日本植物病理学会報
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38 巻 , 5 号
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  • 野津 幹雄, 山本 昌木
    1972 年 38 巻 5 号 p. 363-366_4
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    Exobasidium symploci-japonicaeによるクロキもち病葉の超薄切片を電子顕微鏡で観察した。クロキもち病葉組織において菌糸は細胞間隙や中層あるいは細胞壁の中に観察される。菌糸が感受体細胞壁を陥入している像を得たが吸器構造は観察できなかった。また感受体細胞内に病原体(菌糸)を観察することもできず,病原体が感受体細胞に侵入しなくても組織の肥大が起こることが判った。感受体中層部の菌糸にはロマゾーム様構造が観察できるが,その他の細胞内器管は本観察では見ることはできなかった。中層部の菌糸の径は1~2μ程度である。
    肥大細胞には大きな液胞があり,原形質分離は起きておらず,細胞質は薄い層となっていることから,トノプラストや細胞膜の表面積が増大していることが推定できる。細胞質には小胞体,ミトコンドリア,葉緑体,核などが観察できる。核は仁を2個もつことがあり,クロマチンが多い。葉緑体には好オスミウム顆粒は存在するがグラナラメラが認められるものは少なかった。またプロプラスチッドに近いもの,殿粉がないもの,葉緑体の大部分を殿粉が占めているものなどがあった。肥大組織には液胞内に高電子密度の物質を充満している細胞が点在するが,クロキもち病菌との関係は不明である。
  • 斎藤 泉, 田村 修, 高桑 亮
    1972 年 38 巻 5 号 p. 367-374
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 子のう胞子の放出は子座を形成している罹病リンゴ樹皮に直接,充分な水を与えた場合にのみ認められた。乾燥した樹皮を湿室に保っても放出は起きず,子のう殻開口部に子のう塊が形成された。
    2. 野外における空中飛散胞子および雨水等によって流動する胞子はともに3月中旬ですでに認められ,7月上旬に終息した。
    3. 温度は10∼25°Cで子のう胞子放出にほとんど影響を与えなかった。3°Cでは射出の開始がおくれ,飛散胞子量も少なかった反面,放出は持続的に行なわれた。
    4. 子のう胞子放出中に樹皮表面を水でぬらすと,その直後に飛散胞子量の一時的な増加がみられた。
    5. 子のう胞子を水平に放出させ,その飛散距離をみると最長飛散距離は約6mm,平均飛散距離は2.8mmであった。子座を形成している樹皮試料のスライドガラス面に対する高さを増しても飛散距離はさほど延長されなかった。
    6. 子のう胞子は一団となって放出される。その子のう胞子塊中の胞子数と飛散距離との間には密接な関係がみられ,胞子数が多いほど飛散距離は大であった。
    7. 1個の子座から放出される子のう胞子数は1時間当たり1,120∼8,662個であった。
  • 三沢 正生, 宮崎 栄一郎
    1972 年 38 巻 5 号 p. 375-380
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    本報告は稲白葉枯病罹病にともなう水稲葉の炭水化物,窒素化合物,リン酸化合物の変動について述べた。
    1) 炭水化物罹病初期で全糖の含有率増加が認められたが,罹病後期では全糖の含有率はむしろ健全葉より低下する。粗でんぷんはいずれの時期でも罹病葉で含有率が高い。また,全炭水化物およびヘミセルロース系炭水化物は罹病により若干低下する。
    2) 窒素化合物罹病葉では水溶性蛋白態窒素および非水溶性蛋白態窒素の低下が顕著で,逆にアンモニア態窒素の増加が認められた。罹病が進行するにしたがって,全窒素が減少した。水溶性蛋白質を分子量の大小に分画して定量すると,分子量10万以上の,特にFraction I蛋白質部分の減少が観察され,一方分子量3万以下の低分子蛋白質の割合が増加した。
    3) リン酸化合物罹病初期で酸溶性リン,無機リンの増加が認められた。全リン,不溶性リンは実験期間中では常に罹病葉で含有率が高い傾向にあった。
  • 西沢 良一
    1972 年 38 巻 5 号 p. 381-388_3
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    Agrobacterium tumefaciensによるがんしゅ形成の初期症状は一般に針で接種した裂孔部一帯から始まり,やがて皮層が隆起し,外部形態は次第に種々相を呈するに至る。1日の平均肥大度は約0.046mmである。
    しゅよう細胞からなるがんしゅには極性は認められていない。しかし,Bryophyllum daigremontianumに関しては,多くの極性現象が観察された。すなわち,茎の下部に生じたがんしゅの根の分化は,上部のがんしゅよりも著るしく,葉の分化はその逆である。なお,類似のがんしゅであってもあるものは正常葉の分化をし,あるものは奇型葉を生じた。これらの理由は,がんしゅ内の生長制御物質の量的勾配如何によるものと推定した。これらの極性が真の極性か否かを確めるために,接木および組織培養の方法により検討した。すなわち,(i)組織培養における割接ぎでは,台木の下部に転移がんを生じ,その下端より根を生じた。(ii)発根がんしゅを有するBryophyllumの茎を所定の長さに切断し,培地に逆位移植すると,生じていた根は萎凋し新しい根ががんしゅの上端より生じた。これはがんしゅの下端に根極が存在したからである。(iii)組織培養したがんしゅ片は,生長後上面より茎葉,下面より根毛状物を生じた。これは極性を生じたためと考えられる。上述の極性分化現象は,宿主植物の種類により著るしくことなる。
  • 明田 功, 赤井 重恭
    1972 年 38 巻 5 号 p. 389-396
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコモザイクウィルスの普通株(TMV OM)と壊病株(TMV Nl)との間の干渉についての実験から次の結果が得られた。
    インゲンマメ(平莢尺五寸)の葉上に形成されるTMV OMやTMV Nlによる局部病斑の数は紫外線照射TMV OM (UV TMV OM)やTMV OMの外被タンパク質あるいはUV TMV Nlを接種源に加えることにより減少した。
    TMV OMとUV TMV OMとの混合液の沈降パターンはTMV OMまたはUV TMV OMのそれと同一であった。高濃度のUV TMV OMをTMV OMに加えるとTMV OMによる局部病斑の数は大きく減少したが,その混合液を希釈するとTMV OMの病原性は回復した。同様の病原性回復はTMV NlとUV TMV OMとの干渉の場合にも見出された。
    タバコ(ブライトイエロー)の葉上ではTMV Nlは局部病斑を形成し,TMV OMは局部病斑を形成せず全身感染する。TMV Nlによる局部病斑の数はTMV OMの添加によって減少した。混合する前にTMV OMに紫外線を照射するとTMV Nlの局部病斑形成に対する干渉能は紫外線照射量に依存して一定程度まで低下したが,それ以上の線量では線量に関わりなく一定の干渉能を維持した。TMV OMにUV TMV OMを混合して接種した場合に接種葉中に形成されるTMV OMの量やTMV OMの感染性はTMV OMを単独で接種した場合よりも減少していた。
    タバコにおいてもTMV OMの外被タンパク質はTMV Nlの局部病斑形成に干渉したが,その干渉能は紫外線照射の影響を受けなかった。
    以上の結果をもとにして,UV TMVによるTMV病原性の阻害機構について若干の考察が加えられた。
  • 木下 忠孝, 蓮仏 由美子, Islam D. KHAN, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1972 年 38 巻 5 号 p. 397-404
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Alternaria kikuchianaおよびA. maliの宿主特異的毒素の研究中,それらの培養ろ液中に比較的多量の非特異的な毒性を示す物質の存在を知った。単離,精製の結果,それがテヌアゾン酸(Tenuazonic acid)であることを確認した。
    A. kikuchianaおよびA. maliにおいて,宿主特異的毒素の産生能とテヌアゾン酸産生能の関連性をみるため,前者では88菌株,後者では53菌株を用いて調査した。結果は,両病原菌とも,両物質の同時産生菌株がかなり認められた。テヌアゾン酸は,リンゴあるいはナシ葉に対して,125ppm前後まで黒色壊死斑を形成した。しかし,その毒性は宿主特異的ではなかった。
    引き続き,Alternaria属菌185菌株を用いて,さらに同属内におけるテヌアゾン酸産生の範囲を検討した。その結果は,上記2種のほかに,A. citri, A. japonica, A. longipes, A. oryzaeおよびA. tenuisにおいてもその産生が認められ,Alternaria属内でかなり普遍的に産生されているものと思われた。
  • 浅田 泰次, 松本 勲, 田代 哲二
    1972 年 38 巻 5 号 p. 405-409
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    べと病罹病ダイコン根での生成フェノール化合物をガスクロマトグラフ法でしらべた結果,キナ酸,プレフェニン酸,フェニールピルビン酸,トランス桂皮酸,p-クマール酸,コヒー酸が同定された。同重量の健全組織からは,これらのフェノール化合物は見出されない。供試病態材料には菌糸が含まれていないので,生成フェノール化合物は宿主起源である。遊離状態でフェルラ酸やシナピン酸は見出されなかった。以上の結果に基づき,罹病組織におけるリグニン前駆物質としてのフェノール化合物について論述した。
  • 高木 康至, 池上 正人
    1972 年 38 巻 5 号 p. 410-413
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    32Pで標識されたタバコモザイクウィルス(TMV), TMV 1mg当り6×104cpm,は時間の経過にともなって失活し,28日後にはおよそ全体の7/8が失活した。しかし,TMVと32P正りん酸を混合したもの,TMV 1mg当り6×104cpm,ではTMVの失活は認められなかった。また,この極端な失活にもかかわらず,ウィルス粒子の崩壊は電子顕微鏡観察では認められなかった。これらの結果から,32Pで標識されたTMVの失活はTMV粒子にとり込まれたアイソトープの原子変換(32P→32S)によるものであり,β線の影響によるものではないと考えられる。
  • 羽柴 輝良, 山口 富夫, 茂木 静夫
    1972 年 38 巻 5 号 p. 414-425
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネ紋枯病菌(Pellicularia sasakii (Shirai) S. Ito.)菌核の水中における沈下および浮上の機作について,菌核の形態,生理面から検討した。
    稲体上に形成した菌核は褐変,成熟後に落下し水中に沈下するが,菌核形成開始1ヵ月以内には浮上する。一方培養菌核(PDA培地)は水中でほとんど浮上することはない。
    含水量ならびに比重を測定した結果,培養菌核は含水量が低下しても浮上しない。また空気比較式比重計による浮上菌核の比重は水より重い。この結果から菌核の内部形態が浮沈に関与していることが推定された。
    浮上自然菌核の横断面組織形態は内層,外層の2層よりなり,内層は生細胞のmass,外層は空胞化細胞のmassである。空胞化細胞層の幅は200μ以上で菌核半径の約1/2を占めている。それにくらべてまだ浮上できない沈下自然菌核の外層の幅は狭く約150μ以下であり,外層の外側に菌糸層(菌糸状細胞の層)を残している。時間とともに空胞化細胞層(すなわち外層)の増加,外側の菌糸層の消滅がおこり浮上できる菌核に変る経過をたどる。培養菌核の組織形態は外層,内層の2層よりなるが,外層の幅が小さい上に多数の菌糸状細胞が混在し,空胞化細胞の形成がきわめて劣る。
    以上のことから,菌核の水中浮沈に関与する要因は内部組織の形態変化,とくに外層を形成する空胞化細胞の形成,菌糸状細胞の消長に関係すると推定された。
  • 大森 薫
    1972 年 38 巻 5 号 p. 426-427
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 谷 利一, 内藤 中人, 尾上 孝利
    1972 年 38 巻 5 号 p. 428-430
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 小島 誠, 村山 大記
    1972 年 38 巻 5 号 p. 431-433
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 神沢 克一, 宇井 格生
    1972 年 38 巻 5 号 p. 434-435
    発行日: 1972/12/01
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
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