群馬県下のコンニャクから分離した2株のpotyvirusのうち1株はサトイモモザイクウイルス(DasMV)と同定されたが,他の1株は宿主範囲と病徴および血清学的性質において,従来報告されていたサトイモモザイクウイルスと異なっており,コンニャクモザイクウイルス(KMV)と命名した。また,これによる病害をコンニャクモザイク病と称したい。
KMVはコンニャクに退緑モザイクを生じ,ヒトデカズラにはモザイク症状を生じるがサトイモに感染しなかった。これに対し,DasMVはヒトデカズラに白斑モザイクおよび糸葉などの奇形を生じ,コンニャクにも脈間白化症状を示した。
KMVおよびDasMVの抗血清を作製して寒天ゲル内拡散法,ELISA法および免疫電顕法により両ウイルスの血清学的関係を検討したところ,両者に類縁関係は認められなかった。
KMVは長さ約800nmのひも状であり,希釈限界は10
-2∼10
-3,不活化温度は55∼60°C (10分),保存限界は2∼4日(室温)であった。またワタアブラムシによる伝搬と種球および生子を通じた伝染が認められた。
ELISA法により野外におけるKMV, DasMVの発生状況を調べたところ,コンニャクのいずれの品種からも高い頻度でKMV, DasMVが検出され,そのほとんどが両者の重複感染であった。またカラスビシャクからはKMVのみが,サトイモからはDasMVのみが検出された。サトイモ科のその他の植物には両ウイルスが単独または重複して検出された。
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