北海道内の未耕地土壌より
R. solaniを分離し,菌糸融合により類別し,各融合群の菌叢の性状,イネ,ダイコン,レタス,サトウダイコン,トマト,インゲンに対する病原性を検討した。
1. 未耕地土壌からの分離株は,既存融合群のAG-1, AG-2-1, AG-2-2, AG-5と,新しい融合群AG-6, AG-BI (Bridging Isolates)とに類別された。
2. 全分離菌株に対する各融合群の分離率は,AG-1: 3.0%, AG-2-1: 1.9%, AG-2-2: 9.7%, AG-5: 8.5%, AG-6: 71.1%, AG-BI: 5.8%で,AG-6が未耕地に優占する群であることが示された。
3. AG-6は相互に菌糸融合を行ない,既存融合群とは菌糸融合を行なわず,また病原性はほとんど認められなかった。菌叢は淡褐色∼黒褐色となり,灰褐色∼褐色の菌核を形成するものと,しないものがあり変異に富む。
4. AG-BIは相互に菌糸融合を行ない,既存融合群のAG-2-1, AG-2-2, AG-3とAG-6にまたがって菌糸融合を行なった。病原性はほとんど認められなかった。既存融合群のAG-2-1, AG-2-2, AG-3の菌叢と類似する。
5. 病原性はAG-1は多犯性で強く,AG-5はトマトに強い病原性を示したが,AG-2-1, AG-2-2は微弱であった。
6. 菌叢はAG-1, AG-5は畑土壌分離株の同群と類似の性状が認められたが,AG-2-1, AG-2-2は畑土壌分離株の典型的なものと異なっていた。
7. AG-BIの菌糸融合行動および菌叢性状より,AG-2-1, AG-2-2, AG-3, AG-6, AG-BIの5融合群間の近縁性が示唆された。
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