日本植物病理学会報
Online ISSN : 1882-0484
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74 巻, 2 号
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原著
  • 田代 暢哉, 井手 洋一, 井下 美加乃
    2008 年 74 巻 2 号 p. 89-96
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    1993年8月に佐賀県内のハウスミカンで果実腐敗が多発生した際,県内各地の選果場から分離された緑かび病菌にはベンゾイミダゾール系薬剤に対する耐性菌が多数存在していた.さらに,同系薬剤散布前のハウス栽培園や極早生温州園から採集した緑かび病菌からは耐性菌が高頻度に検出され,これらの園ではベンゾイミダゾール系薬剤による果実の腐敗防止効果は認められなかった.このため,収穫前の耐性菌密度は極めて低いとされていたこれまでの知見とは異なり,収穫時にはすでに同系薬剤耐性菌が高率に存在しており,このことが果実腐敗の多発生要因であると判断された.
  • 山下 修一, 土居 養二, Kitajima E. W.
    2008 年 74 巻 2 号 p. 97-109
    発行日: 2008年
    公開日: 2008/06/04
    ジャーナル フリー
    感染細胞内でウイルス粒子の会合の場とされるviroplasm(Vp)について,未分類群を含む6科10属37種ウイルスの細胞内所見を電顕で比較観察した.Vpは一般に不定形~球形,高~低密度,顆粒状・繊維状・条状であったが,ウイルス群で異なった.CaulimoviridaeCaulimovirus (4種),Petuvirus(PVCV),Soymovirus(SbCMV)の3属はいずれも類似したVpを細胞質に生じたが,分類群で差異がみられた.ReoviridaePhytoreovirus(RDV)とFijivirus(RBSDV)は細胞内所在,細胞質Vpは異なった.PartitiviridaeAlphacryptovirus のRYEVおよびSequiviridaeWaikavirusのRTSV(RWV)は師部局性で細胞質にVpを生じたが,後者の構造は多様で,近接して核酸様繊維を内含する小胞が特異的に多数観察された.BunyaviridaeTospovirus のTSWVとMYSVは細胞質にVpを生じ,周囲のER膜で成熟すると推定されたが,後者の観察頻度は極めて低かった.Rhabdoviridae ではNucleorhabdovirus(8種)は核内Vpと核膜での成熟,Cytorhabdovirus(5種)は細胞質VpとER膜での成熟が示唆された.未分類として,被膜を欠く短桿菌状ウイルスは核増殖型と細胞質増殖型に大別され,前者(6種)は核内Vp,核膜内膜付着・非出芽,後者(5種)は細胞質内VpからER膜内への移行が示唆された.両者の形状,増殖様式は異なった.本邦の桿状ウイルスのBuMVは各種細胞の細胞質に高電子密度の球形Vpを生じた.
短報
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