日本植物病理学会報
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73 巻, 1 号
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追悼文
学術報告
原著
  • 澤岻 哲也, 豊里 哲也, 河野 伸二, 田場 聡, 田場 奏美, 大城 篤, 沼澤 雅哉, 渡慶次 美歌
    2007 年 73 巻 1 号 p. 3-8
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/14
    ジャーナル フリー
    カンキツグリーニング病 (HLB) の罹病葉内に異常蓄積するデンプン検出による迅速簡易診断法の開発を行った. あらかじめPCR検定によってHLB感染の有無を判定したシィークワーシャー, オートーおよびポンカンの3種において, ヨウ素比色法による葉内デンプン含量を比較した結果, 3種とも健全葉と比較してHLB感染葉で高い濃度のデンプンが検出され, 平均値は健全葉が85.6mg/kgであったのに対し, 感染葉では514.2mg/kgと約6倍の著しいデンプンの蓄積が認められた. この結果をもとに, 葉内デンプンを抽出するために, サンドペーパーを用いたスクラッチ法を考案した. まず, 葉表をサンドペーパーで20回程度擦り, そのサンドペーパーを水1mlの入ったビニールパックに入れる. その後, 50mMのヨウ素溶液を25μl添加し染色させる. 水溶液が濃いこげ茶または黒であれば陽性, 黄色または橙色であれば陰性となる. 現地から採取した試料におけるスクラッチ法とPCR法とのHLB罹病判定比較を行った結果, 樹および葉あたりともに90%以上の高い一致率が認められた. また要素欠乏症状を呈した葉およびCTLV, HSVd感染葉では, スクラッチ法によるHLB陽性反応は認められなかった. 以上の結果, スクラッチ法は圃場におけるカンキツグリーニング病の迅速簡易診断法として有用と考えられた.
  • 三好 孝典, 小野 泰典, 清水 伸一
    2007 年 73 巻 1 号 p. 9-14
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/14
    ジャーナル フリー
    2000年7月に愛媛県肱川町のユズに, 枝幹部にすり鉢状のくぼみを生じて木質部まで褐変して腐り込み, 傷害部の表面に黄色で盃状の子のう盤が発生する症状が認められた. その病斑部に発生した子のう盤から単胞子分離された菌株にはユズに対する病原性も認められた. 形態観察, 培養性状およびrDNAのITS領域を解析した結果, 本病原菌をLachnum abnorme (Mont) Haines & Dumontと同定し, 本症状を幹腐病と判断した. さらに, 本病原菌を含むL. abnorme を7菌株とLachnum 属のほかの8種とのITS領域の塩基配列の差に基づいてプライマーLAF (5'-CCTACCCTTGTGTATTATAACAAT-3') とLAR (5'-ATCCGAGGTCAACCTAAG-3') を設計した. このプライマーの有効性を確認した結果, L. abnorme 7菌株のみで449塩基の産物が増幅された. また, 徳島県, 高知県および愛媛県の発病枝褐変部分から, 磁性シリカビーズを用いてDNAを抽出してPCRを行ったところ, 褐変部のみから449塩基の産物が増幅された. 本PCR法は培養菌および発病枝からの迅速同定に有用と考えられた.
  • 影山 智津子, 加藤 公彦, 稲垣 栄洋, 伊代住 浩幸, 古瀬 勝美, 馬場 康司
    2007 年 73 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2007年
    公開日: 2007/09/14
    ジャーナル フリー
    生物的エリシター1種と非生物的エリシター2種を用いて, イネ培養細胞からのエリシター応答発光の特性を調査した. これらの発光強度や時間的推移はエリシターの種類や濃度により異なったが, エリシター毎に特徴的な発光パターンを示した. 抵抗性誘導物質であるASMの前処理によるエリシター応答発光の増強程度は, エリシター処理濃度が低濃度ほど高かった. 各種抵抗性誘導物質の前処理によるエリシター応答発光の増強程度は抵抗性誘導物質の種類により異なったが, プライミング効果は塩化銅 (II) の一部を除いた全ての抵抗性誘導物質とエリシターの組み合わせで見られたことから, 本現象はエリシターにある程度共通した現象であると考えられた. 本現象の利用による抵抗性誘導剤の新規なスクリーニング方法が期待される.
短報
平成18年度地域部会講演要旨
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