日本植物病理学会報
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57 巻, 1 号
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  • 大口 富三, 浅田 泰次
    1991 年 57 巻 1 号 p. 1-8
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    べと病菌を接種したダイコン罹病性品種,白首宮重の根切片では,吸器は接種24時間後には,接種表面から第2細胞層,5日後には第63細胞層で観察された。一方,抵抗性品種,平安時無では,本菌の生育は著しく悪く,吸器は接種24時間後にはまったく観察されなかったが2日後には第1細胞層,5日後には12細胞層で観察された。両品種で形成された吸器の大きさ,形に差がなかった。白首宮重では多くの吸器表面に数個の球状または半球状の顆粒が観察された。顆粒が観察された吸器は白首宮重では接種2日後で約25%, 6日後で40%,平安時無では,2日後で3.5%であったが,3日後以降では0%であった。顆粒が形成された吸器は,多くの場合,群がって存在し,根切片の表面よりも吸器形成数の多い第8∼10と第16∼18細胞層間で多く観察された。顆粒は直径1.7∼3.7μm,銀色で,球形∼半球形であり,sudan black Bで黒味を帯びた青色,sudan IIIで赤色を呈したことから中性脂肪と考えられた。1吸器での顆粒数は0から20個以上であった。顆粒はまれに細胞間隙の菌糸の細胞中,吸器周辺の宿主原形質中でも観察された。顆粒は種々の形の吸器で形成された。
  • 国永 史朗, 横沢 菱三
    1991 年 57 巻 1 号 p. 9-16
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    トマト根腐れ萎ちょう病の病原菌は,わが国ではFusarium oxysporum f. sp. lycopersiciのrace J3とされてきたが,諸外国では,別の分化型であるradicis-lycopersiciに分類されている。この分類学的な不一致を解決する目的で,DNA-DNA再会合反応速度解析法を用いて,f. sp. lycopersiciとf. sp. radicis-lycopersici間の遺伝的関係を検討した。その結果,f. sp. lycopersici race J3の菌株は本分化型の他のレース(J1, J2, 1, 2, 3)の菌株とは明らかに遺伝的に異なり(74∼88%のDNA相同性),f. sp. radicis-lycopersiciの菌株と遺伝的に一致する(96∼99%のDNA相同性)ことが確認された。以上のことから,わが国においてもトマト根腐れ萎ちょう病の病原菌はFusarium oxysporum f. sp. radicis-lycopersiciとすべきであると考えられた。
  • 入野 達之, 遠藤 毅, 阿久津 克己, 奥山 哲
    1991 年 57 巻 1 号 p. 17-23
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    灰色かび病菌(Botrytis cinerea)のジカルボキシイミド系薬剤耐性菌培養ろ液によって誘導された新耐性菌・16株について諸性質が調べられた。新耐性菌株は,PSA培地上での生育速度から,生育の速い菌株,培養3∼4日目に生育が一時緩慢になりその後速くなる菌株,およびきわめて生育の遅い菌株の3タイプに分けられた。分生胞子形成は,キュウリ葉を含むPSA培地(Cu PSA)で16菌株のうち3菌株で認められ,48時間のBLB照射で多少促進がみられた。また同じ処理により,PSA培地上でも分生胞子形成が認められた。しかし,その他の供試培地では分生胞子形成は認められなかった。キュウリ植物に対する病原性は,素寒天培地(WA),グルコース培地(GA)およびグルコース・イノシン培地(IGA)の各培地で培養した菌糸体をキュウリ葉片に接種して調べられた。WAで培養した菌糸体接種では,すべての菌株で病斑形成は認められなかった。GAで培養した菌糸体接種では,6菌株が非進展性病斑を形成し,1菌株が進展性病斑を形成した。IGAで培養した菌糸体接種では,6菌株が非進展性病斑を形成し,10菌株が進展性病斑を形成した。新耐性菌株のこれらの性状は,継代培養によって変化がみられず,安定していた。
  • 原 秀紀, 小野 邦明
    1991 年 57 巻 1 号 p. 24-31
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    タバコ立枯病菌のバクテリオシン産生株(Ps48)から病原性の異なる突然変異株を作出し,それらの菌株をタバコ苗根部に浸漬処理したのち汚染土壌に移植した場合,立枯病の発病抑制効果は非病原性突然変異株(OM1)よりも弱病原性突然変異株(OM2)を用いた場合で著しく高かった。また,OM2をタバコ苗へ処理したのち病原菌を断根接種あるいは株元に灌注した場合でも発病抑制効果を示したが,OM1の場合には断根接種では効果が認められなかった。タバコ苗へ処理したOM2は,少なくとも16日後までは根面部での生存密度が107∼108cfu/gで推移し,植物体内でよく増殖し約107cfu/gに達した。またこのとき,茎基部の水抽出試料からバクテリオシンによる抗菌活性が認められた。一方,OM1は処理16日後までにタバコ根圏部で約105cfu/gに,根面で約106cfu/gに減少し,茎基部からは約102cfu/gの濃度でしか検出されず,抗菌活性も認められなかった。OM2を処理したタバコでは無処理あるいはOM1を処理した場合に比べ,植物体内への立枯病菌の侵入あるいは増殖が強く抑制される傾向を示した。OM2の産生するバクテリオシンに耐性を示す立枯病菌(Ps48)を供試した場合でも,感受性菌(Ps29)に比べると劣るが発病抑制効果が認められた。以上の結果から,OM2による発病抑制にはバクテリオシンおよび他の要因が関与していることが示唆された。
  • Alternaric acidのトマト細胞の微細構造におよぼす影響
    Gabriele LANGSDORF, 朴 杓允, 西村 正陽
    1991 年 57 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Alternaric acidの作用点を調べるため,本毒素を処理したトマト葉の細胞を電子顕微鏡で観察し,細胞の微細構造におよぼす影響を調べるとともに,分析電子顕微鏡により数種イオンの分布を解析した。最も早い毒素作用は,10μg/mlの濃度で15分間処理した葉細胞の原形質連絡糸部分の細胞壁で,高電子密度物質の沈着として現れた。その後,原形質連絡糸近辺の原形質膜部分で,その変性と思われる膜の陥入が観察された。観察した原形質連絡糸部分のうち,高電子密度物質の沈着は90%,また原形質膜の陥入は60%でみられた。高電子密度沈着物には組織由来のMgイオンが検出され,電解質の漏出が示唆された。これらの観察より,本毒素は原形質連絡糸近辺の原形質膜の変性を起こし,電解質の異常漏出につながる膜透過性の変化をきたすものと考えられた。
  • 佐山 充, 杉本 利哉, 本間 善久
    1991 年 57 巻 1 号 p. 41-44
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Contents of beet necrotic yellow vein virus in roots of sugar beet were compared between moderately resistant and susceptible lines and cultivars to rhizomania. The virus was initiated to detect in rootlets of 8-day seedling by ELISA and no difference, thereafter, was found in the value from rootlets between the two lines. The value gradually increased in tap roots from 30 days after emergence and exhibited highly significant difference between the lines in upper cores of tap roots at 90 days. These results show that the difference of virus content in the cores at 90 days reflect resistance to rhizomania in field, and could be useful for greenhouse test of the resistance.
  • 鄭 秋雄, 池上 正人
    1991 年 57 巻 1 号 p. 45-48
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    MYMV感染葉から分離したウイルスに特異的な2本鎖DNAを用いて,全長のDNA 1とDNA 2をクローニングした。クローンDNAの緑豆植物への感染性は,クローンDNAからべクターDNAを除去した後,DNA 1とDNA 2を混合して接種した場合にのみみられた。このような感染性のあるMYMVクローンDNAをタバコ植物体とタバコプロトプラストに接種したところ,タバコ植物体には感染性はみられなかったが,タバコプロトプラストではDNA1とDNA2を混合して接種した場合とDNA 1を単独接種した場合にのみウイルスDNAを検出することができた。以上の結果から,MYMV DNA 1は複製に係わる機能を有し,非宿主植物の単細胞でも複製できることを示している。
  • 林 宣夫
    1991 年 57 巻 1 号 p. 49-52
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Bacterial leaf blight of konnyaku was artificially induced by soil or seed corm inoculation. The bacterial suspension was drenched into the soil planted with konnyaku, when leaflets were fully expanded. The disease symptom was appeared on the leaflets at 14 days after inoculation. Mulching test suggested that the pathogenic bacterium existing on the soil surface might be directly splashed to leaflets by rain drops. Pathogenic bacterium existing on the seed corm multiplied on the bract after planting, followed by the rapid multiplication on leaflet. This fact suggested that the bacterium multiplied on the bract could migrate to the leaflets which were sprouting from inside of bract.
  • 岩隈 俊浩, 松山 宣明, 脇本 哲
    1991 年 57 巻 1 号 p. 53-56
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    主導抵抗性遺伝子Pi-aを有し,それぞれ水平抵抗性程度を異にするイネ品種ヤマビコ,金南風,愛知旭のカルスから作出したプロトプラストのいもち病菌(Naga 69-150, race 007)菌体壁分画に対する反応を調べた。各品種のプロトプラストは各種菌体壁分画に対し一定比率で反応し,細胞質凝集を示した。凝集を起したプロトプラストの比率は,水平抵抗性強品種ヤマビコにおいて高く,中度抵抗性の金南風で中位であり,抵抗性弱品種の愛知旭で低く,明確な品種間差および接種試験結果との完全な一致が観察された。反応は処理後10分以内に起り30分後まで続いたが,その後24時間は変化がみられなかった。また壁成分処理による細胞質膜の変性はみられずプロトプラストの突出は観察されるものの破壊は観察されなかった。
  • Erysiphe graminisの二次接種菌の感染を促進する一次接種菌誘導受容性
    久能 均, 黒田 克利, 豊田 和弘, 山岡 直人, 小林 一成
    1991 年 57 巻 1 号 p. 57-60
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Erysiphe graminisの分生胞子をオオムギ子葉鞘細胞に接種した(一次菌)。さらに同一細胞上に,別の子葉鞘上で発芽させた同菌の発芽胞子を細針で移植接種した(二次菌)。一次菌が二次菌よりも0∼5時間早く侵入を開始すると二次菌の吸器形成率は約80%,またこの時間差が6時間以上になると約93%に上昇した。針移植した対照区の吸器形成率は約63%であったので,一次菌の侵入によって誘導される受容性は同じ菌の二次菌にも有効であると結論された。この受容性は一次菌が吸器形成に成功した細胞でのみ誘導された。一細胞で誘導された受容性は,一次菌が侵入を開始してから少なくとも9.5時間までには隣接細胞に移行しなかった。
  • 菊武 和彦, 松山 宣明, 脇本 哲
    1991 年 57 巻 1 号 p. 61-64
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    Xanthomonas campestrisの各種pathovarは対峙培養において植物病原糸状菌に対し著しい拮抗作用を示した。とくにpv. oryzaePyricularia oryzaeAlternaria bataticolaに対してのみ特異的に作用し,拮抗の程度は病原性菌株において著しく,非病原性菌株では劣った。また対峙培養時,阻止帯周辺部のいもち病菌菌糸先端部の異常な膨潤が頻繁に観察された。X. c. pv. oryzae Q7463株をジャガイモ半合成培地で液体培養し,エタノール沈殿後,各種イオン交換クロマトグラフィー,n-ブタノール-酢酸-水(4:1:2 v/v),イソプロパノールーピリジン-酢酸-水(15:10:3:12 v/v)によるTLCにより抗菌物質を単離した。本物質は透析されず,UV耐性,120°C, 20分または100°C (pH 12.0) 10分の加熱処理により失活した。また,Pronase, Protease, Trypsin, DNase, RNaseに耐性であり,いずれのpHにおいても非極性有機溶媒に転溶せず,陽,陰イオン交換樹脂に吸着された。本物質はTLC上で各種糖検出用試薬により発色することから,糖関連の両性物質と推定された。
  • 佐古 勇, 中曽根 渡, 岡田 清嗣, 大木 理, 尾崎 武司, 井上 忠男
    1991 年 57 巻 1 号 p. 65-69
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
    萎縮を伴う黄色条斑症状を示したラッキョウから2種のひも状ウイルスが分離され,それらは宿主反応,免疫電顕法,二重拡散法,ELISA法によりニンニク潜在ウイルス(GLV)とネギ萎縮ウイルス(OYDV)と同定された。これらをラッキョウに汁液接種すると,GLVのみでは潜在感染であったが,OYDVの感染が加わると明瞭な黄色条斑症状が再現された。GLVとOYDVによる本病の病名として「ラッキョウ黄色条斑病」を提案したい。また,ラッキョウについてDIBA法によるOYDVの圃場診断の有効性が示された。
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 70-79
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 80-84
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 85-91
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 92-115
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 116-124
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
  • 1991 年 57 巻 1 号 p. 125-134
    発行日: 1991/01/25
    公開日: 2009/02/19
    ジャーナル フリー
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