日本植物病理学会報
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40 巻, 4 号
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  • 安田 康, 片岡 正明
    1974 年 40 巻 4 号 p. 277-281
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    14CO2で処理したタバコモザイクウイルス(TMV)感染グルチノーザ葉から,14C-標識TMVを寒天ゲル濾過法で分離した。光合成によって同化された14CO2は有効に同葉内のTMVにとりこまれた。この方法を用いて,シトリニンのグルチノーザ葉内のTMV増殖に対する作用を検討した。接種直後から48時間,25ppmのシトリニンを処理したグルチノーザ葉上に形成された局部病斑数は無処理の1.4%で,同葉内で増殖した14C-標識TMVの放射能は無処理の20%に減少した。シトリニンは接種後24時間してから処理しても局部病斑形成を阻止したが,ウイルスの増殖に対しては主として感染初期に作用することが暗示された。
  • 谷口 武
    1974 年 40 巻 4 号 p. 282-287
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. インゲン品種改良大手亡にTMVの感染を阻害する物質が含まれているか否か,もしあるならばその性質はどのようなものなのかについてしらべた。
    2. インゲン葉を磨砕,遠心して得た汁液(S0)に硫安を加えて0.5飽和とし,生じた沈殿を遠心にて集め,中性燐酸緩衝液に溶かして分画S1を得た。さらに同様の硫安処理をおこなってS2を得た。つぎにS2を100Cで1分間または6分間加熱して得た分画をSh1およびSh6とした。
    3. 分画S0, S1, S2および加熱して得た分画Sh1, Sh6のいずれもTMVの感染を阻害した。すなわち,阻害物質は0.5飽和硫安で沈殿し,熱に対して安定であった。S2を透析するとその阻害効果は低下した。
    4. 分画S2とTMVを混合し,Sepharose 2Bゲルカラムに通すと,阻害物質はゲル中に拡散し,大型の分子であるTMVと容易に分離した。
    5. 分画Sh6をSephadex G200, G100およびG50ゲルカラムで展開した結果から,この分画Sh6には,分子量の異なった何種類かの物質が含まれているものと推定された。
    6. 分画Sh6のTMV感染に対する効果は,検定植物としてN. glutinosa,アカザ(C. album),タバコ(Bright Yellow)用いたときよりもインゲンの方が大であった。
  • 森田 健二, 荒井 啓, 土居 養二, 与良 清
    1974 年 40 巻 4 号 p. 288-294
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1. 東京都,千葉県,埼玉県,茨城県のナス畑でえそ斑点症状を示す株が少なからず見出されたので,病原ウイルスの同定を試みた。
    2. 本ウイルスの寄主範囲はかなり広く,汁液接種した15科38種の植物のうち,10科24種の植物で感染が認められた。
    3. 本ウイルスはモモアカアブラムシにより伝搬された。
    4. 本ウイルスの粗汁液中の不活化限度は,耐熱性(10分):60∼70C,耐稀釈性:104∼105倍,耐保存性(室温):4∼6日であった。
    5. DN法による電顕観察でナス病葉から径約25nmの球形粒子が検出された。また,汁液接種により感染発病した植物からも同じウイルス粒子が見出された。
    6. 本ウイルスは0.2Mリン酸緩衝液(pH 7.6)で磨砕後,分画遠心,庶糖密度勾配遠心により精製され,試料を電顕観察すると上記の球形粒子が多数認められた。また,この試料はChenopodium amaranticolorに対する接種試験で,高い感染性を有することが確かめられた。
    7. 罹病葉切片の電顕観察で,ウイルスは表皮細胞,葉肉細胞,篩部柔細胞の細胞質ならびに液胞中に集団あるいは結晶塊として見出された。時には原形質連絡(plasmodesmata)の小管内にジュズ状配列している像も観察された。また感染組織では,細胞えそを伴うことが多く,しばしば細胞質にvesicular bodyの増生が顕著であった。
    8. 以上の結果から本ウイルスをbroad bean wilt virusと同定し,本病を「ナスえそ斑点病」(英名:eggplant necrotic leaf spot)と命名した。
  • 稲葉 忠興, 梶原 敏宏
    1974 年 40 巻 4 号 p. 295-298
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリべと病罹病葉が暗黒下で14CO2を固定するかどうかを明らかにし,自然光線下における光合成による14CO2の固定と比較した。
    1. 罹病葉は暗黒下でも14CO2を固定する。病斑部で固定された14C量(cpm/10mg dry weight)は,14CO2処理直後では813および601であったが,14CO2処理1日後ではそれぞれ344, 293に減少した。また,病斑部で固定された14C量は健全部の2.7倍∼3.7倍であった。
    2. 暗黒下で病斑部に固定された14C量は,光合成で固定された14C量と比較すると著しく少なく,光合成で固定された14C量のわずか0.4%であった。
    3. 暗黒下で固定された14Cは,病斑上に形成される分生胞子にもとりこまれたが,その量は著しく少なく,光合成で固定され分生胞子にとりこまれた14C量の0.34%であった。
    4. これらの結果から,光合成によって罹病葉に固定された14C-光合成産物の挙動を検討する際に,罹病葉の暗黒下における14CO2固定は,その量が光合成による14CO2の固定量にくらべはるかに少ないので,考慮する必要はないと判断される。
  • 近藤 章
    1974 年 40 巻 4 号 p. 299-303
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    若いタバコの茎の基部から2番目の葉の主脈にTMVを接種,接種後一定時間に,植物の各部分の切片をMurashige and Skoog氏変法培地で,14日間照明下25Cで培養した。切片は発育しカルスとなった。これらの摩砕液をウイルス検定に用いた。結果はつぎの通りである。
    1) virusの移行は,6時間で接種葉(第2葉)から直下部の茎に,10時間で直上部の茎に認められた。15時間後に,第7葉および頂葉に,24時間後に第5および6葉とに,60時間後に第4葉に移行した。120時間後にはvirusは植物のすべての部分で認められた。
    2) 第6葉に接種し,6時間後に下部の茎を切断し,上部を30時間水耕したとき,virus移行は第11あるいは第16葉でのみ認められ,接種葉の下で切断した下部の茎にはvirusの移行が認められなかった。
    これらの結果は,遠隔部へのTMVの移行は維管束を通過し,その分布方式は感染の初期には,接種葉の葉位と植物の葉序との関係によってきまると考えられる。
  • 谷口 武, 中島 俊夫, 山口 直明, 長縄 行雄
    1974 年 40 巻 4 号 p. 304-308
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アカザ(Chenopodium album L.)中に含まれるウイルス感染阻害物質は今迄の報告から何種かの物質が存在する可能性があり,阻害物質の性質についてさらに検討を加えた。アカザ生葉または凍結葉に中性燐酸緩衝液(PB)を加えて磨砕し遠心して得た上清(So)に硫安を加えて50%飽和とし,生じた沈殿を中性PBにとかし,遠心して不溶物を除く。この硫安処理をさらに4回繰り返えして得たフラクションSaの性質をしらべた。SaのTMV感染阻害効果はSoよりもいく分低下した。Saに0.1N HClを加えてpH 4.5とし,生じた沈殿を遠心で集めた。この沈殿を中性PBに溶かし遠心で不溶物を除いて得たフラクションSiのウイルス感染阻害効果はさらに低下した。SiをECTEOLAセルロースカラムに加えると,物質の一部はカラムに吸着せず流出し(P1),一部は吸着後1MNaClで溶出した(P2)。P1, P2共に感染を阻害した。SoをSephadex G50またはG100ゲルカラムに流すと,いずれの場合も2つのピークが得られ,阻害効果はピークの部分のみならず,両ピークの中間部のフラクションでも認められた。Soの感染阻害力はクロロホルム処理によって失われず,また,プロナーゼ,RNaseに対しても安定であった。Soからポリサッカライドの分離を試みたが,阻害を示すフラクションを得ることができなかった。この抽出過程にはフェノール処理があり,この段階で活性の低下がおこった。
  • 谷井 昭夫, 馬場 徹代, 春木 保
    1974 年 40 巻 4 号 p. 309-318
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1) 黒蝕米は米粒の一部に黒褐∼黒紫色の斑点を形成し,その被害は直接的な減収ではなく,検査等級の下落および政府買上げ対象の除外にあり,近年,北海道でその発生が多くなり問題となっている。
    2) 本被害粒の静置法による分離試験の結果,細菌(黄色集落)の分離頻度が高く,糸状菌ではEpicoccum属菌がやや多く分離される以外は他の糸状菌の分離頻度は極めて低く,さらに健全米でも相対的に分離頻度が低いが,黒蝕米における菌種構成と変わりがなかった。希釈平板法では被害玄米は健全米に比較すると,前者に出現細菌数が多かった。
    3) 北海道各地より採集した黒蝕米より得た65菌株の細菌は4群に大別され,そのうちI群の分離頻度が高く,I群の46菌株はさらにA, B, Cの3系統に類別された。また,新鮮な被害玄米からはI群のB, C系統のみが分離された。
    4) I群の3系統は,それぞれ飯塚らの旧分類によるA: Aerobacter cloacae, B: Pseudomonas perluria, C: P. trifoliiにほとんど一致しており,それらについて考察を加えA: Enterobacter (Aerobact.) cloacae, B, C: Erwinia herbicolaと同定し,II群はFluorescentグループ:Pseudomonas schulkilliensisとその近縁細菌,Achromogenicグループ,螢光色素非産生Pseudomonas属菌,Chromogenicグループ:P. cerealis, P. melanogenumおよびP. lacunogenesと同定され,III群はBrevibacterium (Corynebacterium)属菌,IV群はその所属が不明であった。
    5) 新鮮な被害玄米より得たE. herbicola (B, C系統)は無傷では玄米に病変を示めさず,有傷接種では黒蝕症状を発現したが,有傷無接種でも黒蝕米が生成され,両者の黒変部よりE. herbicolaが再分離された。
    6) 以上から,本症状の発見には玄米の傷が重要で,その発生原因が細菌でなく,カメムシ類の稲籾吸汁であることを示し,E. herbicolaと本病の病原細菌とされていたX. itoanaとを比較論議し,X. itoanaE. herbicolaの異名であることを明らかにした。
  • 内藤 秀樹, 越水 幸男
    1974 年 40 巻 4 号 p. 319-328
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    1. イネ褐色葉枯病菌の分生胞子は菌糸上の小突起,単細胞のフラスコ型分生子梗,分枝した多細胞の分生子梗上等に形成され,phialosporeと考えられること,および培養性状から,本菌の不完全時代はFusariumに属す。
    2. 分生胞子および菌糸は単核性である。
    3. V-8ジュース寒天培地上で,菌糸の先端,中間,あるいは菌糸側面からの小柄上に単一に,また連鎖状に厚膜胞子様球状体が多数形成される。
    4. 子のう殻は気孔下に存在し,その乳頭状開口部は気孔部に開口し,子のう殻は気孔下腔内で形成されるようである。
    5. 若い子のう殻内部はparaphysoidsで占められている。
    6. 成熟子のうでは先端部分の子のう壁がやや肥厚し,内壁とみられるものと外壁が遊離しているもの,内部にいぼ状突出部がみられるものがあり,外壁が破れたものでも,内壁ようのものが存在していることなどから,この子のうは二重壁子のうではないかと思われる。
    7. 菌糸伸長最適温度は24~27C,伸長限界最高温度は34Cである。比較に供試したFusarium nivaleの伸長最適温度は19~23Cであり,また各温度範囲の菌糸伸長量の全菌糸伸長量に占める割合は,両菌とも20~25Cで最も高いが,25~30Cでは褐色葉枯病菌,10~20Cでは供試Fusarium nivaleが優勢な伸長量を示した。
    8. 本菌の分生胞子の形態はFusarium nivaleによくにているが,前述の厚膜胞子様構造の形成,子のうの構造,菌糸伸長温度の差異からみて本菌をFusarium nivaleと同定するには疑問があり,所属の決定は今後の検討にまたねばならない。
  • 北川 良親, 四方 英四郎
    1974 年 40 巻 4 号 p. 329-336
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
    イネくろすじ萎縮ウイルス(RBSV)の植物および虫体内増殖に関する基礎的知見を人工注射法を用いて調べた。
    RBSVを媒介虫に継代接種した結果,6代目(通算稀釈倍数1017)に至っても高い感染性があった。すなわちRBSVが保毒ヒメトビウンカ体内で増殖していることを確認した。保毒虫の唾腺,消食管,脂肪体,雌生殖器,体液からウイルスが検出されたが,脳,マルピギー氏管,雄生殖器からは検出されなかった。ウイルスは消食管,体液,唾腺の順に移行増殖して植物に伝搬される。この保毒虫からウイルスを純化すると大小2種類の球形粒子がみられた。そのうち60nmの粒子はRBSVであったが,70nmの大型球形粒子は無毒虫からも検出され,ヒメトビウンカが潜在的に保有している昆虫ウイルスと考えられる。
    罹病植物では茎葉のみならず根においてもウイルスは十分増殖するが,茎葉では主に葉脈部にウイルスが局在していた。罹病植物汁液の感染性は接種後急速に上昇し,22~30日目には最高に達し,ついで36~40日目まで幾分下降したが,それ以降はほとんど変化せず110日目でも比較的高い感染性が認められた。これに対し,純化して調べたウイルス量は感染性の最も高い時期には非常に少なく,接種後2~3ヵ月目で最高に達し,感染性の上昇と平行関係は認められなかった。なお,各地のRBSV分離株の違いにより植物でのウイルス増殖量に差は認められなかったが,植物の種類によりウイルス収量は異なり,イネ,トウモロコシよりムギ類の方がウイルス収量は高かった。
  • 安 商元, 鄭 厚燮
    1974 年 40 巻 4 号 p. 337-343
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    イネいもち病菌の分生胞子形成におよぼす近紫外線照射の影響を知るため,ジャガイモ蔗糖寒天培地全面に胞子,菌糸懸濁液を接種し,27C±1において形成される胞子量を日を追って測定した。一般に近紫外線(366nm)の連続的照射は供試した4菌株を通じて胞子形成量の最高になるまでの日数を短縮したが形成される胞子の量は菌株によってちがった。はじめの3日間の連続照射は胞子成形量を最高にし,胞子柄の形成を促進した。連続暗黒下または初めの3日間の暗黒下では胞子形成量は劣った。水溶性,熱不安定,325nmに最大吸収をもつ物質が4日間照明した培養の菌叢から抽出されたが暗黒下で培養したものからはえられなかった。この抽出物をジャガイモ蔗糖寒天培地に添加すると近紫外線照射下では顕著に胞子形成を促進したが,高圧加熱した抽出物はその作用を失う。この抽出物を加えて暗黒下においた場合は胞子形成は抑制された。抽出物を高圧加熱しても同様であった。
  • Arabis mosaic virusについて
    岩木 満朗, 小室 康雄
    1974 年 40 巻 4 号 p. 344-353
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    新津市で採集した黄色条斑症状を示す大杯スイセンから汁液接種により伝搬される1ウイルスが分離された。このウイルスについて諸性質を調べ,その種類の同定を行なった。
    (1) このウイルスをペチュニアに汁液接種し増殖させた病葉を試料として本ウイルスを純化し,電顕観察したところ,径約25nmの球形ウイルスが認められた。
    (2) この精製ウイルス標品を家兎に注射して抗血清を作製した。この抗血清は沈降反応混合法で1024倍の力価を示した。また,この抗血清と4種NEPO群ウイルス(arabis mosaic virus, tobacco ringspot virus, tomato black ring virus, tomato ringspot virus)の抗血清を用いて,本ウイルスとの間で寒天ゲル拡散法により血清試験したところ,本ウイルスはarabis mosaic virusとのみ特異的な反応帯を生じた。
    (3) 本ウイルスを14科46種の植物に汁液接種して寄主範囲を調べたところ,13科37種に感染が認められた。C. amaranticolor,インゲン,ペチュニアなどには特徴ある病徴を生じ,これら植物は本ウイルスの判別植物として有益であった。
    (4) 本ウイルスはモモアカアブラムシによる伝搬は認められなかったが,線虫(Xiphinema bakeri)によって媒介された。またダイズにおける種子伝染も認められた。
    (5) 本ウイルスの耐熱性は60∼65C,耐保存性は21∼28日(22C)であった。
    (6) 以上の諸結果から本ウイルスはarabis mosaic virusと同定された。和名はアラビス・モザイク・ウイルスとしたい。本ウイルスを接種したスイセンの実生からは,ウイルスの回収には成功したが,それになんら病徴を生じなかったので,原株の黄色条斑の病徴と本ウイルスとの関係は今のところ明らかでない。
  • 高日 幸義, 中西 逸朗, 富田 和男, 上村 昭二
    1974 年 40 巻 4 号 p. 354-361
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Isoxazole ringの4または5位に置換された化合物を供試して,キュウリ苗のつる割病(F. oxysporum f. cucumerinum),苗立枯病(C. rolfsii, P. aphanidermatum)に対する効果,およびジャガイモ煎汁寒天培地上,土壌中での抗菌活性を比較検討した。
    温室試験-Isoxazole ringの5位にalkyl基または水素を導入した化合物は,aryl基を導入した化合物より有効で,その効力順位はmethyl>ethyl>propyl>butyl>hydrogenとなったが,さらに4位にnitro基,methyl基,Cl, Brなどを導入すると効果が劣った。
    室内試験-Isoxazole ringの5位にalkyl基を導入した化合物のジャガイモ煎汁寒天培地上でのR. solani, C. rolfsii, P. debaryanumに対する抗菌活性は,alkyl基の炭素数に比例して活性が高くなる傾向にあったが,F. oxysporumに対してはそのような傾向は認められなかった。一方,土壌中でのC. rolfsiiに対する抗菌活性はalkyl基の炭素数に比例せず,ハイメキサゾール(3-hydroxy-5-methylisoxazole)がもっとも有効であった。これに対して,isoxazole ringの5位をphenyl基で置換した場合はジャガイモ煎汁寒天培地上での抗菌活性は非常に高いが,それを土壌に施用するとその抗菌活性が著しく低下する。
    このようにして,ハイメキサゾールを供試化合物中でもっとも有効な化合物として選び出し,温室内で実用効果を検討した。
  • 高日 幸義, 中西 逸朗, 上村 昭二
    1974 年 40 巻 4 号 p. 362-367
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ハイメキサゾール(3-hydroxy-5-methylisoxazole)の土壌殺菌剤としての効果を,土壌透過性,土壌への吸着性および土壌中での持続効果の点から検討した。これらの土壌中における性質は,in vitroではC. rolfsii,F. oxysporum, P. debaryanumの菌糸生育抑制効果,in vivoではキュウリ苗のFusarium wilt (F. oxysporum f. cucumerinum)および苗立枯病(P. debaryanum, C. rolfsii)にたいする防除効果と関連して検討した。実用濃度で処理されたハイメキサゾールは土壌表層に容易に吸着され,土壌中深くまで浸透していかないが2∼3週間の残効が認められた。土壌を消石灰で処理することにより,ハイメキサゾールの土壌への吸着は明らかに減少するので,消石灰処理した土壌でのハイメキサゾールの土壌透過性はよくなることが期待される。さらに消石灰処理した土壌でのハイメキサゾールの効果は,消石灰を処理しない土壌における効果より明らかにすぐれていた。
  • 稲垣 公治, 牧野 精
    1974 年 40 巻 4 号 p. 368-371
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/04/03
    ジャーナル フリー
  • 斎藤 泉
    1974 年 40 巻 4 号 p. 372-374
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 奥野 智旦, 石田 雄一, 中山 俊一, 沢井 功, 藤田 隆, 沢村 健
    1974 年 40 巻 4 号 p. 375-376
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 徳永 芳雄, 柿島 真
    1974 年 40 巻 4 号 p. 377-379
    発行日: 1974/09/30
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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