日本植物病理学会報
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78 巻 , 2 号
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原著
  • 下元 祥史, 澤田 博正, 岡田 昌久, 森田 泰彰, 水本 祐之, 木場 章範, 曵地 康史
    2012 年 78 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    ピーマン黒枯病抵抗性育種母本の開発を目的に,まず,日本国内の主要なピーマン・シシトウガラシ品種とその育種素材のピーマン黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,強度抵抗性を示すものは認められなかった.そこで,ミャンマーで収集されたCapsicum属植物38系統のピーマン黒枯病に対する抵抗性を評価したところ,5系統が強抵抗性を示したことから,これらの固定系統を作出するために葯培養を行った.作出された葯培養系統を用いて黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,いずれの葯培養系統も黒枯病に対して強度抵抗性であった.さらに,強抵抗性の4系統を選抜し,その自殖系統の黒枯病に対する抵抗性を評価した結果,葯培養系統と同様に強度な黒枯病抵抗性が認められた.したがって,これらの葯培養自殖系統は,黒枯病抵抗性形質が固定されており,黒枯病抵抗性育種母本として利用が可能であると判断された.
  • 三好 孝典, 清水 伸一, 澤田 宏之
    2012 年 78 巻 2 号 p. 92-103
    発行日: 2012年
    公開日: 2012/06/01
    ジャーナル フリー
    愛媛県では伊予市と松山市/砥部町においてキウイフルーツかいよう病が発生している.このうち,伊予市の発生園では,「黄色の明瞭なハローを伴う病斑」が葉に形成されていた.一方,松山市/砥部町における罹病葉には「ハローを伴わない病斑」のみが認められた.両タイプの発生園から分離した病原細菌の各種表現型と遺伝型を解析した結果,いずれの菌株もPseudomonas syringae pv. actinidiaeと同定することができた.しかし,生物検定と接種試験を行ったところ,ハローのない園地に由来する菌株はファゼオロトキシン(Ptx)産生能を有しておらず,葉にハローを誘導できないことが明らかとなった.一方,これらの菌株からは,Ptxの産生に関与するargK-toxクラスターの構成遺伝子群(amtA, ptx, ORF3およびargK)がPCR検出できた.なお,諸外国ではコロナチン産生遺伝子(cfl)やエフェクター遺伝子(hopA1)を保持しているキウイフルーツかいよう病菌が報告されているが,これらの遺伝子は今回の分離菌株からはPCR検出できなかった.以上のことは,ハローのない園地由来のPtx非産生株は,わが国に広く分布しているPtx産生株において,Ptx産生に関わるメカニズムになんらかの欠損が生じ,その産生能が失われた変異株であることを示している.現地調査と接種試験の結果,Ptx非産生株は産生株に比べて枝に対する病原力が弱いことが明らかとなった.したがって,Ptxは枝に対する病原力決定因子の1つとしても機能している可能性が考えられる.また,愛媛県内ではPtx産生株は伊予市に,非産生株は松山・砥部地区において,それぞれ排他的に分布していることも確認できた.
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