Xanthomonas campestrisの各種pathovarは対峙培養において植物病原糸状菌に対し著しい拮抗作用を示した。とくにpv.
oryzaeは
Pyricularia oryzaeや
Alternaria bataticolaに対してのみ特異的に作用し,拮抗の程度は病原性菌株において著しく,非病原性菌株では劣った。また対峙培養時,阻止帯周辺部のいもち病菌菌糸先端部の異常な膨潤が頻繁に観察された。
X. c. pv. oryzae Q7463株をジャガイモ半合成培地で液体培養し,エタノール沈殿後,各種イオン交換クロマトグラフィー,n-ブタノール-酢酸-水(4:1:2 v/v),イソプロパノールーピリジン-酢酸-水(15:10:3:12 v/v)によるTLCにより抗菌物質を単離した。本物質は透析されず,UV耐性,120°C, 20分または100°C (pH 12.0) 10分の加熱処理により失活した。また,Pronase, Protease, Trypsin, DNase, RNaseに耐性であり,いずれのpHにおいても非極性有機溶媒に転溶せず,陽,陰イオン交換樹脂に吸着された。本物質はTLC上で各種糖検出用試薬により発色することから,糖関連の両性物質と推定された。
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