomato yellow leaf curl virus, TYLCV)によるトマト黄化葉巻病はトマト産地において深刻な被害を与えている.一般的に,TYLCVはタバココナジラミによってのみ媒介され,汁液伝染はしないとされている.しかし,TYLCVの機械的接種法が開発されれば,抵抗性トマト品種の選抜などに活用できる.本研究では,トマト退緑ウイルスを汁液の機械的接種により感染させることができた歯ブラシを用いた機械的接種法の適用を試み,TYLCV接種のための諸条件(汁液の希釈倍率,緩衝液濃度,pHなど)を検討した.TYLCVの接種35日後,トマトに特徴的な病徴が現れた.接種全株をPCRに供し感染の確認をおこなったところ,TYLCVの機械的接種による感染が確認できた.0.1%(v/v)2-メルカプトエタノール添加100 mMリン酸カリウム緩衝液(pH 7.0)を用い,最終希釈倍率1000倍に調製した磨砕汁液で機械的接種をおこなった時に最も感染株率が高く,その感染株率は73.3%であった.本法はTYLCVを感受性のトマト(品種:ハウス桃太郎)へ接種するために十分活用できるものであった.

短報
  • 上田 重文, 寺見 文宏
    2022 年 88 巻 4 号 p. 250-253
    発行日: 2022/11/25
    公開日: 2022/12/01
    ジャーナル フリー

    トマト退緑ウイルス(ToCV)はトマト黄化病を引き起こす世界的な重要病害の一つである.本病の黄化症状は,下位葉からの葉脈間の黄化にはじまり次第に上位葉へ症状が進行する.ToCVは,主にタバココナジラミやオンシツコナジラミで半永続的に媒介される.日本では,これまでトマト果実生産に対するToCV感染の影響がほとんど知られていなかった.そこで2020年に試験条件下でトマト品種「麗容」を用いてトマト果実に対するトマト黄化病の影響を調査した.ToCV接種区は病徴が明確に現れるまで,感染後少なくとも約2ヶ月の潜伏期間を要し,健全区と比較して24.6%~31.7%の平均果実重の減少・小玉化が起きていた.この結果,ToCVの感染・発病がトマト生産において果実重の低下を発生させていることが示唆された.

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