日本植物病理学会報
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56 巻, 5 号
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  • 大島 一里, Jumanto HARJOSUDARMO, 石川 陽, 四方 英四郎
    1990 年 56 巻 5 号 p. 569-576
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    255種のモノクローナル抗体(MoAb)産生ハイブリドーマを3種のluteovirus, 2種のplant reovirusおよび1種のpotyvirusに対して作製した。Luteovirusとしてはジャガイモ葉巻ウイルス,テンサイ西部萎黄ウイルスおよびタバコえそ萎縮ウイルス,plant reovirusとしてはイネ萎縮ウイルスおよびイネラギットスタントウイルス,potyvirusとしてはジャガイモYウイルス-普通系統を用い,ハイブリドーマは以下の4種類の異なる方法によるELISAでスクリーニングした。方法1.生理リン酸緩衝液(PBS), pH 7.4中で純化ウイルスを直接マイクロプレートウエルに吸着させた抗原吸着間接ELISA (AAI-ELISA),方法2.炭酸-重炭酸緩衝液,pH 9.6中で純化ウイルスを直接マイクロプレートウエルに吸着させたAAI-ELISA,方法3.ポリクローナル抗体(PoAb)をtrapping抗体,抗原としては純化ウイルスをTween-20を含むPBS (PBS-T), pH 7.4中で反応させた間接二重抗体サンドイッチELISA (IDAS-ELISA),方法4. PoAbをtrapping抗体,抗原としてはPBS-Tで搾汁したウイルス罹病葉粗汁液を反応させたIDAS-ELISAを用いた。上記4種類のELISAにおける反応に基づき,MoAb産生ハイブリドーマを10グループに分けた。腹水より得られたMoAbを精製し,スクリーニングに用いた4種類のELISAを行うと,DAS-ELISAで利用可能なMoAbは,方法1-4の4種類すべてのELISAに反応するグループ1,あるいは方法1, 3および4のELISAに反応するグループ2に属した。以上の結果は,スクリーニングにおいてグループ1あるいは2に属するハイブリドーマを選抜すればDAS-ELISAに利用可能なMoAbが得やすいことを示唆している。
  • 陶山 一雄, Budi TJAHJONO, 藤井 溥
    1990 年 56 巻 5 号 p. 577-583
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    1986年,輸送ジャガイモ塊茎の一部に腐敗部が粘質で,多量の気泡を生じ,酪酸臭の強い腐敗塊茎の発生を認めた。本症状は,収穫後,圃場に短期間堆積された塊茎および種子として長期間貯蔵された塊茎にも発生が確認され,ジャガイモの貯蔵病害として重要と考えられた。本症状の病原は,ペクチン分解能を有するClostridium属菌で,わが国未記載の病害である。病原細菌は,主要なジャガイモ栽培地で生産された塊茎の多くに付着しており,汚染塊茎がわが国に広く分布していることが判明した。また,病原細菌の塊茎汚染は,塊茎肥大の初期に起こっていることがわかった。本症状の病徴は,軟腐病に類似するが,腐敗部が粘性を示し,多量のガス産生による気泡の発生などの点で異なることから,軟腐敗と区別するため,病名を「粘性腐敗病,slimy rot」と呼称することを提案した。
  • 山本 英樹, 小林 喜六, 生越 明
    1990 年 56 巻 5 号 p. 584-590
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌(Phialophora gregata)それぞれ10菌株のほか,アズキ由来のAcremonium sp.,コムギ条斑病菌(Cephalosporium gramineum)を供試して15種類の菌体内酵素の電気泳動パターンを比較した。その結果,これら3種の間では15の酵素すべてにおいて泳動パターンが著しく異なっており,相似度は0.05であった。また,アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌については,11の酵素において同一の泳動パターンを示したが,他の4酵素(乳酸脱水素酵素,パーオキシダーゼ,α-エステラーゼ,酸性ホスファターゼ)は両菌間で泳動パターンに差異が認められた。アズキ落葉病菌どうし,ダイズ落葉病菌どうしの相似度はそれぞれ0.83, 0.97であったが,両菌間では0.64であった。以上のことから,アズキ落葉病菌とダイズ落葉病菌は同一種ではあるが遺伝的に分化していることが明らかとなった。
  • Carlos Hidemi UESUGI, 土屋 健一, 津野 和宣, 松山 宣明, 脇本 哲
    1990 年 56 巻 5 号 p. 591-596
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Erwinia carotovora subsp. carotovoraの9菌株から抽出した膜蛋白をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS-PAGE)によって分析し,それらのパターンを他の植物病原細菌,すなわち,E. c. subsp. atroseptica, E. chrysanthemi pv. zeae, E. herbicola pv. milletiae, Pseudomonas syringae pv. tabaci, P. gladioli pv. gladioli, Xanthomonas campestris pv. glycines, X. c. pv. phaseoli, X. c. pv. vignicolaのパターンと比較した。E. c. subsp. carotovoraのすべての菌株からの膜蛋白は60.2kdの位置にメジャーバンドを示した。このバンドは本菌の膜蛋白に特異的なペプチドと考えられ,膜蛋白のSDS-PAGEはErwinia属菌の同定に有力な手段として利用できるものと推察した。またE. c. subsp. carotovora N7129の完全菌体抗原で作製した抗血清を用い,各種植物病原細菌の完全菌体抗原に対する血清反応と膜蛋白に対する血清反応を比較した結果,両者は完全に一致したことから,菌体の膜蛋白が抗原として重要な役割を果たしていることが明らかになった。しかし,血清反応と原宿主の種類との間には関連性は認められなかった。
  • Carlos Hidemi UESUGI, 土屋 健一, 津野 和宣, 松山 宣明, 脇本 哲
    1990 年 56 巻 5 号 p. 597-604
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    各種の宿主植物から分離されたErwinia chrysanthemiの膜蛋白をSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分析した。その結果,ポリペプチドのパターン,とくに40.0kd付近のポリペプチドパターンには原宿主の種類および病原型(pathovar)に関連して明らかな差異が認められ,E. chrysanthemi分離株の原宿主や病原型の判定に利用できると考えられた。また,これらの結果から膜蛋白のポリペプチドは宿主の決定に重要な役割をもつものと推察した。
  • 肖 金忠, 中塚 進一, 津田 盛也, 道家 紀志, 西村 正暘
    1990 年 56 巻 5 号 p. 605-612
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トウモロコシの病原菌B. zeicola race 3を温室栽培イネに接種すると葉に激しい病徴を引き起こしたので,イネに対する本菌の病原性因子について検討した。その培養ろ液から有機溶媒抽出,TLC, HPLCなどにより,非病原菌Alternaria alternataのイネ葉への感染を誘導する活性物質を単離し,それをSIF 1と名付けた。NMR massなどの機器分析結果からSIF 1の分子組成はC30H44O8と判明した。SIF 1は10μg/ml以上の濃度で,イネ葉に対してのみA. alternataの感染を誘導し,多数の小斑点を形成させる活性を示したが,イネ葉に対する壊死斑形成やイネ芽生の生育抑制などの植物毒性を示さなかった。本菌の分生胞子発芽液は上記と同様の強い感染誘導活性を示したものの,そこからはSIF 1は検出されなかった。イネに病原性を示さないが,本菌の近縁菌であるB. zeicola race 1, B. victoriaeおよびB. bicolorも培養時にSIF 1を生成した。以上の結果から,B. zeicola race 3のイネへの病原性発現におけるSIF 1の役割については明らかでないが,その特異的な作用性から,イネの抵抗性機構の解析用プローブとしての有用性が示唆された。
  • 新田 直人, 高浪 洋一
    1990 年 56 巻 5 号 p. 613-620
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    キュウリモザイクウイルス(CMV)感染タバコ葉からウイルスRNA複製酵素複合体画分を調製し,両性界面活性剤Zwittergentで処理した後,ゲル濾過によって部分精製した。この部分精製酵素標品(Zwittergent酵素)のin vitro合成産物は,粗酵素のそれと同様に完全長ウイルスRNA 1∼4であった。CMV感染タバコ葉から作製したリーフディスクに放射性アミノ酸を取り込ませて培養した後,Zwittergent酵素画分を調製し電気泳動を行った。その結果,同画分からは感染葉に特異的な3種の蛋白が検出され,さらに,それらはin vitroで合成されたウイルス1a, 3aならびに外被蛋白と電気泳動的に同一移動度を示した。しかしながら,RNA 2にコードされた2a蛋白に対応する蛋白はin vitro翻訳実験においては特定できず,また酵素画分からは検出されなかった。ウイルスRNA複製酵素活性の誘導にはRNA 1および2両者の接種が必要であるという既報の実験結果を考え合わせると,少なくとも1a蛋白は複製酵素活性に密接に関連していると考えられるが,2a蛋白と複製酵素との関係については,さらに検討が必要である。
  • 高橋 義行, 匠原 監一郎
    1990 年 56 巻 5 号 p. 621-627
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ワサビ系タバコモザイクウイルス(TMV-W)を免疫して得た6種のモノクローナル抗体(TW-MABs)および血清関係のあるトマト系(TMV-L11A)を免疫して得た3種(TL-MABs),計9種のMABsを用いてTMV-Wに対する反応特異性を調べた。9種のMABsのうち3種はTMV-Wとのみ反応し,他の6種はアブラナ科系(TMV-C)とも反応した。またTMV-W粒子表面上に少なくとも7個のエピトープが確認され,粒子内部のエピトープに反応するMABも得られた。MABsをELISA法(二重抗体法)を用いた実用検定に利用するため,異なるエピトープを認識する4種のTW-MABsと1種のTL-MABを供試し,おのおのを組み合わせた複合抗体でコーティングIgを調製した。またコンジュゲートは,4種のTW-MABsを複合してELISA法に供試した。種々のMABsの組合せのなかで競合しないMABsを複合した抗体を用いた場合に,ウサギ抗血清と同等の感度で罹病植物からTMV-Wを検出することができた。さらにMABsの複合抗体を用いることによって抗血清では識別できないTMV-WとTMV-Cを識別することが可能であった。
  • 児玉 基一朗, 鈴木 才將, 尾谷 浩, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1990 年 56 巻 5 号 p. 628-636
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコ赤星病を引き起こすタバコ赤星病菌(Alternaria alternata tobacco pathotype)は,培養液および胞子発芽液中に宿主特異的毒素(AT毒素と命名)を生成した。本毒素は各種クロマトグラフィーを用いて純化された。純化毒素は感受性および中程度抵抗性タバコ品種葉にそれぞれ1および20μg/mlで壊死を誘起し,0.2μg/mlで両品種の発芽種子の根の伸長を抑制した。本毒素は,宿主葉プロトプラストに対し選択的に作用し,また,葉組織の酸素消費速度の増大を誘起した。本菌の宿主であるNicotiana属植物はいずれも毒素感受性であり,胞子発芽液中に毒素生成が認められた菌株のみが赤星病を引き起こした。さらに,タバコ葉に非病原菌株の胞子を微量の毒素溶液とともに接種するとこの菌株も感染するようになった。以上の結果より,AT毒素はNicotiana属植物に対する赤星病菌の病原性決定因子であると考えた。
  • 児玉 基一朗, 朴 杓允, 辻本 隆司, 尾谷 浩, 甲元 啓介, 西村 正暘
    1990 年 56 巻 5 号 p. 637-644
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコ赤星病菌の生成する宿主特異的毒素(AT毒素)によって引き起こされた宿主細胞内の変性を,電子顕微鏡および画像解析装置を用いて検討した。毒素による変性像は毒素処理後24時間目から観察され,感受性細胞のミトコンドリアは膨潤し,基質は漏出した。毒素処理後48および72時間では,ミトコンドリアのクリステ容積が減少し,基質の空洞化が認められた。さらに,毒素処理細胞内のミトコンドリア中の顆粒は消失し,ミトコンドリア外膜の突出がみられ突出部の膜は薄くなった。これらの変性は毒素処理時間が経過するにしたがって顕著となった。一方,他の細胞内小器官にはまったく変性がみられなかった。以上の結果から,宿主細胞ミトコンドリアがAT毒素の初期作用をうける標的小器官であると考えられた。
  • 上運天 博
    1990 年 56 巻 5 号 p. 645-650
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    P. syringae pv. eriobotryaeはビワがんしゅ病の病原細菌であり,供試した褐色色素産生菌株はすべて,分子量がそれぞれ約32, 39, 85メガダルトン(Mdal)の3個のプラスミドを共通に有していた。生育適温より高い温度(32C)で数回継代培養することにより,NAE57およびNAE34から85 Mdalプラスミドが欠落した28菌株を得た。これら85 Mdalプラスミド欠落株28菌株と継代培養後もなお85 Mdalプラスミドを保有していた28菌株をビワの茎に接種した結果,85 Mdalプラスミド保有株はすべて親株と同様にカルス様組織が発達した病徴を示したのに対し,85 Mdal欠落株はすべてカルス様組織を伴わない病徴を示すようになった。85 Mdalプラスミドの欠落は常に病徴の変化を伴っており,85 MdalプラスミドがP. syringae pv. eriobotryaeの病徴進展に重要な役割を果たしていることが強く示唆された。
  • 山田 哲治, 塚本 浩史, 白石 友紀, 川又 伸治, 奥 八郎
    1990 年 56 巻 5 号 p. 651-657
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    植物増生病をひきおこすサクラてんぐ巣病菌やモモ縮葉病菌は,中間代謝産物としてインドールピルビン酸,インドールアセトアルデヒドを経由し,トリプトファンからインドール酢酸(IAA)を生産する。これらの糸状菌はまた,インドールアセトニトリルをIAAに転換する。クロフィブリン酸耐性株を選抜したところIaa-変異株が得られた。これらの変異株はPur-(プリン要求性)でもあり,トリプトファン添加培養液中ではIAAが蓄積されず,インドールエタノールが多量に蓄積され,また培地上では野生株に比べ小さな分生子を形成する。染色体DNAをパルスフィールド電気泳動により解析したところ,両菌のIaa-変異株は野生株と異なる長さの染色体DNAを有しているにもかかわらず,変異の結果生じたと考えられる一部の染色体DNAの長さは共通していた。
  • 梅本 清作
    1990 年 56 巻 5 号 p. 658-664
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    ナシ黒星病の第一次伝染源の種類と初発病における重要性について検討した。りん片および花そう基部病斑上に形成された分生子は通常4月中旬からの採取降雨中に確認され,その後,分散数は徐々に増加した。また,分散した分生子の発芽率は非常に高かった。しかし,花そう基部病斑上分生子の感染時期が長十郎の開花初期(1988年4月21日)であれば発病は明らかに少なく,開花終了期(1988年4月27日)以降の長期間に及ぶときは多発した。一方,子のう胞子の分散開始は幸水の開花を基準にすると,早い年は3月26日(1988年)で22日前,遅い年は4月10日(1986年)で10日前であった。2種の第一次伝染源を単独または組み合わせて設置した場合の発病の推移は,罹病落葉を伝染源に含む実験区では初発時期が早く,しかもその後多発したが,りん片および花そう基部病斑を伝染源とした実験区の初発時期は遅く,しかもその後も少発傾向を示す年が多かった。以上の結果から,黒星病の初発病に大きく関与している第一次伝染源は,落葉上の子のう胞子であると判定された。
  • 岩隈 俊浩, 安高 雄治, 松山 宣明, 脇本 哲
    1990 年 56 巻 5 号 p. 665-670
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    いもち病菌感染によりイネ葉中にはジテルペン系ファイトアレキシン(PA)が生成されるが,その経時的変化は非親和性および親和性組合せで明らかに異なっている。ガスクロマトグラフィーによる検出では,接種後36∼48時間目に非親和性組合せでのみPA生成が観察された。また,ときには12時間目に検出される場合が認められた。しかしこのレース特異性は胞子の加熱殺菌処理により消失し,親和性,非親和性にかかわらず48時間目にPA生成がみられた。一方,菌体プロトプラストで処理した場合にはまったく生成が認められなかった。また,いもち病菌菌体壁分画にはPA生成のエリシター活性が認められるが,なかでも菌体を磨砕後リン酸緩衝液中でオートクレーブ処理した難溶性分画にきわめて高い活性がみられた。これらの結果はエリシターが菌体壁に存在することを明らかに示している。
  • 田中 欽二, 野中 福次
    1990 年 56 巻 5 号 p. 671-673
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Onions grown in Ariake state-operated reclamation in Saga Prefecture were found to be more susceptible to the black mold caused by Aspergillus niger van Tieghem than those grown in Shiroishi-machi and Genkai-machi in which onions have been continuously cultivated for more than twenty years. The content of inorganic substances in the cuticular layer of onion leaf was investigated by a transmission electron microscope equipped with an energy dispersive X-ray analyser. Among of inorganic substances, the calcium contents in cuticular layer were constantly lower in the onions grown in the polder land than those grown in traditionally cultivated areas. These results suggest that the calcium in onion tissues may play an important role in the mechanism of resistance to the disease.
  • 岩崎 真人, 稲葉 忠興
    1990 年 56 巻 5 号 p. 674-676
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    16種類のウリ類台木にキュウリ(品種:相模半白)を接ぎ木した後,キュウリにキュウリモザイクウイルスとズッキーニ黄斑モザイクウイルスを混合接種し,台木の種類と萎凋の発生程度との関係を調べた。台木がスイカ,メロン,クロダネカボチャ,セイヨウカボチャ,ザッシュカボチャ,ニホンカボチャ,ペポカボチャ,ヘチマ,アレチウリでは,重症の萎凋が高率に発生した。台木がトウガン,マクワウリ,ユウガオ,センナリヒョウタンでは,萎凋の発生程度は低かった。台木がシロウリ,キュウリ,ヒョウタンでは,萎凋はまったく発生しなかった。台木と接ぎ穂キュウリの接ぎ木親和性を,接ぎ木したキュウリの草丈を計測して調べた。ヘチマ以外の台木は接ぎ穂キュウリと親和性が高かった。
  • 近藤 則夫, 村田 吉平, 島田 尚典, 白井 滋久, 児玉 不二雄
    1990 年 56 巻 5 号 p. 677-679
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    アズキ萎ちょう病菌(Fusarium oxysporum f. sp. adzukicola)レース1, 2に抵抗性の「ハツネショウズ」とレース1, 2, 3に抵抗性の「十育123号」それぞれと,罹病性品種の「斑小粒系-1」とのF1, F2の各レースに対する反応から抵抗性の遺伝子分析を行った。その結果,「ハツネショウズ」のレース1, 2に対する抵抗性は1対の劣性遺伝子に,「十育123号」のレース1, 2, 3に対する抵抗性は1対の優性遺伝子に支配されていることが明らかになった。
  • 下山 淳, 花田 薫, 亀谷 満朗, 栃原 比呂志, 郡司 孝志
    1990 年 56 巻 5 号 p. 680-683
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Konjak (Amorphophallus konjac) plants showing necrosis in leaflets and stunting of petiole have been found in Gunma Prefecture since around 1960. The causal virus was transmissible by aphids and by mechanical inoculation, but not through corms and cormlets of konjak. The virus was identified to be cucumber mosaic virus (CMV) by immunodiffusion tests. Five CMV isolates obtained from different konjak fields were compared serologically, and three of them were indistinguishable from CMV-Y whereas the other two were identical to CMV-P. All these isolates caused similar symptoms on konjak plants to those observed in the fields. We propose the name of the disease, konjak necrotic stunt disease.
  • 竹内 妙子
    1990 年 56 巻 5 号 p. 684-686
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    All of the ten isolates of Pseudoperonospora cubensis sampled in greenhouses at Asahi area, Chiba Prefecture, where the effectiveness of the application of phenylamide fungicides for the control of downy mildew of cucumber appeared to have declined since the spring of 1989, were found to be resistant to the fungicides at 100ppm concentration, in assay using the cucumber leaf disc method. Both the preventive and curative effect of the mixtures of phenylamide and mancozeb or copper compounds on downy mildew caused by the resistant isolates were found to decrease in experiments using potted cucumber plants.
  • 根岸 秀明, 山田 哲治, 白石 友紀, 奥 八郎, 田中 博
    1990 年 56 巻 5 号 p. 687-690
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Pseudomonas solanacearumの自然発生の非病原性突然変異株,M4Sから約6.6kbpの環状2重鎖のプラスミドDNA, pJTPS1を分離した。pJTPS1はM4Sの親株である病原性菌,U-7からは検出されなかった。このプラスミドは,ApaI, EcoRI, EcoRV, HindIII, PstI, StuI, XhoIなどの制限酵素認識部位をもっていた。U-7の全DNAとのハイブリダイゼーション分析の結果から,pJTPS1はゲノムまたはメガプラスミド由来であろうと推測された。
  • 西口 正通, 本吉 総男, 大島 信行
    1990 年 56 巻 5 号 p. 691-694
    発行日: 1990/12/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコモザイクウイルスの強弱両系統,LおよびL11A,のウイルス産生量の比較を行った。ウイルスに感染したトマトおよびタバコからのウイルス収量はL11Aのほうが少なくLの約1/5∼1/6であった。感染トマト葉からプロトプラストを分離し感染率およびウイルス量を調べ,感染プロトプラスト当りのウイルス量を比較すると,L11A感染プロトプラスト当りのウイルス量はLの場合より少なく1/4∼1/6であった。L11Aのウイルスの増殖曲線は接種4日後プラトーに到達しその後減少するのに対し,Lは4日以後も増加を続けた。このように細胞におけるL11Aのウイルス量が少ないのは,増殖能の低下とともに感染4日以降におけるウイルス増殖の減少によることが示唆された。
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